Nvidiaの最新GPU「GeForce RTX 5080」が、一部の個体で想定よりも性能が低下していることが明らかになった。これは、特定のカードに搭載されるべきレンダー出力ユニット(ROPs)が不足していることに起因する。影響を受けるGPUではパフォーマンスが最大4%低下する可能性があるとされ、Nvidiaはこの問題を公式に認めた。
この問題の発端は、2月23日にRedditで投稿された報告だった。当初、RTX 5090とRTX 5070 TiでROP数が不足している個体があることが指摘されていたが、NvidiaはさらにRTX 5080にも同様の問題があることを確認。影響を受ける個体は全体の0.5%未満としているが、ゲームごとに異なる影響が出る可能性があるという。
問題のあるGPUを特定する方法としては、GPU情報を表示する「GPU-Z」などのツールでROP数を確認することが推奨される。本来、RTX 5080には112基のROPsが搭載されるべきだが、不具合のある個体では104基しか機能していないという。交換対応が可能かどうかは、購入先のボードメーカーに問い合わせる必要がある。
この問題は、Nvidiaが支配的な地位を維持するハイエンドGPU市場においても品質管理の課題を浮き彫りにするものだ。RTX 5000シリーズはすでに電源ケーブルの溶解や品薄といった問題を抱えており、今回のROPs不足が新たな不信感を生む可能性がある。RTX 5080の購入を検討している場合は、事前に最新の情報をチェックし、問題のない個体を選ぶことが重要となるだろう。
ROPs不足が及ぼす具体的な影響とは ゲーム性能に現れる違い

RTX 5080のROPs不足がゲームパフォーマンスに与える影響は一律ではない。Nvidiaは、影響を受ける個体では最大4%の性能低下が生じる可能性があるとしているが、これはタイトルごとに異なる結果を示す。
実際のテストでは、DOOM EternalやStarfieldなどのゲームではほとんど影響が見られなかったが、3DMark Time Spy Extreme Graphicsでは約11%のスコア低下が報告されている。特に、高解像度・高設定の環境では、ROP数の違いが描画処理のボトルネックとなる可能性がある。
ROPsは最終的なピクセルの描画処理を担うため、特に4K解像度やレイトレーシングを有効にした設定では重要な役割を果たす。
仮にROP数が少なければ、シェーディング処理が完了した後のデータが適切な速度でVRAMに送られず、結果としてフレームレートの低下につながる。例えば、Elden Ring(4K・最高設定・DLSSなし)のテストでは、正常なRTX 5090に比べてZotac製の不具合のあるカードが約5.6%遅れる結果となった。
また、ROPsの影響は、シンプルなシェーダーを多用するゲームよりも、重いエフェクト処理を行うタイトルで顕著になると考えられる。
特に最新のAAAタイトルでは、ROPsの不足が平均フレームレートだけでなく、1% Lowフレームレート(最低fps)にも影響を及ぼす可能性がある。フレームタイムのばらつきが大きくなることで、カクつきや入力遅延が発生するケースも考えられるため、影響を受ける個体のユーザーは注意が必要だ。
影響を受ける個体の確認方法 GPU-Zでのチェックが鍵
RTX 5080のROPs不足は、見た目では判断できないため、ユーザー自身で確認する必要がある。最も簡単な方法は、GPUの詳細情報を取得できる「GPU-Z」などのソフトウェアを使用し、ROP数を直接チェックすることだ。Nvidiaの公式スペックによると、RTX 5080には112基のROPsが搭載されているが、影響を受ける個体では104基に減少している可能性がある。
確認手順としては、まず最新バージョンのGPU-Zをインストールし、起動後に「ROPs/TMUs」欄をチェックする。RTX 5090であれば176基、RTX 5080であれば112基と表示されるはずだ。もし数値がそれより少ない場合は、不具合のある個体である可能性が高い。なお、この問題はRTX 5080に限らず、RTX 5090やRTX 5070 Tiでも報告されており、いずれのモデルでも同様の確認が推奨される。
仮に影響を受ける個体だった場合、交換を受けられるかどうかは、ボードメーカーによって対応が異なる。Nvidiaは「該当する消費者はボードメーカーに連絡して交換を依頼するように」と述べているが、すべてのメーカーが交換に応じるかは明確ではない。特に、中古品や並行輸入品の場合、保証の対象外となる可能性があるため注意が必要だ。購入前に、返品・交換のポリシーを確認しておくことが重要だろう。
Nvidiaの市場戦略に影響はあるのか 品質管理への不信感
RTX 5000シリーズは、Nvidiaが次世代GPU市場での主導権を握るための重要な製品ラインだ。しかし、RTX 5090の品薄や電源ケーブルの溶解問題に加え、今回のROPs不足の問題が発覚したことで、品質管理への不信感が高まる可能性がある。これまでの報告を見る限り、影響を受ける個体は全体の0.5%未満とされているが、実際にどれほどのユーザーがこの問題に直面するかは明らかではない。
一方で、現在のハイエンドGPU市場においてNvidiaの競争相手は少ない。AMDのRadeon RX 7000シリーズは、レイトレーシング性能や消費電力の面でRTX 5000シリーズに対抗するには厳しい状況だ。IntelのArcシリーズも、ハイエンド市場ではまだ存在感が薄い。そのため、今回の問題が発覚しても、多くのユーザーはNvidiaの製品を選ばざるを得ない状況にある。
しかし、ユーザーの信頼が揺らぐことで、今後の販売戦略に影響を与える可能性は否定できない。特に、品質管理に関する問題が続けば、一部の消費者が他の選択肢を検討し始めるかもしれない。ROPs不足のような問題が再発すれば、ハードウェアの信頼性を重視する層が敬遠する要因となり得る。Nvidiaとしては、今後のモデルで品質管理を徹底し、問題発覚時の迅速な対応を示すことが求められるだろう。
Source:PCGamesN