AMDが次世代Ryzen Threadripper 9000シリーズ「Shimada Peak」CPUの詳細を明らかにした。このシリーズには、96コア192スレッドのフラッグシップモデルと16コア32スレッドのエントリーモデルが含まれ、いずれもZen 5アーキテクチャを採用。HEDT(ハイエンドデスクトップ)分野向けに開発され、最大384MBのL3キャッシュや128レーンのPCIe、TDP350Wなどの圧倒的なスペックを備える。
これにより、AMDは停滞気味だったHEDT市場において存在感を再び高めることが期待される。市場投入時期や価格設定が注目される中、技術的な進化とそのインパクトに関心が集まっている。
96コアThreadripperの革新性とHEDT市場への挑戦

Ryzen Threadripper 9000シリーズのフラッグシップモデルである96コア192スレッドCPUは、HEDT市場におけるAMDの革新を象徴する存在だ。このモデルは、12個のCCD(チップレット)を統合し、1CCDあたり32MBのL3キャッシュを搭載することで、合計384MBのキャッシュ容量を実現している。また、128レーンのPCIeサポートとTDP350Wの設計により、従来のThreadripperシリーズを凌駕する性能を誇る。
AMDは従来、HEDT市場においてインテルに後れを取る場面もあったが、今回のモデルはZen 5アーキテクチャとTSMCの最新プロセスノードを採用し、効率と性能の両立を目指した設計となっている。特に、最新ワークロードへの対応やマルチスレッド性能の向上が期待されており、クリエイターや開発者向けの高負荷作業において競争力を発揮することが見込まれる。
これらの進化により、HEDT市場におけるAMDのシェア拡大が予想される一方で、価格設定や消費電力の課題がどのように解決されるのか注目が集まっている。
新登場の16コアモデルの特性とユーザー層への影響
Ryzen Threadripper 9000シリーズには、96コアモデルとは対照的に、16コア32スレッドのエントリーモデルも用意されている。このモデルは、デュアル8コアCCD構成を採用しており、最大64MBのL3キャッシュを搭載している。このスペックにより、プロフェッショナル用途だけでなく、価格を抑えたHEDTシステムを求めるエンスージアスト層や中小規模のクリエイターにも適している。
特筆すべきは、このエントリーモデルがZen 5アーキテクチャを共有しつつ、消費電力とコストを抑える設計を実現している点だ。これにより、複雑なグラフィック処理や動画編集など、特定の高負荷作業に十分な性能を発揮できる可能性がある。一方で、PCIeレーンの活用がフラッグシップモデルほどの利便性を持たない点が課題とされるかもしれない。
AMDは、こうした幅広い選択肢を提供することで、HEDT市場の多様なニーズに応える意図を明確にしている。特に、個人向け市場への進出拡大がどのように実現されるのか、さらなる詳細が待たれる。
今後の技術革新と3D V-Cacheの可能性
AMDが次世代Threadripper 9000シリーズにおいて、3D V-Cache技術を採用するかどうかが注目されている。現在、同技術はRyzen 7 9800X3Dで初採用され、高速なキャッシュアクセスを必要とする作業負荷で優れた性能を発揮している。これがThreadripperシリーズに適用されれば、データベース管理やAIトレーニングなど、キャッシュ依存の高いタスクにおいてさらなる性能向上が期待される。
一方で、3D V-Cache技術は製造コストが高く、既存のThreadripperアーキテクチャとの統合がどのように行われるかは不透明である。AMDがこの技術を採用することで競争力をさらに強化する可能性がある一方、実装によるコスト増加が価格設定や普及に影響を与える懸念も指摘されている。
2025年1月に予定されているCESでの発表により、これらの疑問が解消されることが期待される。AMDが3D V-Cacheを採用することでHEDT市場におけるさらなる地位向上を目指すのか、それとも異なる戦略を選ぶのか、次の動向が重要なカギとなる。