AMDの新型フラッグシップCPU「Ryzen AI Max+ 395」がCPU MarkのベンチマークテストでCore i9-14900HXを約9%上回るスコアを記録した。CPU Markの総合スコアは49,510ポイント、シングルコアスコアは4,323ポイントであり、モバイル向け最上位クラスのパフォーマンスを示している。
同CPUは、AMDのStrix Haloアーキテクチャを採用し、従来のAPUと比較して強化されたiGPU性能と高いマルチスレッド処理能力を備える。IntelのフラッグシップモバイルCPUであるCore i9-14900HXに対してマルチスレッド性能で優位に立つ一方、AMDのRyzen 9 7945HXには約10.7%劣る結果となった。しかし、シングルコア性能では7945HXよりも6%高いスコアを記録している。
また、リーク情報によると、本CPUはLPDDR5X-8533 MT/sのメモリをサポートしており、最大63GBのRAMと組み合わせた高性能な構成が可能である。現在、Strix Haloを搭載した製品としてASUS ROG Flow Z13が市場に登場しており、今後さらに対応デバイスが増えると予想される。AMDの新世代CPUがモバイル市場でどこまでインパクトを与えるのか、注目が集まる。
Ryzen AI Max+ 395のCPU Markスコアは実際のパフォーマンスをどう反映しているのか

Ryzen AI Max+ 395がCPU Markで記録した49,510ポイントのマルチコアスコアは、モバイル向けCPUとして極めて高い数値であり、競合となるIntelのCore i9-14900HXを約9%上回る結果となった。特にシングルコアスコアでは4,323ポイントを記録し、Intel製CPUに対しても遜色のないパフォーマンスを示している。
CPU Markは、シングルスレッドおよびマルチスレッドの処理能力を評価するベンチマークツールであり、基本的にはプロセッサの生の演算性能を測る指標として使われる。しかし、実際の使用環境におけるパフォーマンスと必ずしも一致するとは限らない点には注意が必要である。
例えば、マルチスレッド性能が強調されるタスクではCPU Markの結果がそのまま影響するが、メモリ帯域幅やiGPUの性能が関与する作業では異なる評価になる可能性がある。
今回のスコアは、Ryzen AI Max+ 395の高クロック設計や最適化されたマルチコアアーキテクチャが大きく影響していると考えられる。特に、Strix Halo世代のRyzen CPUはAI推論や統合GPU性能を重視した設計がなされており、ベンチマークスコア以上に実際の使用感に差が出る可能性もある。CPU Markでの優れた結果は、単なる数値の向上ではなく、モバイル市場におけるAMDの進化を象徴するものと言えるだろう。
Strix Haloがもたらすメモリ性能の進化とRyzen AI Max+ 395の特長
Ryzen AI Max+ 395が搭載するメモリはSK Hynix製のLPDDR5X-8533 MT/sであり、これは現在のモバイル向けプロセッサで採用されるメモリ規格の中でも最速クラスに位置する。このメモリは高クロックかつ低消費電力を実現しつつ、最大63GBのRAM構成にも対応する点が特徴である。
LPDDR5X-8533 MT/sは、前世代のLPDDR5-6400 MT/sと比較して帯域幅が大幅に向上しており、特にGPUとの連携が求められるワークロードやAI推論タスクでの効果が期待される。Strix HaloアーキテクチャではiGPUの性能をフルに活かすために高速メモリが不可欠であり、これによりグラフィック処理や動画編集などのタスクにおいてもスムーズな動作が実現される可能性が高い。
ただし、メモリ帯域が広がることで、システム全体のパフォーマンスがどの程度向上するかはアプリケーションによる。たとえば、ゲーミング用途においては専用GPUを搭載するノートPCと比較すると一部のタイトルでは性能が限定されるケースも考えられる。それでも、モバイル環境での消費電力とパフォーマンスのバランスを重視するユーザーにとっては、LPDDR5Xの恩恵を最大限に活かせる構成と言えるだろう。
Ryzen AI Max+ 395が市場に与える影響と今後の展開
現在、Ryzen AI Max+ 395を搭載する製品はASUS ROG Flow Z13のみが確認されているが、今後数ヶ月以内に他メーカーからも対応モデルが登場すると予想される。このCPUは、モバイル市場においてIntelの高性能モデルと真っ向から競合する立場にあり、ゲーミングPCやクリエイティブ用途のノートPCでの採用が増える可能性が高い。
特に、AI推論向けの機能強化や高性能なiGPUの採用が進む中で、Ryzen AI Max+ 395は従来のモバイル向けCPUの枠を超えた性能を実現するデバイスとして注目される。現在の市場では、ノートPC向けプロセッサの選択肢としてIntelのCore i9シリーズが圧倒的なシェアを持つが、AMDがこの分野でどれだけのシェアを獲得できるかが今後の焦点となる。
また、Strix HaloシリーズのProモデルの登場も控えており、さらなる性能向上が期待される。特に、統合GPUを活かしたクリエイティブワークやゲーミング用途では、今後の最適化次第でRyzen AI Max+ 395の真価が発揮される可能性がある。これまでのモバイル向けRyzenシリーズとは異なる方向性を示すこのCPUが、市場でどのような評価を受けるのか、今後の動向に注目したい。
Source:Wccftech