ゲーム配信プラットフォーム「Steam」を運営するValveは、2024年11月5日付でWindows 7および8のサポートを終了するアップデートをリリースした。これにより、これらのOS上ではSteamの最新クライアントが動作しなくなるため、ユーザーはWindows 10や11へのアップグレードが必須となる。

Valveは、サポート終了の理由としてセキュリティ面の懸念を挙げ、古いOSが新たなマルウェアや脆弱性の標的となりやすくなるリスクを指摘している。今回の決定には、Google Chromeの古いWindowsバージョンでのサポート終了が影響しており、今後のSteamは最新Windows機能とセキュリティアップデートに依存する仕様に移行する予定である。

加えて、MacOS 10.13および10.14も同様にサポート対象外となることが発表された。ユーザーにとっては、最新のオペレーティングシステムへ移行するか、Linuxなどの別のOSへの選択が迫られる形だ。

Valveの決断に見るセキュリティリスクと技術の進化

ValveがWindows 7と8のサポートを終了した背景には、古いOSにおけるセキュリティ上の脆弱性がある。公式のFAQによると、これらのOSを利用するデバイスは新たなマルウェアやエクスプロイトの標的になりやすく、攻撃のリスクが高まっているとされる。

インターネットに接続するPCがパッチの提供を受けないことで、パフォーマンス低下やクラッシュといった問題も発生しやすくなり、結果としてゲーム体験が損なわれる可能性がある。さらに、これらの脅威がユーザーのSteamアカウントや他のサービスに関連する認証情報を盗む可能性も示唆されている。Valveはこうしたリスクから、ユーザーが安全に利用できる最新のプラットフォームを選ぶことを推奨している。

一方、セキュリティリスクの増加に対応するため、SteamはGoogle Chromeの機能に依存する構造を採用しているが、これもWindows 10以降のOSでしか十分な機能を発揮しない。これにより、最新のオペレーティングシステムへ移行することが、単にSteamの使用継続を支えるだけでなく、ユーザーのオンライン体験全般の安全性を高める要因ともなっている。

MacOSユーザーにも影響するOSサポートの縮小

Valveの発表はWindowsユーザーだけでなく、一部のMacOSユーザーにも影響を及ぼす。具体的には、MacOS 10.13および10.14もサポート外となり、これらの古いMacOSでSteamを利用することは不可能になる。

Valveがこの決定を下した背景には、Windows同様、古いMacOSにおいても十分なセキュリティを提供できないリスクがあるとされる。また、最新のゲームソフトウェアやグラフィックドライバの進化に対応するには、最新OSの利用が不可欠であり、旧OSが制約を抱える中でのパフォーマンス向上が難しい現実も影響している。

Valveの動向からは、セキュリティとパフォーマンスを両立するために、古い技術基盤を切り離すことが重要であることがわかる。この決定は、一部のユーザーには不便をもたらすが、時代に応じた最適な体験を提供するという点で理解されるべきであろう。

最新OSへのアップグレードが持つ長期的メリット

今回のサポート終了は、WindowsやMacOSのアップグレードに踏み切る契機となる。Valveの指摘するように、最新のOSを利用することでマルウェアのリスクを抑えるとともに、Google Chromeを活用した新機能を十分に享受できる。例えば、Steam内でのゲーム録画機能が導入されており、これを快適に活用するには新しいシステム環境が不可欠となっている。古いOSに固執するより、アップグレードを選択することで、今後のアップデートや新機能に柔軟に対応できる点もメリットといえる。

さらに、最新OSはセキュリティだけでなく、パフォーマンスや互換性においても大きな向上をもたらす可能性がある。特に、ゲームプレイにおける高いパフォーマンスや安定性は、最新のハードウェアとソフトウェアの連携によって初めて実現されるものであるため、今回のアップデートはユーザーにとって長期的な投資とも言えるだろう。