LenovoのYoga Slim 9i 14 Gen 10が登場し、MacBook Air 13との直接対決が注目を集めている。Yoga Slim 9iはIntelの最新Lunar Lakeチップを採用し、14インチ 4K+ OLEDディスプレイを備えたプレミアムノートPCだ。一方、MacBook Air 13はM3チップと優れたバッテリー持続時間で市場をリードしている。
両者のパフォーマンスは拮抗しているが、シングルコア性能やグラフィック処理ではM3が優位に立つ。バッテリー持ちはMacBook Airが圧倒的に長く、実用性での優位性を示す結果となった。Yoga Slim 9iの洗練されたデザインや高解像度ウェブカメラは魅力だが、バッテリー性能を重視するならAppleが有利といえそうだ。
Yoga Slim 9iとMacBook Air 13のスペック比較 価格と構成の違いを検証

LenovoのYoga Slim 9i 14 Gen 10とMacBook Air 13はどちらもプレミアムノートPCに分類されるが、価格設定や構成には大きな違いがある。Yoga Slim 9iはIntelのCore Ultra 7シリーズを採用し、4K+ OLEDディスプレイを搭載したハイスペックなモデルだ。
基本構成の価格は$1,760からで、メモリ16GB、ストレージ1TB SSDという仕様になっている。一方、より高性能なCore Ultra 7 258V搭載のモデルは$1,835で、メモリは32GBに増強されている。
MacBook Air 13はM3チップを採用し、基本モデルは$1,099からとYoga Slim 9iよりも安価だ。しかし、512GB SSDを搭載する上位モデルは$1,299、最上位構成では$2,099となる。スペックの違いとして、Yoga Slim 9iのディスプレイは14インチ 4K+ OLEDで、解像度や発色に優れる。
一方、MacBook Air 13は13.6インチ Liquid Retina(2560×1664)IPSディスプレイを搭載し、解像度ではYoga Slim 9iに劣るが、Appleの独自チューニングにより高い視認性を確保している。
どちらも薄型軽量なデザインを採用しているが、ポートの構成にも違いがある。MacBook AirはMagSafe 3を採用し、充電時にもUSB-Cポートを1つ確保できるが、Yoga Slim 9iはUSB-C(Thunderbolt 4)が2つのみで、充電時に1つが埋まってしまうという弱点がある。
接続性の面ではMacBook Airが有利だが、Yoga Slim 9iはWi-Fi 7とBluetooth 5.4に対応しており、通信速度の面で優位性を持つ可能性がある。
価格や構成のバランスを見ると、Yoga Slim 9iは高解像度ディスプレイと最新のWi-Fi規格を求めるユーザーに向いている。一方、MacBook Air 13は価格の幅が広く、M3チップの高いシングルコア性能や省電力性を活かしたバッテリーの長時間駆動を求めるユーザーに適していると言えるだろう。
Intel Core UltraとM3のパフォーマンス比較 ベンチマークと実用性の違い
Yoga Slim 9i 14 Gen 10はIntelのLunar Lake世代のCore Ultra 7 258Vを採用している。このプロセッサは8コア(高性能4コア+低消費電力4コア)、8スレッド、TDP17Wの省電力設計となっている。一方、MacBook Air 13はAppleのM3チップを搭載し、8コアCPUと8~10コアGPUを備えている。どちらも高性能なチップセットを採用しているが、ベンチマークスコアを見るとMacBook Air 13の方がやや優位に立つ。
Geekbench 6のスコアでは、Yoga Slim 9iのCore Ultra 7 258Vはシングルコア2723、マルチコア10884を記録している。対してMacBook Air 13のM3はシングルコア3102、マルチコア12078と、特にシングルコア性能で差をつけている。
また、Cinebench R24の結果ではYoga Slim 9iがシングル121、マルチ649に対し、MacBook Air 13はシングル141、マルチ601と、マルチコア性能はほぼ拮抗しているものの、シングルスレッド処理ではM3が有利という結果となった。
実際の使用感に影響を与える3DMark Wild Life Extremeのスコアでは、Yoga Slim 9iが5397、MacBook Air 13が8098と大きな差がついた。これは、M3の内蔵GPUの性能がIntelの統合型グラフィックスを大きく上回っているためであり、グラフィック処理を多用する用途ではMacBook Air 13の方が適していると考えられる。
また、Handbrakeを用いた動画エンコードテストではYoga Slim 9iが91秒、MacBook Air 13が109秒となり、Intelのマルチスレッド処理の強みが発揮された。
全体的なパフォーマンスではMacBook Air 13がシングルコア性能やグラフィック性能で優位に立ち、動画編集や3Dレンダリングなどのクリエイティブ作業に適している。一方、Yoga Slim 9iはマルチスレッド性能を活かし、複数のタスクを同時に処理する作業に向いている。用途に応じて選ぶべきノートPCが異なることが、ベンチマークからも明らかになった。
バッテリー持続時間とディスプレイの違い 実用性で優位なのはどちらか
ノートPCにおいてバッテリー持続時間は重要な要素の一つだ。Yoga Slim 9i 14 Gen 10はIntelの省電力設計を採用しているものの、MacBook Air 13のM3チップに比べると消費電力がやや高い。バッテリーテストの結果、Yoga Slim 9iの動画再生時間は13時間45分だったのに対し、MacBook Air 13は19時間39分という驚異的な結果を記録している。
また、Cinebench R24を連続実行した場合の持続時間はYoga Slim 9iが1時間55分、MacBook Air 13が3時間27分となり、Appleのチップセットの省電力性能が際立つ結果となった。
ディスプレイに関してはYoga Slim 9iが14インチの4K+ OLED(3840×2400)120Hzを搭載し、発色の美しさや黒の表現に優れる。一方、MacBook Air 13は13.6インチのLiquid Retina(2560×1664)IPS 60Hzを採用し、解像度ではYoga Slim 9iに劣るが、Appleのカラーマネジメント技術により視認性は高い。
また、リフレッシュレートが60Hzのため、画面のスクロール時の滑らかさではYoga Slim 9iに軍配が上がる。
ノートPCを長時間使用する場合、バッテリーの持ちや発色の違いが大きな影響を与える。Yoga Slim 9iはOLEDディスプレイによる高い没入感と120Hzの滑らかな描画が魅力だが、バッテリー持続時間がやや短いため、充電環境が整っていないと長時間の作業には向かない。
一方、MacBook Air 13は圧倒的なバッテリー性能を誇り、充電なしで1日を通して使用できる点が強みとなる。持ち運びのしやすさとバッテリー性能を重視するならMacBook Air 13が優れた選択肢といえるだろう。
Source:Digital Trends