Microsoft 365が2025年に迎える一連の機能削減とサポート終了が、IT管理者や企業に新たな課題をもたらす見通しだ。AdminDroidの分析によれば、14以上の変更が予定されており、その中には「クラシックTeamsアプリ」の廃止や「Windows 10サポート終了」などの影響が大きいものも含まれる。

これらの変更の背景には、セキュリティの強化や運用効率化が挙げられるが、多くのユーザーにとっては移行や新規ツールへの対応が不可避である。特に、Windows 10からWindows 11へのアップグレードは、多くのデバイスが未対応の状況にある中、時間的制約とリソース不足が課題となっている。さらに、Office 2016および2019のサポート終了やSharePointの機能削減も含まれ、組織全体での対策が求められる年となるだろう。

Microsoft Teamsとクラウド機能の進化と課題

Microsoftは2025年1月25日から、クラウドベースの通信ツール「Microsoft Teams Phone」に関連する一部の機能を削除する。具体的には、「Get-CsDialPlan cmdlet」や「Get-CsOnlineUser cmdlet」の「DialPlan」属性などが廃止される予定である。

これらのコマンドは、電話システムの設定やユーザーポリシーの管理に用いられていたが、現在の運用環境に適応した形での代替手段が必要となる。この変更により、IT管理者は既存のツールやスクリプトの見直しを迫られる。

これらの変更は、Microsoftがセキュリティと効率性を優先する姿勢の表れであると言えるが、一方でクラウドシステムに依存するリスクも浮き彫りになる。特に、これらの機能削減が中小企業や技術的なリソースが限られた組織にとって負担となる可能性が指摘されている。

AdminDroidの報告によると、こうした機能変更はユーザーの不安を招く一方、最新のソリューションへの移行を促進する意図もあるとされる。移行プロセスの透明性やサポート体制の充実が、企業とMicrosoftの双方にとって重要な課題となる。

レガシーExchangeトークンの廃止とセキュリティへの影響

2025年2月25日、MicrosoftはすべてのテナントでレガシーExchange Onlineトークンを無効化する。この措置はセキュリティの向上を目的としたものであり、一時的な再有効化のオプションも提供されるが、同年6月には完全に廃止される予定である。このトークンは従来、多くの企業がメールボックスやアプリケーション連携のために使用していたが、その運用はサイバー攻撃に対する脆弱性を孕んでいた。

Microsoftのこの決定は、特にサービスアプリケーションの利用において新たな制限を課すことになる。複数のメールボックスへのアクセスが禁止されることで、業務効率が低下するリスクも懸念されるが、セキュリティリスクの削減が優先事項とされている。

このような変化は、IT部門にセキュリティプロトコルの見直しを促し、より安全な認証方法への移行を推奨するものである。ただし、一部のユーザーにとっては運用の自由度が損なわれる結果にもなり得る。

Windows 10サポート終了の影響と移行の現状

2025年10月に予定されているWindows 10のサポート終了は、企業にとって最大の課題の一つである。延長サポートオプションがあるとはいえ、現在のデバイスの82%が未だWindows 11への移行を完了していないとされる(2024年8月時点)。この遅れは、多くの企業が予算やリソースの制約、そして既存システムとの互換性の問題に直面していることを示唆している。

Windows 10の終了は、セキュリティリスクの高まりを意味する。サポート終了後、セキュリティパッチが提供されなくなるため、サイバー攻撃の標的となるリスクが増加する。Microsoftの公式声明によれば、Windows 11はセキュリティ機能が強化されており、攻撃の防止能力が向上している。

一方で、多くの中小企業がこの移行を負担に感じている現状もある。特に古いハードウェアを使用する企業では、コストと時間の双方において課題が山積している。

この状況を克服するためには、計画的な移行戦略と十分なサポートが不可欠である。IT部門はアップグレードの優先順位を設定し、段階的な移行を進める必要がある。Microsoftがユーザー支援のために追加のサポートを提供するかどうかも注目される。