AMDの次世代APU「Medusa Halo」が、2026年に登場すると報じられている。Zen 6アーキテクチャを採用し、最大24コアのCPUを搭載。

これにより、前世代Strix Halo比でCPU性能が最大50%向上すると予測されている。また、統合GPU(iGPU)の強化も顕著で、コンピュートユニット(CU)は40基から48基へと20%増加し、一部のSKUではメモリバス幅が256ビットから384ビットへと拡大される可能性がある。

この結果、iGPU性能は最大50%向上すると見られ、デスクトップ向けGPUに匹敵する処理能力を持つと予想されている。AMDは「Medusa Ridge」「Medusa Point」「Medusa Halo」といったSKU構成を展開するとみられ、モバイルからワークステーションまで幅広い市場をターゲットにするようだ。Strix Haloを超えるこの新世代APUが、今後どのような影響を与えるのか注目される。

Zen 6 Medusa Haloの技術的進化 CPUとGPUの両面で大幅な性能向上

AMDの次世代APU「Medusa Halo」は、CPUとGPUの両面で前世代を大きく上回ると報じられている。特にCPUは、Zen 6アーキテクチャを採用し、最大24コア構成が可能になるという。これは、12コアのZen 6 CCD(Core Complex Die)を2基搭載することによるものだ。

Zen 5世代のStrix Haloが最大16コアだったのに対し、単純計算で50%のコア増加となる。これにより、シングルスレッド性能だけでなく、マルチスレッド性能も飛躍的に向上すると予測されている。

一方、統合GPU(iGPU)の進化も注目に値する。報道によると、Medusa HaloのiGPUは48基のコンピュートユニット(CU)を搭載し、Strix Haloの40CUと比較して20%の増加となる。さらに、一部のSKUではメモリバス幅が256ビットから384ビットに拡張される可能性があり、これによりメモリ帯域幅の大幅な向上が期待できる。この強化によって、iGPUの性能は最大50%向上する可能性があるという。

これまで、統合GPUは主に軽量な用途向けとされてきたが、Strix Haloの登場によりその認識は変わりつつある。特にRyzen AI Max+ 395に搭載されたRadeon 8060S iGPUは、RTX 4070ラップトップGPUに匹敵する性能を発揮し、高性能な統合GPUの時代が到来したといえる。Medusa Haloはさらにその進化を推し進め、従来のモバイル向けGPUの枠を超える存在となる可能性が高い。

Medusa Haloの市場戦略 デスクトップとモバイルの垣根を超える構成

AMDのMedusa Haloは、デスクトップ向けの「Medusa Ridge」、モバイル向けの「Medusa Point」、ワークステーション向けの「Medusa Halo」といったSKU構成になると報じられている。これにより、異なる市場ニーズに応じた製品展開が行われるとみられる。特に、Zen 6 CCDの12コア構成が標準採用されることで、ノートPCでも高性能なマルチスレッド処理が可能になる点が大きな特徴だ。

また、SKUごとの違いとして、メモリバス幅の差が注目される。Moore’s Law Is Dead(MLID)のリーク情報によると、一部のMedusa Halo SKUは256ビットのメモリバス幅を維持するが、上位モデルでは384ビットへ拡張される可能性がある。この違いにより、エントリーモデルからハイエンドモデルまで幅広い選択肢が提供されると考えられる。

これまでのAPUは、基本的に統合GPUを活かしたバッテリー駆動のモバイル向け市場が中心だった。しかし、Medusa Haloはワークステーション向けSKUを持つことで、デスクトップ市場にも本格的に進出する可能性がある。CPU性能の向上とGPUの強化により、APUという枠を超えて従来のデスクトップ向けディスクリートGPU市場に挑戦する存在になるかもしれない。

Medusa Haloの登場で変わるGPU市場 統合GPUが独立GPUを脅かす未来

統合GPUは長らく、エントリーレベルの性能しか持たないと考えられてきた。しかし、Medusa HaloのiGPUが最大50%性能向上すると報じられていることから、今後のGPU市場に与える影響は無視できない。特に、エントリークラスやミドルクラスの独立GPU(dGPU)にとって、Medusa Haloは強力な競争相手になり得る。

これまで、ゲーム用途やクリエイティブ作業では、独立GPUが不可欠とされてきた。しかし、Radeon 8060S iGPUがRTX 4070ラップトップ向けGPUに匹敵する性能を持つとされたように、Medusa HaloのiGPUはさらなる高性能化が期待されている。もし384ビットバスを持つモデルが登場すれば、メモリ帯域幅の向上により、従来のdGPU並みのパフォーマンスを発揮する可能性もある。

この流れが加速すれば、今後のPC市場では「独立GPUがなくても十分な性能を発揮できるAPU」が主流になる可能性もある。特に、消費電力や発熱の面で有利な統合GPUは、省電力ノートPCや軽量ゲーミングPCにおいて大きなアドバンテージを持つ。Medusa Haloの登場によって、dGPUの必要性が見直される時代が訪れるかもしれない。

Source:NotebookCheck