Intelの次世代デスクトップCPU「Nova Lake」に関する情報が新たに明らかになった。2025年1月21日に共有された出荷記録には、低価格帯のi3バリアントが記載されており、再び注目を集めている。IntelはNova Lakeの大部分を自社で製造する予定であり、一部はTSMCに委託される可能性がある。リリースは2026年から2027年が見込まれ、18Aまたは14Aプロセスノードが使用されると推測される。

注目すべきは、新しいコア設計「Coyote Cove」と「Arctic Wolf」が採用される可能性が高い点だ。一方で、構造面では従来のArrow Lakeと異なるチップレット設計が採用されると予測される。Lunar Lakeの成功事例を基に、Nova Lakeは性能面でIntelの復活を支える重要な鍵となる可能性を秘めている。

Intel Nova Lakeの出荷記録に見える新たな可能性

Nova Lakeの出荷記録に注目が集まるきっかけとなったのは、X(旧Twitter)のユーザー「X86 is dead & back」が発見し、Tom’s Hardwareを通じて公開した情報である。この記録にはi3バリアントとされるチップの記載が見られるが、Intelは既に「i」のプレフィックスを廃止しているため、これが旧命名法の名残か、あるいは単なるプレースホルダーかは現時点で不明である。

ただし、このような記録が公開されたこと自体が、Nova Lakeの製品化が着実に進行している可能性を示している。Intelは現在、自社製造プロセスの強化に取り組んでおり、大部分の製造が社内で行われると予測されている。一方で、TSMCとの協力は続く可能性があり、特に先端ノードの採用においてその役割が期待される。これにより、Intelは自社の生産能力を補完し、他社競合に対抗する準備を進めていると考えられる。

18Aプロセスと14Aノードの選択が示すIntelの戦略

Nova Lakeに使用される製造プロセスとして、18Aノードが最有力視されている。これは、Intelが次世代モバイルCPU「Panther Lake」を18Aシリコン上で製造する計画と一致する。一方で、Nova Lakeが14Aノードで製造される可能性も取り沙汰されているが、現時点で試験チップが14A上で製造されている確証はない。

18Aノードは、Intelが次世代半導体製造において競争力を維持するための重要な技術基盤となることが予想される。これに対し、14Aノードの採用はIntelの短期的な柔軟性を確保する選択肢と考えられる。ただし、どちらのノードが選ばれるかによって、製造コストや性能に大きな影響を及ぼす可能性がある。

Arrow LakeがTSMCのN3Bノードを活用した実績を考えると、Nova Lakeにおいても一部の製造工程が外部委託される可能性は残されている。

Nova Lakeの設計が未来のPC市場に与える影響

Nova Lakeは、性能と効率を向上させるためにチップレット設計を引き継ぐと見られている。しかし、Lunar LakeがCPUコアとメモリコントローラーを同一ダイに統合する成功例を示した一方で、Nova Lakeがどのような構造を採用するかはまだ不明である。一部の噂では、Panther LakeではCPUコアとメモリコントローラーが一体化されるのに対し、Nova Lakeでは再び分割される可能性があるとされている。

さらに、コア設計については、Panther Lakeの「Panther Cove」Pコアが「Coyote Cove」として進化し、Nova Lakeに採用される可能性が高い。また、省電力性能を向上させる「Arctic Wolf」Eコアの採用も注目されている。これらの新設計が実現すれば、Intelが次世代のデスクトップ市場でAMDやAppleに対抗する上で大きなアドバンテージとなるだろう。

しかし、Nova Lakeが実際に期待通りの性能を発揮できるかどうかは、18Aシリコンや設計そのものの成熟度に大きく依存する。Intelが再び市場で優位性を確立するためには、技術力だけでなく、効率的な製造プロセスや市場ニーズへの迅速な対応も不可欠である。

Source:PC Gamer