ASUSの最新モデル「Zenbook S 16 (UM5606)」は、美しいOLEDディスプレイと高度なAI機能を備えたノートPCとして登場した。独自のセラミック仕上げを施した洗練されたデザインや、AMDの最新プロセッサによる強力なAI機能が特徴で、プロフェッショナルから一般ユーザーまで幅広いニーズに応える製品である。ただし、専用GPUが搭載されていないため、グラフィック性能に一部の課題も見られる。

独自のセラミックデザインと洗練された外観

ASUS Zenbook S 16 (UM5606)は、セラミック層を使用した独自の「Ceraluminum」仕上げが特徴的である。この加工により、ノートPCの外装にはマットな質感が生まれ、傷や摩耗にも強い耐久性を持たせている。特に、蓋部分に刻印されたASUSのスタイリッシュな「A」ロゴと、アルミニウムの繊細なラインが高級感を演出し、全体的に洗練されたデザインが印象的だ。

本体の厚さはわずか0.51インチ、重量も1.5kg以下と非常にスリムで軽量でありながら、16インチという大画面を搭載しているため、高い携帯性と作業効率を両立している。また、指紋や汚れが目立ちにくいセラミック仕上げは、長時間の使用でも美しさを保つことが可能だ。カラーバリエーションは、シックな「スカンジナビアンホワイト」と「ズマイアグレー」が用意されており、ユーザーのスタイルに合わせて選択できる。こうしたデザインのこだわりが、単なるPCを超えたファッション性を持つデバイスとしての存在感を際立たせている。

OLEDディスプレイとタッチ機能で実現する高品質な映像体験

Zenbook S 16には、16インチのOLEDタッチディスプレイが搭載されており、解像度は2880 x 1800ピクセル、120Hzのリフレッシュレートに対応している。ディスプレイのピーク輝度は500ニットに達し、鮮やかな色彩と高いコントラストを実現するため、映画鑑賞や写真編集、ゲームにおいても非常にクリアでリアルな映像体験が可能である。さらに、OLED特有の深い黒の表現により、映像のディテールが際立つ。

また、タッチスクリーンにはスタイラスペンが付属しており、描画やメモ取りが可能である。しかし、クラムシェルデザインのため、タブレットのような自由な描き心地には若干の制約がある。それでも、クリエイティブな作業をサポートするための十分な機能を備えている。また、6基のHarman Kardon製スピーカーがDolby Atmosに対応しており、映像だけでなく音響面でも高品質なエンターテインメント体験を提供する。視覚と聴覚の両面からユーザーを満足させるこのディスプレイ機能は、Zenbook S 16の大きな魅力の一つである。

AMD Ryzen AI 9 HX 370プロセッサで実現するAI機能とパフォーマンス

Zenbook S 16は、最新のAMD Ryzen AI 9 HX 370プロセッサを搭載しており、これがAI機能とパフォーマンスの両立を実現している。AMDのRyzen AI 300ファミリーに属するこのプロセッサは、4ナノメートルの製造プロセスを採用し、高性能なAIエンジンによって最大50兆回の演算(TOPS)を可能にしている。これにより、画像処理やシステムの最適化、コンテンツ生成など、多様なAIタスクを迅速かつ効率的に処理できる。

また、32のエンジンタイルを持つこのプロセッサは、従来のPCでは難しかったAIベースのワークフローにも対応している。専用の「Microsoft Copilot」キーを使えば、AIアシスタントの機能をすぐに呼び出すことができ、タスクの自動化や効率化を実現する。また、専用GPUがないにもかかわらず、AI処理に特化した構造により、従来のプロセッサでは達成できなかったレベルのパフォーマンスを引き出している。こうした点から、Zenbook S 16はAI活用を前提とした次世代のPCとして期待されている。

優れたバッテリー寿命と課題の残るグラフィック性能

Zenbook S 16のバッテリー寿命は非常に優れており、1回の充電で20時間以上の連続使用が可能である。大画面16インチノートPCとしては驚異的な長寿命であり、外出先での長時間作業にも十分対応できる。このバッテリー性能の高さは、専用GPUを搭載していないことに起因しており、効率的な電力管理が実現されている。

一方で、グラフィック性能に関しては課題が残る。ディスクリートGPUを搭載していないため、グラフィック処理に関しては、同価格帯の製品に比べるとやや劣る結果となっている。特に動画編集や高負荷な3Dレンダリングを行う際には、専用GPUを搭載した他機種に比べて性能が低下する場面が見られる。それでも、一般的な業務や軽いグラフィック処理、AIを活用したタスクには十分なパフォーマンスを発揮するため、多くのユーザーにとっては十分に使い勝手の良いノートPCであると言える。