IntelのLunar Lake Core Ultra 200シリーズを搭載したノートPCで、LinuxがWindows 11を性能面で上回るという興味深い結果が示された。Phoronixによるテストでは、平均で14%、一部の3Dレンダリング作業では20%もの性能向上が確認された。特にBlenderやマルチスレッド作業で顕著な差が現れたが、グラフィックス性能に関してはLinuxに改善の余地が残るとされている。

LinuxがWindows 11に対して14%高速に

IntelのLunar Lake Core Ultra 200シリーズを搭載したノートPCで行われたテストにより、LinuxがWindows 11を性能面で大きく上回る結果が示された。特に注目すべきは、平均で14%の速度向上が見られた点である。Phoronixの比較テストでは、Ubuntu 24.10を使用したLinuxと、最新のWindows 11を比較したところ、CPUの処理能力においてLinuxが全体的に優れていた。特にマルチスレッド処理やクリエイティブ作業において、この差が顕著に現れた。

この結果は、以前からLinuxが持つ汎用計算性能の優位性を改めて証明するものである。Intelのハイブリッドアーキテクチャに対する懸念もあったが、この結果はLinuxでのスケジューリングが十分に機能していることを示している。したがって、Linuxを使用することで、より効率的な処理と高いパフォーマンスが得られる可能性が高い。

ただし、全体的な性能の差が大きいとはいえ、一部のタスクではWindows 11が若干の優位性を示す場面も存在する。特に、次項で詳述する7-Zipデータ解凍などの特定のタスクにおいては、Linuxが苦戦する結果となった。

3Dレンダリングとマルチスレッド作業で大幅な差

今回のテストで特に注目されたのが、3Dレンダリングやマルチスレッド作業におけるLinuxの圧倒的な性能差である。Blenderの「Fishy Cat」や「Junkshop」といった3Dレンダリングのベンチマークテストにおいて、Ubuntu 24.10を使用したLinuxは、Windows 11に対して約20%もの性能向上を示した。この差は、クリエイティブ作業を行うユーザーにとって非常に大きな利点となるだろう。

また、IntelのOpen Image Denoise 2.3を使用した場合でも、Linuxはわずかながら優位に立っていた。さらに、Intelのレイトレーシングエンジン「OSPRay」でも、Linuxが一貫してWindowsを上回る性能を発揮しており、これがマルチスレッド処理全般においても大きな影響を与えたと考えられる。

一方で、すべてのタスクでLinuxが圧倒していたわけではない。グラフィックス性能については、次項で述べるように、まだ課題が残る場面が見られた。

Windows 11が一部で優位に立つ場面も

全体的にはLinuxが優れているとされたものの、一部のタスクにおいてはWindows 11が優位に立つ場面も確認された。特に、7-Zipを用いたデータの解凍作業では、Windows 11がLinuxに対して1.15%の差で勝利した。これにより、データ圧縮や解凍に関してはWindowsのアルゴリズムが効率的に働いていることが示唆される。

また、テストに使用されたAsus Zenbook S14において、Windowsは特定のタスクにおいて安定した性能を発揮した。これにより、ユーザーの利用目的によっては、Windowsの方が適している場面もあると考えられる。ただし、この優位性はあくまで特定のタスクに限定されており、全体的な性能ではLinuxの方が勝っているといえる。

総合的に見ると、クリエイターや開発者向けのワークフローではLinuxの方が有利であるが、特定のユースケースではWindows 11が選択肢として残る。ユーザーのニーズに応じた選択が求められる。

グラフィックス性能には依然課題が残る

今回のテストでは、Linuxが多くの点でWindows 11を上回る結果を示したものの、グラフィックス性能に関しては依然として課題が残ることが明らかになった。特に、IntelのXe2 iGPUにおけるパフォーマンスはLinux側で不十分であり、これが大きな問題点として浮き彫りになった。

Linux上でのグラフィックス性能は、クリエイティブな作業やゲーミングなどGPUを多用する場面では、Windows 11に大きく劣る。Intelはこの問題に対処するための取り組みを進めているが、現時点ではまだ完全な解決には至っていない。特に、GPUアクセラレーションが必要なタスクを頻繁に行うユーザーにとっては、この点が大きな懸念材料となる。

そのため、現時点では、Lunar Lake搭載のノートPCを選択する際に、Linuxが最適な選択肢となるかは用途次第である。GPU性能を重視する場合は、引き続きWindows 11の優位性が保たれる可能性が高いと言える。