Windows 11の最新アップデート「24H2」で、いくつかの主要機能が正式に廃止された。特に注目されるのは、長年親しまれてきたWordPadの削除と、Mixed Realityサポートの終了である。また、かつてのIoT技術「AllJoyn」もサポートが打ち切られ、Windowsの進化が新たな局面を迎えている。

WordPadの廃止とその影響

Windows 11 24H2のリリースにより、1995年から存在していたWordPadがついに廃止された。WordPadは、Notepadよりも高度な機能を提供しつつ、フル機能のワープロソフトとは一線を画す独自の位置づけにあった。しかし、Microsoftは昨年、その廃止を発表し、24H2で正式に削除された。WordPadを使用していたユーザーには、代替手段としてMicrosoft Wordを推奨しているが、これは有料ライセンスが必要である。また、簡単なテキスト処理には引き続きNotepadが利用できるとしている。

WordPadは長らくアップデートされないまま放置されており、最新の機能改良も行われなかった。例えば、Notepadが最近ではスペルチェック機能などの追加改善を受けた一方で、WordPadはその進化を止めていた。多くのユーザーにとっては、使いやすさが支持されていたが、その需要が縮小し、ついにサポートが打ち切られたことになる。これにより、Windows 11はさらにモダンなアプリケーション環境に集中することが可能となる。

Mixed Realityのサポート終了

Windows Mixed Realityもまた、Windows 11 24H2において廃止された技術のひとつである。この機能は、Microsoftが推進していた拡張現実(AR)および仮想現実(VR)の技術だが、その未来は暗いものとなった。特に、MicrosoftのARデバイスであるHoloLensが市場で期待されたほど成功しなかったことが背景にある。この結果、Mixed Realityの開発は停滞し、今後のバージョンでは完全に削除されることが決まった。

すでにMixed Realityヘッドセットを所有しているユーザーは、現行バージョンであるWindows 11 23H2を使用し続けることが推奨されている。特に、ValveのゲームサービスであるSteamを利用する際には、このバージョンが必要である。また、Microsoftは2026年11月以降、Mixed Realityに対するセキュリティやバグ修正の更新を終了する予定である。これにより、Mixed Realityを使ったエンタープライズ向けの活用も事実上終了することが見込まれる。

AllJoynの夢破れる:IoT技術の終焉

Windows 11 24H2では、IoT技術であるAllJoynもサポート終了となった。この技術は、異なるプラットフォームやブランドに関係なく、デバイス同士を通信させることを目指したもので、かつては未来のIoT基盤として大きな期待が寄せられていた。Microsoftは当初、Windows 10にこの技術を統合し、IoTの発展に積極的に関与していたが、現実は厳しかった。

AllJoynは2016年にオープンコネクティビティ財団(OCF)に統合され、その後、GitHubでオープンソースプロジェクトとして公開された。しかし、実際にこの技術が広く普及することはなく、2024年の時点でほとんど更新も行われないまま放置されていた。最終的に、Microsoftはこの夢の終わりを認め、24H2からはサポートを完全に打ち切る決定を下した。これにより、かつての「IoT革命」の一端を担うとされた技術は、静かに幕を下ろすこととなった。

VBScriptの未来も風前の灯火

長年にわたりWebブラウザやWindowsスクリプト環境で活躍してきたVBScriptだが、その未来も不透明である。Microsoftはすでに、VBScriptが廃止予定リストに入っていることを公表しており、Windows 11の次期バージョンではこのスクリプト言語が消える可能性が高い。VBScriptは、かつて多くの企業や開発者によって利用されてきたが、JavaScriptの普及とともにその役割は大幅に縮小されてきた。

特に、セキュリティリスクが指摘されることが多く、現代のWeb開発においてはもはや推奨されていない。このため、VBScriptのサポート終了は時代の流れに沿った自然な決定といえるだろう。今後、VBScriptを利用していた開発者は、新しいスクリプト言語への移行を余儀なくされることになる。Windows 11 24H2での機能削除の動きは、Microsoftが古い技術を整理し、より安全で効率的な環境を提供しようとする意図を強く示している。