AMDの新型Ryzen X3Dプロセッサが、最新のRadeon RX 9070シリーズのグラフィックカード発売に続き、3月12日に登場する見込みだ。中国の大手小売業者が確認した情報によると、16コアのRyzen 9 9950X3Dと12コアの9900X3Dが同日に販売開始される予定で、CES 2024で発表されたX3Dシリーズの本格展開が始まる。

X3DプロセッサはV-Cache技術により、ゲームパフォーマンスの向上が期待されている。9950X3Dは最大5.7GHz、キャッシュ総量144MB、TDP170W、価格は約699ドル。9900X3Dは最大5.5GHz、キャッシュ140MB、TDP120Wで約599ドルと見られる。JD.comの情報によれば、中国価格はそれぞれ4899人民元（約675ドル）と4599人民元（約634ドル）と設定されている。

既にRyzen 7 9800X3Dが市場投入されているが、新たなRyzen 9シリーズはさらに高性能を提供すると期待されている。価格やスペックが事前リーク通りとなるか、AMDの公式発表が待たれる。

9950X3Dと9900X3Dのスペック詳細 Ryzen 7 9800X3Dとの違い

AMDが新たに投入するRyzen 9 9950X3Dと9900X3Dは、どちらもZen 5アーキテクチャを採用し、ゲーミング性能を重視した設計となっている。9950X3Dは16コア32スレッド、最大5.7GHzのクロック速度、キャッシュ総量144MB、TDPは170Wとされている。一方、9900X3Dは12コア24スレッド、最大5.5GHz、キャッシュ140MB、TDP120Wと少し抑えた仕様だ。

従来のRyzen 7 9800X3Dと比較すると、新しいRyzen 9モデルはコア数とクロック性能が向上し、特にマルチスレッド性能の強化が期待される。9800X3Dは8コア16スレッド、最大5.5GHz、キャッシュ128MB、TDP120Wだったため、単純なゲーム用途だけでなく、動画編集や配信といったクリエイティブ作業にも新モデルは適していると言える。

JD.comのリーク情報によると、中国市場での価格は9950X3Dが4899人民元（約675ドル）、9900X3Dが4599人民元（約634ドル）となっており、Neweggでの米国価格とも一致する。この価格設定が公式発表と同じかは不明だが、Ryzen 9シリーズとしては妥当な範囲と考えられる。今後、実際のベンチマークでどの程度のパフォーマンス差があるのかが注目される。

X3DプロセッサとRadeon RX 9070シリーズの組み合わせは最適解か

X3Dプロセッサは、追加のV-Cacheを搭載することでゲーミング時のCPU負荷を軽減し、フレームレート向上が期待される。特に最新のRadeon RX 9070シリーズとの組み合わせは、AMDが推奨する最適な構成のひとつとされる。RX 9070 XTはNavi 48 GPUを採用し、4096コア、16GBのGDDR6メモリ、256ビットのメモリバスを搭載し、最新タイトルでの高解像度ゲーミングに対応する。

従来、X3DシリーズはNVIDIA製のGPUとも相性が良いとされてきたが、AMDのSmart Access Memory（SAM）やFSR（FidelityFX Super Resolution）といった最適化技術を活用する場合、Radeonとの組み合わせが最も恩恵を受ける可能性がある。RX 9070 XTは価格が599ドルと発表されており、同価格帯のNVIDIA RTX 4070と競合することになる。

ただし、CPUとGPUの相性はゲームごとに異なり、すべてのタイトルで最高のパフォーマンスを発揮するとは限らない。特にレイトレーシング性能ではNVIDIAが依然としてリードしているため、X3D＋Radeon構成が最適かどうかは、ユーザーの用途によって変わる。実際のレビューや検証結果を待ちつつ、自身のプレイスタイルに合わせた選択が重要となる。

9950X3Dと9900X3Dは本当に買いか 他の選択肢と比較

新たなRyzen 9 X3Dシリーズは、ゲーマー向けの高性能CPUとして登場するが、必ずしも全員に最適な選択肢とは限らない。まず、すでにRyzen 7 9800X3Dを所有している場合、アップグレードの必要性は慎重に考えるべきだ。特に1080pや1440p解像度でのゲーミングが主な用途であれば、現行のX3Dチップでも十分なパフォーマンスを発揮する。

また、非X3DモデルのRyzen 9 9950Xや9900Xも存在し、これらはX3D版よりクロック速度が若干高いことが特徴だ。X3Dモデルはキャッシュの増加によるゲーム向けの最適化が施されているが、一般的なクリエイティブ用途やマルチタスク処理では、標準モデルの方が良い結果を示す場合もある。

さらに、Intelの第14世代Core i9シリーズとの比較も避けられない。特にCore i9-14900Kは高クロックと強力なシングルスレッド性能で知られ、特定のタイトルではRyzen 9 X3Dより高いフレームレートを実現する可能性がある。

購入を検討する際は、自身の用途に合わせた選択が重要だ。最先端のゲーム体験を求めるならX3Dプロセッサは魅力的な選択肢だが、既存のハードウェアとの相性や用途を考慮し、最もコストパフォーマンスの良い構成を選ぶのが賢明だ。

Source：PC Guide