Windows 11の最新アップデート「24H2」により、WordPadがついに廃止された。これは、2023年後半にWordPadが非推奨となり、2024年初頭のテストビルドからも削除された流れを受けた措置である。これにより、Windowsには標準でNotepadとWordのみが残り、WordPadの中間的な役割は消滅した。

長年の歴史を誇るWordPadの終焉

WordPadは1995年のWindows 95に初めて登場して以来、約30年間にわたりWindowsの標準アプリとして親しまれてきた。シンプルな操作性と、NotepadとMicrosoft Wordの中間的な機能を提供することで、多くのユーザーにとって手軽なテキストエディタとして利用されていた。しかし、最新のWindows 11「24H2」アップデートにより、ついにその歴史に幕を下ろすこととなった。

この動きは、2023年末にMicrosoftがWordPadを「非推奨」としたことで予告されていた。2024年初頭にはテスト版のWindowsからも削除され、今回のアップデートで正式に全ユーザーからWordPadが取り除かれた形だ。これにより、新たにWindows 11をインストールしたユーザーは、もはやWordPadを標準機能として利用できなくなった。代替手段として、NotepadかWordを選択する必要がある。

この廃止決定は、WordPadが持つ「中間的」な役割が、現代のニーズにそぐわなくなったことを示唆している。Microsoftは、NotepadやWordに対して新機能を追加することで、WordPadの役割を補完する方向にシフトしたようだ。長年にわたり利用されてきたアプリケーションが姿を消すのは寂しいが、技術の進化に伴い、ユーザーの期待も変わりつつある。

WordPadに代わるMicrosoftの新たなテキストエディタ戦略

WordPadの廃止により、Microsoftはテキストエディタに関して新たなアプローチを取ることとなった。今後、Windows 11ではNotepadが簡易的なテキスト編集ツールとして残り、より本格的な文書作成にはMicrosoft Wordが推奨される形となる。これにより、シンプルな作業にはNotepadを、複雑な文書にはWordを使い分けるという二極化が進む。

Notepadは、WordPadと異なり非常に軽量であるため、多くのプログラマーやシステム管理者に愛用されている。また、Microsoftは最近のアップデートでNotepadにいくつかの新機能を追加した。たとえば、スペルチェック機能や自動修正機能が導入され、ユーザーの利便性が向上した。しかし、Notepadは依然としてシンプルなエディタであり、WordPadに慣れ親しんだユーザーにとっては機能不足と感じる部分も多いだろう。

一方で、Microsoft Wordは高機能なワードプロセッサとして、より複雑な文章やドキュメント作成に適している。WordPadを愛用していたユーザーがWordに乗り換えるケースも予想されるが、そのためにはWordのライセンスが必要である点がネックとなるかもしれない。WordPadの廃止は、Microsoftがテキストエディタに対する役割を再定義するきっかけとなったと言える。

ユーザーが選ぶべき「Notepad」か「Word」か

WordPadの廃止により、Windows 11のユーザーは今後、NotepadかWordを選択する必要がある。この選択は、使用する目的や作業内容によって異なるが、それぞれのアプリケーションには明確な利点と欠点が存在する。まず、Notepadは非常に軽量で、シンプルなテキスト編集に最適である。起動速度も速く、メモ書きやプログラムのコード編集など、素早く作業を行いたい場合には非常に有効である。

一方で、Notepadには高度なフォーマット機能や画像挿入など、複雑な文書作成には向かない制約がある。そのため、より本格的なドキュメントを作成する場合は、Microsoft Wordの使用が推奨される。Wordは、豊富なフォーマットオプションやテンプレートを提供しており、プロフェッショナルな文書作成には欠かせないツールである。しかし、Wordを使用するにはライセンスが必要であり、コスト面での負担が生じることがある。

このように、WordPadの廃止によってNotepadとWordの選択肢が明確になったが、ユーザーの多様なニーズを満たすためには両者の使い分けが重要である。Microsoftは今後もこれらのアプリケーションに対するアップデートを続けていくと予想されるが、ユーザーは自分の作業に最も適したツールを見極める必要がある。

WordPadを維持する裏技とそのリスク

WordPadが正式に廃止されたとはいえ、一部のユーザーは引き続きこのアプリケーションを使い続ける手段を見つけている。YouTubeチャンネル「BrenTech」が公開した方法では、特定の手順を踏むことでWordPadをWindows 11に残し、使用を継続することが可能である。この方法は、WordPadに強い愛着を持つユーザーにとっては魅力的に映るだろう。

しかし、この手段にはリスクも伴う。まず、MicrosoftはWordPadのサポートを完全に終了しており、今後のセキュリティアップデートやバグ修正は一切提供されない。そのため、WordPadを使い続けることで、セキュリティホールが発生する可能性が高まる。特に、インターネットからダウンロードした不正なファイルを開く際に、脆弱性が悪用されるリスクがある。

また、長期的にはWordPadの機能が他のアプリケーションに比べて時代遅れとなることも予想される。MicrosoftはNotepadやWordの機能強化を進めており、WordPadを使用する意義が薄れていく可能性がある。したがって、WordPadを維持する選択肢はあくまで一時的なものであり、セキュリティや機能面でのデメリットを考慮する必要がある。