インテルは、デスクトップ向け新世代プロセッサ「Core Ultra 200S」シリーズを発表した。コードネーム「Arrow Lake」と名付けられたこれらのCPUは、AIアクセラレーション用のNPUを初めて統合したのが特徴である。ゲームやコンテンツ制作において、消費電力を大幅に削減しながら高いパフォーマンスを実現するとして、注目を集めている。

新しい「Arrow Lake」プロセッサの特徴とは?

インテルが発表した「Arrow Lake」プロセッサは、次世代デスクトップ向けに特化した製品である。このシリーズの最大の特徴は、初めてAI処理を加速するためのNPU(ニューラルプロセッシングユニット)が統合されている点である。これにより、ゲームやクリエイティブな作業においてAIの利用が一層進化し、従来のプロセッサよりも効率的な処理が可能となる。

さらに、インテルは「Core i」ブランドを廃止し、新しいナンバリング方式を導入している。これにより、製品の世代やクラスが明確に区別されるようになり、ユーザーは選びやすくなった。また、従来の第14世代Core製品に対して、消費電力を大幅に削減しながらも、パフォーマンスは維持または向上させることを目指している。

この「Arrow Lake」シリーズは、特にゲーミングやコンテンツ制作において、高い冷却効率と静音性を実現し、長時間の作業でも快適な動作を提供する。AI統合によるさらなる進化と、省電力性能の向上がユーザーに新たな体験をもたらすことが期待されている。

「Core Ultra 9 285K」を筆頭に5モデルを展開

「Arrow Lake」シリーズには、5つの新しいCPUモデルがラインナップされており、最上位モデルには「Core Ultra 9 285K」が位置する。このモデルは、8つのPコア(高性能コア)と16のEコア(効率コア)を備え、最大5.7GHzのクロックスピードを誇る。

また、この他にも「Core Ultra 7 265K」「265KF」、そして「Core Ultra 5 245K」「245KF」のモデルが発表されている。これらのモデルもすべてオーバークロックに対応しており、特に「K」サフィックスがついたモデルはロック解除されているため、ユーザーは自由にクロック速度を調整できる。「KF」モデルは統合グラフィックスを持たないため、価格を抑えたいユーザーに向いている。

すべてのモデルがDDR5-6400 RAMに対応しており、最大で192GBのメモリをサポートする点も特徴的である。高性能かつ柔軟なカスタマイズ性を求めるユーザーにとって、この5モデルは多様なニーズに応えるだろう。

パワーエフィシェンシーとAI対応でゲームとコンテンツ制作を強化

「Arrow Lake」プロセッサは、消費電力の大幅な削減を実現している。インテルによれば、このシリーズは従来の第14世代Coreシリーズと比べ、最大で半分の電力消費で同等かそれ以上のパフォーマンスを発揮する。これにより、特に長時間のゲームプレイや高負荷のコンテンツ制作において、デバイスの発熱やファンの騒音が大幅に抑えられる。

AI対応のNPUが統合されたことにより、コンテンツ制作アプリケーションでの処理速度も向上する。映像編集や3Dモデリングといった高負荷作業でも、AIの加速が作業効率を高め、クリエイターの生産性を向上させる。また、次世代の統合GPUである「Xe」は、最新のコンテンツフォーマットにも対応しており、エンコードやデコードの高速化も実現する。

この省電力性とAI対応が相まって、ゲーミングとコンテンツ制作の両方で快適かつ効率的な作業環境を提供するのが「Arrow Lake」の強みである。

次世代プラットフォームの互換性と新機能

「Arrow Lake」シリーズの導入により、新しいソケット「LGA1851」が必要となり、従来のマザーボードとの互換性はない。この新しいソケットに対応するため、AsusやGigabyteといったメーカーは、すでに最新の「Z890」チップセットを搭載したマザーボードを発表している。インテルは、今後さらに多くのマザーボードが登場するとしており、特にエントリーレベル向けのチップセットも追加される見込みである。

この次世代プラットフォームでは、Wi-Fi 6EやBluetooth 5.3といった新しい通信規格が標準でサポートされている。さらに、Thunderbolt 4の2レーンに対応しており、Thunderbolt ShareによるPC間での高速データ転送も可能である。一部のマザーボードメーカーは、Thunderbolt 5やWi-Fi 7への対応も予定している。

また、エンスージアスト向けには、さらに詳細なオーバークロック制御機能が提供されており、細かな調整が可能だ。これらの新機能により、プラットフォーム全体としての拡張性と柔軟性が大きく向上している。