ASUSの最新マザーボード「ROG Maximus Z890 Apex」と、Diabatix製の液体窒素(LN2)冷却システムを駆使し、Intelの高性能CPU「Core Ultra 9 285K」が7.448 GHzのクロック速度に達し、RAMの速度も12066 MT/sのオーバークロックを記録した。

この冷却システムは、液体窒素冷却時に発生する「ライデンフロスト効果」に対応した設計で、冷却効率を飛躍的に高めるため、長時間の安定動作が可能となっている。今年7月にAI生成技術を活用して部分設計され、Intel第14世代チップでテスト後、今回の記録達成に寄与した。

ASUSはこのシステムにより、Intelの「Arrow Lake」シリーズ全体で数々の世界記録を更新したが、中でも「Core Ultra 9 285K」によるElmorによるオーバークロックが注目される。

ASUSとDiabatixが挑む液体窒素冷却の最前線と「ライデンフロスト効果」克服の技術革新

ASUSとDiabatixが採用した液体窒素冷却システムは、超高性能CPUをさらに極限まで引き上げるための鍵となっている。冷却システムが注目された理由の一つは、「ライデンフロスト効果」の克服である。この効果は、液体窒素が熱い表面に触れることで蒸気層を形成し、冷却性能を妨げる現象である。

Diabatixはこれを抑えるための独自設計を導入し、冷却の安定性を確保した。AI生成技術で部分設計されたDiabatixのLN2クーラーは、冷却性能を限界まで発揮するだけでなく、耐久性を向上させる構造を持ち合わせている。

こうした技術革新により、従来のLN2冷却に比べ、長時間の安定したオーバークロックが可能となった。従来の液体窒素冷却では短時間のみ性能を限界まで引き出すことが一般的であったが、今回のシステムは冷却性能と安定性を両立し、パフォーマンス維持が可能な設計となっている。

Tom’s Hardwareの報道によれば、こうした安定性の向上によりASUSは「Core Ultra 9 285K」を最大7.448 GHzまで引き上げ、RAM速度でも記録的な数値を実現したのである。この技術的背景により、今後もさらなる高性能オーバークロックが期待されるだろう。

高性能マザーボード「ROG Maximus Z890 Apex」が切り開く新たな可能性

今回の記録達成には、ASUSの高性能マザーボード「ROG Maximus Z890 Apex」が中心的な役割を果たした。このマザーボードは、Intelの最新チップ「Arrow Lake S」シリーズに特化して設計され、特にオーバークロック性能においてその真価を発揮する。

高度な回路設計と電源供給システムを備え、LN2冷却システムとも完全に調和し、Core Ultra 9 285Kを最大限に活用できるよう設計されている。ASUSは今回の記録により、「5つの世界記録、19のグローバル1位、31の1位」を獲得し、オーバークロック界においてその技術力を証明した。

こうしたハイエンドのマザーボードは一般的に高額であり、特殊な冷却設備がなければ性能を引き出すのは難しい。しかし、「ROG Maximus Z890 Apex」は、プロフェッショナルだけでなく、ハイエンドユーザーが限界を超える性能に挑戦するための基盤としても注目されている。

Tom’s Hardwareが伝えるように、今回の成果はただの技術的な記録達成に留まらず、次世代PC市場における新たな方向性を示している。高性能PCの潜在能力を引き出す鍵として、このようなマザーボードがさらなる技術革新を牽引する可能性がある。

エクストリームなオーバークロックとPC市場への影響

エクストリームなオーバークロックの世界では、今回のような成果が高性能PC市場に影響を与える要因となる。これまで、LN2冷却などの特殊技術を用いるオーバークロックは限られたプロユーザー向けとされてきたが、近年はその技術が一般的なハイエンドPCにも影響を及ぼしつつある。今回の成果は、限界性能への挑戦に新たな基準を打ち立て、次世代PCの設計思想にも大きなインパクトを与えるものといえる。

特にASUSのような企業が、記録達成のみならず安定した動作を重視したシステムを発表したことは、PC市場の未来を示唆している。市場では今後もオーバークロック技術の一般化が進み、冷却システムやマザーボード設計も大きく変化する可能性がある。