MicrosoftはWindows 10のサポート終了を目前に、一般ユーザー向けのセキュリティ更新プログラム(ESU)の料金を初めて明らかにした。サポート終了日は2025年10月14日に設定されており、多くのユーザーがWindows 11への移行を望まない中、年額30ドルという料金が提示された。

企業向けに提供されていたESUプログラムが今回初めて個人にも拡大される形となり、新たなセキュリティ更新のみが提供されるが、新機能追加は一切含まれないとされている。今後も年次での契約更新が求められるかは不明であり、2028年までの期間にわたって追加のセキュリティサポートが受けられる。ESU登録の正式な開始は2025年であるが、地域別料金や詳細日程の発表はまだであり、今後の動向が注目される。

一般ユーザー向けESU提供の背景と意義

MicrosoftがWindows 10において一般ユーザー向けにESU(Extended Security Updates)を導入した背景には、現在も同OSを利用するユーザーの多さがある。サポート終了日が2025年10月に設定されたが、多くのデバイスは依然としてWindows 11のシステム要件を満たさないため、アップグレードが難しい現状がある。

これにより、サポート終了後も安全にデバイスを使用したいと考えるユーザーが多数存在していることから、企業向けに限定されていたESUを一般ユーザーにも提供する方針が採られた。

さらに、セキュリティの脅威が増大する現代において、OSがアップデートされずに放置されるリスクは高まっている。Microsoftとしては、サポート終了後も脆弱性に対応することで、不正アクセスやサイバー攻撃のリスクを軽減させることを目指しているとみられる。このような選択肢が一般ユーザーに提供されることは、消費者にとってもITセキュリティの観点から大きな意義を持つと考えられる。

年額30ドルの料金設定と継続サポートの可能性

Microsoftが提示したESUの料金は年額30ドルとされているが、この料金設定には賛否が分かれる可能性がある。Windows 10は2028年まで最大3年間の延長サポートが提供される見込みであり、一般ユーザーがこれを希望する場合、数年間の追加費用が必要になる。

この料金はセキュリティ更新のみを含むため、新機能やパフォーマンスの向上は一切期待できない。Microsoftの公式発表では、この30ドルが年額かどうかの明確な説明はないため、複数年にわたる負担がどの程度になるかも不明な点が残っている。

また、現在は国際的な料金の詳細も明かされておらず、日本や他の地域での価格がどのように設定されるか注目される。特に、企業顧客には3年間のサポート延長が提供される予定である一方、一般ユーザー向けには1年間のオプションしか示されていないことから、Microsoftが一般ユーザーのニーズにどこまで対応するのかが今後の焦点となるだろう。

ESU終了後の展望とWindows 10ユーザーの選択肢

Microsoftが提供するESUは、あくまでもセキュリティ更新のみを対象とするため、2028年10月以降は完全なサポート終了となる可能性が高い。この時点でWindows 10ユーザーはシステムの変更やアップグレードを迫られるが、デバイスのスペックが低くWindows 11への移行が難しいユーザーにとっては厳しい状況となる。

Microsoftは新たなOSの導入を促進したい意図があるとみられるが、これが大規模な電子廃棄物を引き起こす恐れも指摘されている。

このため、サポート終了後の選択肢として、低スペックデバイス向けの代替OSの需要が増加する可能性も考えられる。たとえば、Linuxなどの軽量OSへの移行を検討するユーザーも出てくるだろう。Microsoftの対応がどのように進むかは不透明なものの、サポート終了がもたらす影響はIT業界全体にとっても重要な課題であり、一般ユーザーが安心して使用できる環境を提供することが企業に求められているといえる。