ASUSは、X670Eマザーボード向けに公式なAGESA 1.2.0.2 BIOSアップデートを公開した。このアップデートにより、いくつかのバグが修正され、システムの安定性が向上する。

特にRyzen 5 9600XおよびRyzen 7 9700Xにおいて、105WのTDPモードが正式にサポートされ、最大13%のパフォーマンス向上が見込まれる。

一部のASUS X670Eマザーボードでは、依然としてベータ版のBIOSが使用されているが、今後のアップデートで正式版に移行する見込みである。

ASUS X670Eマザーボードに正式なAGESA 1.2.0.2 BIOSが登場

ASUSは、X670Eマザーボード向けに最新のAGESA 1.2.0.2 BIOSを正式にリリースした。このBIOSアップデートは、以前のベータ版からアップグレードされ、システムの安定性とパフォーマンス向上が図られている。特に、105W TDPモードのサポートにより、Ryzen 5 9600XおよびRyzen 7 9700Xなどのプロセッサにおいて、さらに高い性能を発揮できるようになった。

このアップデートは、いくつかの重要なバグ修正を含んでいる。例えば、EZ-FlashのBIOSロールバックが一部の条件下で失敗する問題が解消された。また、ECファームウェアがバージョン0119から0120に更新され、システム全体のパフォーマンスも向上している。これにより、安定性を求めるユーザーにとっては魅力的なアップデートである。

すべてのX670Eマザーボードがこのアップデートを受けたわけではなく、特定のモデルはまだベータ版のBIOSに留まっているが、順次正式なアップデートが提供される見込みである。これにより、Ryzen 9000シリーズのCPUを最大限に活用できる環境が整いつつある。

Ryzen 9600X/9700Xで最大13%のパフォーマンス向上

今回のAGESA 1.2.0.2 BIOSアップデートは、特にRyzen 5 9600XおよびRyzen 7 9700Xのパフォーマンス向上に大きく寄与している。このアップデートにより、両モデルのCPUは105W TDPモードをフルサポートし、従来の設定よりも高いパフォーマンスを発揮することができる。

ベンチマーク結果では、特にRyzen 7 9700Xにおいて最大13%のパフォーマンス向上が確認されている。具体的には、シンセティックテストでの結果が顕著であり、Ryzen 5 9600Xでも小規模ながらパフォーマンスの改善が見られた。ただし、これらの改善は主にマルチスレッド処理やプロセッサのスループットに影響し、ゲーミング性能には直接的な大幅向上は見込まれない。

とはいえ、パフォーマンスを追求するユーザーにとって、特に高負荷の作業環境においては、このBIOSアップデートは非常に魅力的なものとなっている。ASUS X670Eユーザーは、最大限の性能を引き出すために、早急にこのアップデートを適用することが推奨される。

ゲーミング性能への影響と次期Ryzen 9000X3Dの期待

今回のAGESA 1.2.0.2 BIOSアップデートにより、システム全体のパフォーマンスは向上したが、ゲーミング性能における大幅な変化は見込まれていない。Ryzen 9600Xおよび9700Xの性能改善は確認されているものの、ゲームにおけるフレームレートやレスポンスに顕著な違いが生じるわけではない。

ゲーム性能を重視するユーザーにとっては、今後リリース予定のRyzen 9000X3Dシリーズが注目されている。特に3D V-Cacheを搭載したRyzen 7 9800X3Dや、ハイエンドモデルのRyzen 9 9950X3D、9900X3Dなどが期待されており、これらのプロセッサはゲーミング性能において大幅な向上をもたらすと予想されている。

また、予算を抑えたいユーザー向けに、Ryzen 5 9600X3Dの発売も予定されている。しかし、現時点では正式な発売日程は発表されておらず、詳細な情報は今後の発表に待たなければならない。これにより、ゲーミングPCの新たな可能性が広がることが期待されている。

まだベータ版に留まるASUSマザーボードとは

今回のAGESA 1.2.0.2 BIOSアップデートは、多くのASUS X670Eマザーボードに正式に適用されたが、すべてのモデルがこのアップデートを受けたわけではない。現在もベータ版のBIOSに留まっているモデルが存在しており、その代表的なものとしてはROG Crosshair X670E ExtremeやROG Strix X670E-I Gaming WiFiが挙げられる。

これらのモデルでは、まだバージョン2401や3040のベータ版BIOSが使用されており、正式なアップデートが提供されるまでにはもう少し時間がかかると予想されている。また、B650およびB650EシリーズのASUSマザーボードに関しても、AGESA 1.2.0.2のアップデートはベータフェーズに留まっている状況である。

今後数週間以内に、これらのモデルにも正式なBIOSアップデートが順次提供される予定であるが、現時点では正確なリリース日程は明らかにされていない。ユーザーは公式サイトやコミュニティフォーラムを確認し、最新情報を把握しておくことが重要である。