Appleが発表した新型Mac Studioは、M4 MaxとM3 Ultraの2種類のチップセットを搭載したモデルが登場する。M3 UltraはM3 Maxの2倍の性能を持つチップで、特に動画編集やローカルAI処理での圧倒的なパワーが魅力だ。さらに、Macとして初めてThunderbolt 5を搭載し、最大8Kディスプレイの接続にも対応している。

しかし、コストパフォーマンスの面では課題もある。M3 Ultraモデルは最低価格でも約$3,999と高額であり、同じ予算ならWindowsのハイエンドPCを選ぶ方が合理的な場合もある。加えて、ゲーミング用途には依然として不向きで、RTX 4090搭載のPCと比較するとフレームレートの差は歴然だ。

Mac Studio M3 Ultraは、特定の用途には非常に優れた選択肢となるが、全てのユーザーに最適なわけではない。その価格と性能のバランスをどう考えるかが、購入を判断するポイントとなるだろう。

Mac Studio M3 Ultraの圧倒的スペックと進化した接続性能

新型Mac Studio M3 Ultraは、Appleが提供する最も強力なデスクトップの一つであり、特にクリエイター向けのハイエンドマシンとしての位置づけが強い。M3 UltraはM3 Maxを2つ組み合わせた設計で、CPUは32コア、GPUは80コアと驚異的なスペックを誇る。

RAMは最低でも96GB、ストレージは1TBからとなっており、最大512GB RAMと16TB SSDへのカスタマイズも可能だ。このパフォーマンスにより、4K・8K動画のレンダリングや大規模AIモデルのローカル運用など、極めて負荷の高い作業をスムーズにこなせる。

さらに、Macとして初めてThunderbolt 5を搭載している点も注目に値する。M3 Ultraモデルは、背面に4つ、前面に2つの計6つのThunderbolt 5ポートを備えており、データ転送速度は最大80Gbpsに達する。これにより、従来のThunderbolt 4よりも倍の帯域幅が確保され、外部ディスプレイやストレージの接続がより快適になる。

例えば、M3 Ultraモデルでは最大8台のディスプレイを接続可能であり、マルチディスプレイ環境を求めるプロフェッショナルにとって理想的な選択肢となるだろう。

ただし、これらの性能が一般ユーザーにとって必要不可欠かどうかは疑問が残る。多くのユーザーはThunderbolt 4で十分なデータ転送速度を享受しており、M3 Ultraのスペックをフルに活かせる場面は限られている。特に、GPU性能を重視するユーザーにとっては、同価格帯のWindowsマシンやワークステーションGPUを搭載したPCの方が、選択肢として魅力的に映るかもしれない。

M3 UltraはM4 Maxに劣るのか?性能比較で見えた意外な事実

Mac Studio M3 UltraはAppleシリコンの最上位モデルとして投入されるが、M4 Maxとの比較では思わぬ結果が浮かび上がる。Geekbench 6.4のベンチマークスコアを見ると、M3 Ultraのシングルコアスコアは3,221、マルチコアスコアは27,749。

一方、M4 Maxはシングルコアスコアが3,884、マルチコアスコアが24,445となっている。つまり、M3 Ultraはマルチスレッド性能ではM4 Maxを上回るものの、シングルコア性能ではM4 Maxの方が優れていることが分かる。

この結果は、M3 UltraがM3 Maxを2つ組み合わせた構造であることに起因している。Ultraモデルは並列処理性能が飛躍的に向上するが、シングルスレッド性能はチップの世代による影響を受けやすい。M4シリーズが最新の技術を採用しているため、シングルコアのパフォーマンスが高くなっているのだ。

このため、一般的なアプリケーションの動作やゲーム用途では、M3 UltraよりもM4 Maxの方が快適に動作する可能性がある。

また、価格面でもM4 Maxは有利だ。M3 Ultra搭載のMac Studioの基本価格は$3,999からだが、M4 Max搭載モデルは$1,999と半額で購入できる。この価格差を考えると、多くのユーザーにとってM4 Maxモデルの方がコストパフォーマンスの良い選択肢となるだろう。特に、動画編集や写真編集などのクリエイティブ作業が主な用途であれば、M4 Maxモデルでも十分な性能を発揮できる可能性が高い。

Mac Studio M3 Ultraは本当に買うべきか?価格と用途を再考する

Mac Studio M3 Ultraは間違いなく高性能なデスクトップだが、その価格が適正かどうかは用途次第で大きく変わる。特に比較対象となるのは、同価格帯のWindowsハイエンドPCだ。

例えば、$4,000の予算で組めるWindowsデスクトップには、Intel Core i9 14900KFとNvidia RTX 4090を搭載したAlienware Aurora R16がある。この構成では、Mac Studio M3 Ultraをはるかに上回る3Dグラフィックス性能とゲームパフォーマンスを発揮する。

特にゲーミング用途ではMac Studio M3 Ultraは不利だ。例えば、Mac Studio M2 Ultraモデルでは「Borderlands 3」を1080pで60fps維持するのがやっとだった。一方、同価格帯のAlienware R15(RTX 4090搭載)では、1080pで257fpsを記録しており、ゲーミングPCとしての性能差は圧倒的だ。

M3 UltraもGPUコア数が増加しているとはいえ、Appleシリコンはゲーム向け最適化が不足しており、Windows PCのようなスムーズなゲーミング体験を提供することは難しい。

では、Mac Studio M3 Ultraはどのようなユーザーに最適なのか。答えは、動画編集・映像制作・AI処理をローカルで行うプロフェッショナルだ。Appleシリコンは電力効率に優れており、M3 Ultraの強力なGPUを活かせば、高解像度の映像編集や機械学習モデルの運用がスムーズに行える。ただし、そうした用途が明確でない場合は、より安価なM4 MaxモデルやWindows PCを検討するのが賢明だろう。

Source:Tom’s Guide