Linux環境でWindowsをUSBデバイスに書き込む方法を紹介する。まず、WoeUSBをインストールし、USBデバイスを識別後、ISOファイルをUSBに書き込む作業を行う。この手順により、LinuxユーザーがWindowsインストールメディアを簡単に作成できる。WoeUSBを使用することで、コマンドラインから効率的にUSBデバイスを準備できるが、作業中は誤ってデータを消去しないよう注意が必要である。

WoeUSBの特徴とインストール時の注意点

WoeUSBは、Linux環境でWindowsのインストールメディアを作成するためのツールであり、特にUbuntuベースのディストリビューションで活用されることが多い。

このツールには、コマンドライン版とGUI版（WoeUSB-ng）の2種類が存在し、ターミナル操作に慣れている場合はコマンドライン版のほうが細かい制御が可能である。一方で、GUI版はより直感的に操作できるため、コマンド操作に不慣れなユーザーには適している。

WoeUSBのインストールは比較的簡単だが、いくつか注意点がある。まず、公式のリポジトリは提供されていないため、UbuntuではPPAを追加してインストールする必要がある。さらに、ディストリビューションによってはパッケージの更新が遅れていることがあり、最新バージョンを使用するためにはソースコードからビルドする手間が発生する場合もある。

また、WoeUSBはNTFSフォーマットをサポートしているが、FAT32と異なり4GB以上のファイルを扱える反面、Windows環境での互換性を考慮する必要がある。

WoeUSBを使用する際には、USBデバイスの識別ミスによる誤ったデータ消去に注意する必要がある。特に、「lsblk」コマンドで確認したデバイス名を誤ると、Linuxのシステムディスク自体を上書きする危険性があるため慎重に作業を進める必要がある。このように、WoeUSBは強力なツールであるものの、正しい手順で利用しなければ思わぬトラブルにつながる可能性がある。

Linux環境でのWindowsメディア作成の利便性と課題

Linuxユーザーにとって、Windowsのインストールメディアを作成する機会はそう多くないかもしれないが、必要に迫られる場面もある。例えば、デュアルブート環境を構築したい場合や、Windows専用ソフトウェアを使用するために仮想マシンではなく物理環境でWindowsを動かす必要がある場合が挙げられる。

しかし、Linux環境ではWindows公式の「メディア作成ツール」が使用できないため、代替手段としてWoeUSBのようなサードパーティ製ツールを活用する必要がある。

LinuxユーザーがWindowsメディアを作成することの利便性として、特定のハードウェア環境に依存しない点が挙げられる。Windows上でUSBインストーラーを作成する場合、専用ソフトウェアのインストールが必要だが、Linuxならばコマンドラインから直接処理を実行できるため、GUI環境がなくても作業が可能である。

また、Linuxのターミナル環境はシステム制御に適しており、WoeUSBのようなツールを使えば高度なオプションを指定できる点も利点である。

一方で、Linux環境でのWindowsインストールメディア作成にはいくつかの課題もある。まず、WoeUSBのサポート状況が不安定な点が挙げられる。公式リポジトリが存在しないため、ディストリビューションによってはパッケージが古いまま放置されていることがあり、安定して動作しない場合がある。

また、USBデバイスのフォーマットやブート設定を誤ると、Windowsのインストールに失敗することがある。特にUEFI環境とレガシーBIOS環境の違いを考慮し、適切な設定でUSBメディアを作成することが重要となる。

デュアルブート環境構築のポイント

LinuxとWindowsをデュアルブートで運用する場合、単にWindowsのインストールメディアを作成するだけでなく、ブートローダーの設定やパーティション管理も考慮する必要がある。特に、既存のLinux環境にWindowsを追加する場合、WindowsのインストールによってLinuxのブートローダーが上書きされる可能性があるため、事前に対策を講じることが重要だ。

デュアルブート環境を安全に構築するためには、まずLinuxのパーティションを縮小し、Windows用の未割り当て領域を確保する必要がある。その後、Windowsをインストールするが、インストール完了後にLinuxが起動しなくなるケースがある。

この問題を解決するためには、LinuxのライブUSBを用意し、そこから「Boot Repair」ツールを使用してGRUBを再構築するのが一般的な対処法である。また、WindowsとLinuxで異なるブート方式を使用している場合、UEFI設定を適切に調整することも求められる。

デュアルブートを成功させるためのもう一つのポイントは、データのバックアップである。特に、Linux環境のパーティション操作は慎重に行うべきで、間違った手順を踏むとデータが消失するリスクがある。

そのため、外付けストレージやクラウドストレージを活用し、重要なデータを事前に保存しておくことが推奨される。加えて、Windowsの更新がGRUBの設定を変更する可能性もあるため、定期的にブートローダーの状態を確認し、必要に応じて修正することが望ましい。

このように、デュアルブート環境を構築するにはいくつかの注意点があるが、適切な手順を踏めばLinuxとWindowsの両方を快適に利用できる環境を整えることができる。

Source：Neowin