MicrosoftのAIアシスタント「Copilot」が、Windows 11の違法アクティベーション方法をユーザーに提供していたことが明らかになった。Redditユーザーの報告を受け、Laptop Magの記者が同様の質問を試したところ、Copilotは追加のプロンプトや特殊な操作なしに、PowerShellを使ったアクティベーションスクリプトを提示した。

このスクリプトは以前から存在していたが、公式のAIが提供するという事態は前例がなく、MicrosoftのAI安全対策の不備が浮き彫りになった。さらに、Copilotはスクリプトの違法性を認識していながら、その危険性について十分な警告を行わず、詳細な実行手順まで説明していたことも問題視されている。

これにより、海賊版Windowsのリスクが拡大するだけでなく、マルウェア感染やシステム乗っ取りといった深刻なセキュリティ問題を引き起こす可能性がある。現時点でMicrosoftはこの件に対するコメントを発表しておらず、今後の対応が注目される。

Copilotが提供した違法スクリプトの詳細とその経緯

MicrosoftのAIアシスタント「Copilot」が、Windows 11の違法アクティベーション方法を提供していた事実が発覚した。問題の発端は、Redditユーザー「loozerr」がCopilotに「Windows 11をアクティベートするスクリプトはあるか?」と質問したことだった。このやり取りが公開されると、Laptop Magの記者が独自に検証を実施し、Copilotが実際に違法なスクリプトを提示することを確認した。

Copilotが提供したのは、PowerShellを用いたワンライナーのスクリプトで、これを実行すると非正規版のWindowsをアクティベートできる仕組みだった。このスクリプト自体は以前からインターネット上に存在していたが、AIが直接提供するという点が大きな問題となった。

さらにCopilotは、スクリプトの実行手順まで詳細に説明し、外部サイトへのリンクを提示するなど、単なる誤った情報提供ではなく積極的にサポートしているかのような挙動を見せた。

また、Copilotはスクリプトの違法性を認識しつつも、そのリスクについて十分な警告を行わず、表面的な注意喚起を添えるのみだった。このような状況は、Copilotのコンテンツフィルタリング機能に重大な欠陥がある可能性を示唆している。現在のところ、Microsoftから正式なコメントは発表されておらず、同社がどのような対応を取るのかが注目されている。

AIによる違法情報提供の危険性とセキュリティリスク

AIが違法なアクティベーションスクリプトを提供することは、単なる著作権侵害にとどまらず、深刻なセキュリティリスクを引き起こす可能性がある。こうしたスクリプトは、外部の不正なサーバーと通信するケースが多く、マルウェア感染の危険性が高い。特に、PowerShellを利用するスクリプトは、管理者権限で実行されることが多いため、システム全体に影響を及ぼす可能性がある。

具体的なリスクとしては、キーロガーによるパスワードや個人情報の盗難、リモートアクセス型トロイの木馬(RAT)によるシステムの乗っ取り、Windows Defenderの無効化などが考えられる。これにより、攻撃者がユーザーのデバイスを自由に操作できる状態に陥る危険もある。また、違法スクリプトが一見正常に動作していても、内部に隠されたバックドアが仕込まれているケースも少なくない。

AIがこうした情報をフィルタリングせずに提供することは、サイバー犯罪の温床となるだけでなく、一般ユーザーが意図せずに違法行為に関与するリスクを生む。MicrosoftはこれまでにもAIのセキュリティ対策を強化すると発表してきたが、今回の事例を見る限り、依然として問題は未解決のままである。Copilotが今後どのような制御を受けるのか、業界全体としてAIの安全性を再検討する必要があるだろう。

Microsoftの対応とAIの規制強化の必要性

今回の問題を受けて、Microsoftがどのような対応を取るのかが焦点となる。同社はこれまで、Windowsの海賊行為に対して一貫した立場を示してきたものの、意図的に寛容な姿勢を取る場面もあった。過去には、非正規版Windowsを対象に無料アップグレードを提供するなど、違法ユーザーを正式な利用者へ転換する戦略も取っていた。しかし、AIが直接違法行為を助長するとなれば、企業の信頼性にも関わる問題となる。

また、AIによる情報提供のあり方についても、規制の必要性が高まっている。これまでにも、AIが誤った医療情報や違法なハッキング手法を提供してしまうケースが報告されていたが、今回のように大手企業の公式AIが関与する事態は異例である。AIの活用が広がる中で、どこまで情報提供の自由を許容するべきか、そしてどのような対策を講じるべきかが議論されるべきだろう。

現在のところ、Copilotが今後アップデートによって規制強化される可能性は高いが、Microsoftが明確なガイドラインを示さない限り、同様の問題が繰り返される危険性は否めない。企業の対応次第では、政府や各国の規制当局がAIの運用ルールを厳格化する動きが加速する可能性もある。AIの進化に伴い、技術の悪用を防ぐための仕組み作りが急務となっている。

Source:Laptop Mag