Huaweiが開発中の新型Kirin 9シリーズチップは、「1+3+4」のオクタコア構成を採用する可能性がある。このアーキテクチャは、1つの大規模コア、3つの中規模コア、4つの小規模コアで構成され、高性能と省電力を両立する設計だ。さらに、この新チップは改良された7nm Pro Plusプロセスを使用し、CPU性能の向上を目指している。この技術により、最新の5nmや3nmプロセスではなく、既存の7nm技術に焦点を当てた進化が期待される。

HuaweiのKirin 9チップ、進化した「1+3+4」構成とは

Huaweiの新型Kirin 9チップは、「1+3+4」のオクタコア構成を採用する予定である。この構成は、1つの大規模コア、3つの中規模コア、4つの小規模コアで構成され、性能と省電力のバランスを最適化する設計となっている。大規模コアは高負荷な処理に対応し、ゲームやビデオ編集などのヘビーなタスクをスムーズに処理できる。一方で、中規模コアと小規模コアは、省エネルギー性能を維持しつつ、日常的なアプリケーションを効率的に動作させる役割を担っている。

この「1+3+4」構成は、マルチタスク処理においてもその強みを発揮する。複数のアプリを同時に使用する際、必要に応じて異なるサイズのコアが動作するため、エネルギーの消費を抑えつつ、全体的なパフォーマンスを向上させることが可能だ。これにより、ユーザーはバッテリー寿命を延ばしつつ、高性能なアプリケーションを快適に利用できる。

Huaweiはこの新しい構成を通じて、既存のスマートフォンチップ市場に革新をもたらそうとしている。特に、これまでのチップでは見られなかったコアの組み合わせによって、従来のスマートフォンにおけるパフォーマンスの常識を覆すことを狙っている。

7nmプロセスの改良で性能向上を実現

Kirin 9チップは、従来の7nmプロセスをさらに改良した「7nm Pro Plus」技術を採用している。この改良プロセスにより、CPUの性能はさらに向上し、最新の5nmや3nmプロセスを使用せずとも、十分な競争力を持つことができる。この選択は、Huaweiが成熟した技術を基に新しいソリューションを提供し、安定した性能と製造効率を両立するための戦略である。

7nm Pro Plusプロセスでは、チップの動作周波数や消費電力の最適化が図られており、これによりより多くの処理能力を引き出すことが可能となっている。また、プロセスの安定性も向上しており、長期的な使用においても性能低下が少ないとされている。この技術の導入により、Kirin 9チップは長時間使用時の発熱を抑えつつ、高い処理能力を発揮する。

Huaweiは、7nmプロセスの枠内でさらなる改良を施すことで、従来の技術を洗練させる方向に舵を切った。これは、5nmや3nm技術に焦点を当てる競合メーカーとの差別化を図る動きでもあり、結果として高い生産性とコストパフォーマンスを実現する狙いがある。

メモリ接続チャンネルの新しい選択肢

Kirin 9チップでは、メモリ接続に関しても新たな工夫が施されている。チップのリーク情報によると、Huaweiは今回の設計で最大8チャンネルまでのメモリ接続をサポートする可能性があるという。これは、標準的なスマートフォンプロセッサにおいては珍しい特徴であり、通常はサーバー向けの高性能プロセッサで採用される技術である。

メモリチャンネルとは、CPUがメモリにアクセスするための経路であり、これが多いほど一度に処理できるデータの量が増加する。Quad Channel、すなわち4チャンネルが一般的だが、Kirin 9チップでは6チャンネルや8チャンネルまで対応可能であることが示唆されている。このチャンネル数の増加により、データ転送の帯域幅が広がり、処理能力の大幅な向上が期待できる。

特に、大容量データの処理が必要なアプリケーションや、高速なデータ転送を要するシーンでこの技術は効果を発揮するだろう。この技術が実現されれば、Huaweiのスマートフォンはさらなる高速化と高いレスポンス性能を手に入れることができる。

Mate 70シリーズでの搭載が予想される新チップ

Huaweiの新型Kirin 9チップは、次期フラッグシップモデルであるMate 70シリーズに搭載されることが予想されている。特に、標準モデルのMate 70には、この新しいKirin 9チップが使用される可能性が高いとされている。Mateシリーズは毎年新たな技術を取り入れて進化しており、今回のチップ搭載によってさらなる性能向上が見込まれている。

一方で、Mate 70 Proやその他の高性能モデルには、5nmプロセスを採用したアップグレード版のプロセッサが搭載される可能性が指摘されている。この5nmプロセッサは、より高度な技術を用いており、Kirin 9チップと比較してさらなる性能を提供するという予測がされている。これにより、Mate 70シリーズは、ユーザーのニーズに応じた複数のモデルラインアップを揃えることになるだろう。

Mate 70シリーズの発表は2024年11月頃とされており、Kirin 9チップに関するさらなる詳細もその際に明らかにされる見込みである。Huaweiがどのような革新をもたらすのか、注目が集まっている。