Nvidiaの最新GPU「RTX 50シリーズ」が正式に販売開始されたが、ボードパートナー各社の価格設定が話題となっている。特にASUSは「ROG Astral LC GeForce RTX 5090 32GB GDDR7 OC Edition」を3,409.99ドルで販売し、メーカー希望小売価格(MSRP)を大幅に上回る価格となっている。

ASUSは当初3,099.99ドルでの販売を発表したが、わずか数日で300ドル以上の値上げを実施。また、RTX 5080のエントリーモデル「PRIME RTX 5080」も999ドルの特別価格で販売されたが、すぐに1,149.99ドルへ引き上げられる予定となっている。この価格設定の背景には、供給不足やボードパートナー各社の利益確保の動きが影響しているとみられる。

MSIも同様に価格を上乗せしており、特に「RTX 5090 SUPRIM LIQUID」は2,789.99ドルで販売されている。これにより、一部のカスタムモデルではMSRPを500ドル以上上回る価格が設定されており、RTX 50シリーズの価格高騰が深刻化している。

供給不足により、RTX 50シリーズの在庫はすぐに枯渇し、一部の小売業者では入荷待ちが20週間以上に及ぶ可能性も指摘されている。この状況が続く限り、高価格での販売が常態化する可能性が高い。Nvidiaの今後の供給計画次第ではあるが、当面は価格の安定は見込めないかもしれない。

RTX 50シリーズの価格上昇の背景にある供給問題と市場の動向

RTX 5090およびRTX 5080の価格が急騰している背景には、単なる需要の高さだけでなく、供給不足という根本的な問題がある。Nvidiaは最新世代のGPUにGDDR7メモリを採用しており、この新型メモリの供給が限られていることが生産量を制約する要因のひとつとされている。さらに、半導体の製造プロセスに関わる技術的な課題も生産遅延の原因となっている可能性がある。

また、Nvidiaが「Founders Edition」を発表した際、MSRPを抑えた価格設定を行ったことで、ボードパートナー各社は自社のカスタムモデルで価格を引き上げる動きを強めたとみられる。ASUSやMSIなどの主要メーカーが発売直後に値上げを実施したことは、単なる転売市場の問題ではなく、メーカー自体が供給不足を理由に利益を最大化しようとしていることを示唆している。

加えて、販売店側も在庫の希少性を利用して価格を吊り上げる傾向がある。特にオンラインストアでは、RTX 50シリーズの在庫が数分で完売することが続いており、一部の小売業者はプレミアム価格で販売を行っている。Nvidiaの公式販売ルートにおいても供給が安定しない限り、価格の高騰は続くとみられる。

RTX 5090の性能向上と高価格化のバランスは適正か

RTX 5090は前世代のRTX 4090と比較しても大幅な性能向上を果たしているとされる。特に、CUDAコア数の増加、GDDR7メモリの採用、高速なレイトレーシング処理能力などが強調されており、これにより4K解像度でのゲーミング性能が飛躍的に向上している。しかし、価格面ではRTX 4090の発売時価格と比べても数百ドル以上の差があり、コストパフォーマンスの観点からは評価が分かれている。

RTX 5090は一部の専門家から「AIワークロードやプロフェッショナル向けのツールとしては優秀」と評価されているが、一般のゲーマーにとっては高すぎると感じる声も多い。特に、現時点では対応タイトルが限られているDLSS 4や新しいレイトレーシング技術が活かされる環境が整っていないため、「今すぐ購入するべきか?」という疑問を持つユーザーも少なくない。

また、価格上昇の大きな要因は単なる技術進化ではなく、メーカーや販売店の戦略的な要素も影響している。RTX 50シリーズの供給が本格的に安定すれば、価格が落ち着く可能性もあるが、それまでの間は高価格が維持されるとみられる。これにより、一部のユーザーはRTX 4090やRTX 4080 Superといった前世代モデルを選ぶという動きも出てきている。

今後の市場動向と価格調整の可能性

RTX 50シリーズの価格が安定するかどうかは、Nvidiaの生産計画と流通の動向に大きく左右される。現在の状況を見る限り、GDDR7メモリの供給が増加し、生産ラインが最適化されるまでにはまだ時間がかかると予測される。一方で、年末商戦に向けてNvidiaが追加の供給を行う可能性もあるため、価格変動には注意が必要だ。

さらに、AMDが次世代GPU「RDNA 4」アーキテクチャを採用した新モデルを発表するとの噂もあり、これが市場に投入されれば、Nvidia側も競争のために価格調整を迫られる可能性がある。ただし、AMDの新モデルがRTX 5090の直接的な競合となるかは不透明であり、価格帯が異なる場合はNvidiaの強気な価格戦略が続く可能性もある。

また、AI関連の需要が引き続き高まっていることも影響を与えている。RTX 5090はゲーミング用途だけでなく、AI研究やクリエイター向けのワークロードにも適しているため、法人や研究機関による大量購入が価格の安定を妨げる要因となるかもしれない。現状では、一般ユーザー向けの適正価格に戻るには時間がかかるとみるべきだろう。

Source:PC Guide