Frameworkが新たに発表したFramework Desktopは、モジュール式PCの概念を小型デスクトップにも適用した野心的な製品だ。本体はわずか4.5リットルのコンパクトサイズながら、AMD Ryzen AI Maxを搭載し、最大16コアCPU・5.1GHzブーストクロック・Radeon 8060Sのグラフィックス性能を誇る。

最大の特徴は拡張性とカスタマイズ性だ。前面パネルは21色から選択でき、ユーザー自身が3Dプリントすることも可能。さらに、交換可能な拡張カードシステムを採用し、必要なポート構成を自由にカスタマイズできる点も魅力的だ。

ただし、メモリは基板に直接はんだ付けされているため交換不可という制約がある。価格は1,099ドルからと、構成によっては手頃な選択肢となる。Frameworkが掲げる「最も簡単に組み立てられるPC」というコンセプトが、どこまで実現されているのか注目したい。

モジュール式デスクトップの新境地 Framework Desktopのスペックと機能

Framework Desktopは、小型ながら強力な性能とカスタマイズ性を兼ね備えたデスクトップPCだ。本体サイズは4.5リットルとコンパクトながら、AMD Ryzen AI Maxプロセッサーを搭載し、最大16コアCPUと5.1GHzのブーストクロックを誇る。グラフィックス性能も充実しており、Radeon 8060Sを採用。AAAタイトルの1440pゲーミングやクリエイティブ作業にも対応できるスペックとなっている。

メモリはLPDDR5xを最大128GBまで搭載可能だが、基板に直接はんだ付けされているため、交換や増設はできない。ただし、これによりメモリ帯域幅が256GB/sに達し、ローカルAIの処理能力を最大限に引き出す設計となっている。ストレージについては自由に拡張でき、標準的なM.2 SSDスロットが利用可能だ。

また、120Wの持続電力と140Wのブースト電力に対応し、消費電力とパフォーマンスのバランスも最適化されている。OSはWindows 11に対応するだけでなく、UbuntuやFedoraといったLinux系OS、さらにBazziteやPlaytronといったゲーム向けOSにも対応。この柔軟な対応力も、Frameworkならではの特徴と言える。

カスタマイズの自由度が魅力 フロントパネルや拡張カードで個性的な一台に

Framework Desktopの最大の特徴は、ユーザー自身が細かくカスタマイズできる点にある。特に、前面パネルの21色のカラーバリエーションは、外観を個性的に仕上げる要素の一つだ。さらに、このパネルはオープンソース化されており、自分で3Dプリントすることも可能。好みに応じたデザインが自由に楽しめるのは、他のメーカーのデスクトップにはないユニークなポイントだ。

また、Frameworkは拡張カードシステムを採用しており、前面スロットに好きなポートを追加できる。例えば、USB-CやUSB-A、HDMI、DisplayPort、さらにはSDカードリーダーなど、用途に応じて自由に組み替えが可能だ。従来のPCでは、ポートの数や種類が固定されていたが、Framework Desktopではユーザーの使用環境に応じたカスタマイズができる。

さらに、サイドパネルのデザインも変更可能で、ブラックまたは半透明のパネルを選択できる。オプションでRGBファンの搭載や、持ち運び用ハンドルの追加も可能。これにより、デスクトップPCでありながら、持ち運びにも対応する独自の設計となっている。このように、Framework Desktopは単なるコンパクトPCではなく、ユーザーが積極的にカスタマイズを楽しめる製品となっている。

メモリの交換不可は妥協か最適化か 価格設定とメリットを考察

Framework Desktopのスペックを見たときに気になるのが、メモリが交換できない点だ。これは、LPDDR5xメモリを基板に直付けすることで、256GB/sの高帯域幅を確保するための設計上の選択だ。しかし、一般的なデスクトップPCではメモリの増設・交換が可能であるため、この点はユーザーの好みが分かれる要素となるだろう。

ただし、この仕様により、Frameworkは価格を抑えることができたとしている。具体的には、8コアのRyzen AI Max 385と32GBメモリ搭載のベースモデルが1,099ドル、ハイエンド構成(Ryzen AI Max+ 395と128GBメモリ)が1,999ドルで提供される。交換可能なメモリを採用する他のハイエンドデスクトップと比較すると、同等のスペックでありながら手頃な価格設定となっている点は評価に値する。

また、Framework Desktopは「最も簡単に組み立てられるPC」を掲げており、パーツの交換や内部構造がシンプルに設計されていることも特徴の一つだ。実際に、Frameworkは公式サイトで組み立て・分解の動画を公開する予定であり、初心者でも手軽に扱えるPCとしての魅力もある。

このように、Framework Desktopは従来のPCとは異なる設計思想を持ち、小型ながらカスタマイズ性の高さを実現したデスクトップPCとして注目を集めそうだ。メモリ交換不可という点はデメリットにもなり得るが、価格や帯域幅のメリットを考えれば、合理的な選択と見ることもできるだろう。

Source:Laptop Mag