サムスンは、次世代GPU向けに24Gb GDDR7メモリモジュールを発表した。この新型メモリは40Gbpsを超える速度を実現し、現行のGDDR6Xメモリを大きく上回る性能を誇る。GDDR7の登場により、GPUのメモリ容量と帯域幅が飛躍的に向上し、より高性能なAIやワークステーション用途が期待されている。商業生産は2025年初頭に開始される予定である。
サムスン、世界初の24Gb GDDR7メモリを開発
サムスンは2024年10月、世界で初めて24Gb GDDR7メモリを開発したと発表した。この新型メモリは、サムスンの第5世代10nmプロセス技術を使用しており、セル密度を50%向上させることに成功している。この技術進化にもかかわらず、メモリのパッケージサイズは従来のGDDR6と変わらず、同じ物理的スペースに大幅な性能向上を実現した。
GDDR7は、従来のGDDR6Xメモリを大きく超える転送速度を提供しており、特に次世代GPU市場において強力な競争力を持つことが期待されている。サムスンの新型メモリは最大40Gbpsの転送速度を誇り、これは現在のNVIDIA RTX 4090に搭載されている21GbpsのGDDR6Xメモリを圧倒的に上回る。
この技術革新は、特にゲームや人工知能(AI)向けの高性能GPUにおいて重要な役割を果たすと考えられている。AIやワークステーション市場における需要の増加に対応するため、サムスンは今後も更なる開発を進めていく方針である。
GDDR7のパフォーマンス:RTX 4090を凌駕するスペック
サムスンのGDDR7は、RTX 4090に搭載されているGDDR6Xメモリを大幅に上回るパフォーマンスを発揮する。この新しいメモリは、50%のメモリ容量増加に加え、90%ものメモリ帯域幅の向上を実現している。具体的には、GDDR6Xメモリが提供する21Gbpsの転送速度に対し、GDDR7は40Gbpsを超える性能を持つ。
メモリ帯域幅の増加により、特にリアルタイムレイトレーシングや高度なグラフィックス処理が求められる最新のゲームや、AIモデルのトレーニングにおける処理速度が大幅に向上することが見込まれる。さらに、VRAM(ビデオメモリ)の容量も従来の16Gb DRAMから24Gb DRAMに進化し、1チップあたりのメモリ容量が2GBから3GBに増加する。
このメモリ性能の向上により、特にグラフィックス処理の重いゲームやAIの研究開発において、従来の制約が大きく緩和されることが期待されている。これにより、より多くのデータを高速に処理することが可能となり、次世代GPUの性能を最大限に引き出すことができるだろう。
メモリ容量と帯域幅の飛躍的向上がもたらす影響
GDDR7の登場により、GPUのメモリ容量と帯域幅が劇的に向上する。従来の16Gb DRAMに代わって、24Gb DRAMが新しい標準となり、GPUのVRAM容量は大幅に拡大する見通しである。例えば、128ビットメモリバスを持つGPUでは、従来の8GBから12GBへと容量が増加し、256ビットバスのGPUでは24GB、512ビットバスのGPUでは最大48GBのVRAMを搭載できるようになる。
これにより、特に高解像度や高リフレッシュレートを必要とするゲーム、そして大量のデータを処理するAIや科学計算向けのGPUにおいて、大容量のメモリを必要とするタスクがより効率的に処理されることが期待されている。また、より低価格帯のGPUでも12GBのVRAMを搭載することが可能となり、エントリーレベルのユーザーにも大きな恩恵をもたらすだろう。
メモリの帯域幅の向上は、単に容量を増やすだけでなく、データ転送速度の向上にも寄与する。この結果、ゲームやAIの処理速度がさらに向上し、特に高負荷なタスクを扱う際のパフォーマンスが飛躍的に向上することが予想される。
商業生産は2025年開始予定
サムスンは、この新型24Gb GDDR7メモリモジュールの商業生産を2025年初頭に開始する予定である。このタイムラインにより、次世代GPUやAI、ワークステーション向けの製品に搭載されることが期待されており、各分野のパフォーマンス向上が見込まれている。
現在、サムスンはGPUメーカーやAI関連企業と共同で、GDDR7メモリの検証作業を進めている。これにより、実際の製品でどのように性能が発揮されるかを確認し、最適化を図っている段階である。GDDR7の導入により、エンタープライズ向けのハイエンドGPUのみならず、ゲーミング市場でも高性能なグラフィック処理がより手軽に実現できるようになるだろう。
2025年の商業生産開始に伴い、GDDR7を搭載した新世代GPUの発売が相次ぐことが予測されている。この新技術は、次世代のグラフィック技術の進化をさらに加速させ、ユーザーの体験を一段と向上させるだろう。