ASRock製マザーボードでAMD Ryzen 7 9800X3Dが故障するとの報告が相次いでいる。ユーザーによる集計では、報告された42件のCPU故障のうち32件がASRock製マザーボード上で発生しており、特定のモデルに偏っている可能性が示唆されている。この問題についてAMDとASRockは認識しているとされるが、CPUが動作不能になる明確な原因は特定されていない。
一部のRyzen 7 9800X3Dは初期不良として動作しないまま報告されているが、その他は数時間から数週間の使用後に突然故障している。高負荷時のクラッシュや起動不能になるケースがあり、中にはBIOSのフラッシュバック機能を使用して復旧できた事例も報告されている。
ASRockはこの問題への対応として、新しいBIOSアップデートを公開し、メモリ互換性の問題を修正したと発表。さらに公式声明で「CPUが故障しているわけではなく、メモリ互換性が原因で起動しない」との立場を示している。
この問題は現在もOC3Dフォーラムを中心に議論されており、状況は流動的だ。Ryzen 7 9800X3Dを使用するユーザーは、BIOSの最新バージョンへの更新を推奨されている。
Ryzen 7 9800X3Dの故障報告はASRock製マザーボードに集中 原因はメモリ互換性か

今回の問題で特に注目すべきは、報告されたCPU故障のうち約76%がASRock製マザーボードで発生している点だ。ASRockのサブレディットをはじめとする複数のフォーラムでは、ユーザーが自発的に収集したデータをもとに、この傾向を指摘している。しかし、ASRockはこの問題について「誤った情報が広がっている」とし、CPUの故障ではなくメモリの互換性が主な原因であるとの立場を示している。
実際に、Ryzen 7 9800X3Dを搭載したPCが起動しない、あるいは動作不安定になるケースの一部では、BIOSのアップデートにより復旧することが確認されている。ASRockはこれを受けて、最新のBIOSアップデートをリリースし、メモリ関連の互換性問題を修正したと発表した。しかし、これがすべてのユーザーに有効なのかは明らかになっておらず、フォーラムでは依然として同様の報告が寄せられている。
一方で、ASRock製マザーボードを使用していないユーザーからも同様の不具合が報告されているため、ASRockのハードウェアそのものに問題があるとは断定できない。メモリとの相性問題が原因であれば、他メーカーのマザーボードでも同様の問題が発生する可能性がある。
しかし、Ryzen 7 9800X3DとASRock製マザーボードの組み合わせで異常に高い故障率が報告されている以上、慎重な検証が求められる。
ASRockの対応は十分か BIOSアップデートで解決できるのか
ASRockはRyzen 7 9800X3Dの問題を認識した上で、新たなBIOSアップデートをリリースし、メモリの互換性問題に対処したと発表している。しかし、この対応がすべての不具合を解決するのかは不透明だ。BIOSの更新によって復旧したケースがある一方で、アップデート後も問題が解決しないという声もある。
特に、すでに故障したCPUがBIOS更新で復旧するわけではないため、すでにCPUが破損したユーザーにとっては根本的な解決策とはならない。
また、ASRockの対応スピードにも疑問が残る。Ryzen 7 9800X3Dは2024年11月に発売されたが、ASRockが今回の問題を特定し、BIOSアップデートをリリースするまでに約3か月かかっている。この間、ASRock製マザーボードを使用する多くのユーザーが不具合に直面し、一部はマザーボードやCPUを交換せざるを得なかったと考えられる。
ASRockの声明では「CPUが故障しているわけではなく、メモリとの互換性問題が原因」と強調されているが、もし本当にメモリ側の問題であれば、BIOSアップデートだけでなく、メモリメーカーとの協力による対策も必要になるだろう。また、ASRockのAM5マザーボード全体に関わる問題である可能性もあり、BIOS更新だけで完全に解決するのかは依然として不透明だ。
Ryzen 7 9800X3Dを安心して使うために必要な対策とは
この問題を踏まえ、Ryzen 7 9800X3Dのユーザーが取るべき対策はいくつか考えられる。まず、ASRock製マザーボードを使用している場合は、最新のBIOSバージョンへ更新することが推奨される。これにより、メモリとの互換性問題による起動不良が改善する可能性がある。また、新しく購入を検討している場合は、他メーカーのマザーボードを選ぶのも一つの選択肢となる。
次に、使用するメモリの互換性を確認することが重要だ。ASRock製マザーボードの公式サイトでは、対応するメモリのリストが公開されているため、これを参考に適切なメモリを選ぶことでトラブルを回避できる可能性がある。また、すでにRyzen 7 9800X3Dを搭載したPCで不安定な挙動が見られる場合は、メモリの動作クロックを下げることで安定性が向上する場合もある。
最後に、BIOSの更新に伴うリスクも考慮すべきだ。BIOSアップデートは慎重に行う必要があり、万が一更新に失敗するとマザーボード自体が起動しなくなる可能性がある。アップデート前には必ずシステムのバックアップを取ることが望ましい。今後、ASRockやAMDが追加の対策を講じる可能性もあるため、最新の情報をチェックしながら慎重に対応することが求められる。
Source:OC3D