インテルの最新プロセッサー、Core Ultra 9 275HXがPassMarkのベンチマークテストで61,010ポイントを獲得し、ノートパソコン向けCPUとして最高のパフォーマンスを示した。これにより、AMDのRyzen 9 7945HX3D(57,112ポイント)やRyzen 9 7945HX(54,826ポイント)を上回る結果となった。
一方、単一スレッド性能においては、AppleのM3シリーズが依然として優位性を保っている。具体的には、M3 Maxが4,792ポイント、M3 Proが4,775ポイント、M3が4,747ポイントを記録し、Core Ultra 9 275HXの4,732ポイントを僅かに上回った。
これらの結果は、ユーザーがノートパソコンを選択する際、求める性能や用途に応じて適切なプロセッサーを選ぶための重要な指標となるだろう。
Intel Core Ultra 9 275HXの実力はどこまで通用するのか
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Intel Core Ultra 9 275HXがPassMarkのベンチマークで最高スコアを記録したが、実際のパフォーマンスがどこまで期待に応えるのかは、今後の実機テスト次第だ。このCPUは最大5.4GHzのクロック速度と24コア・24スレッドを誇り、特にゲーミングやクリエイティブ用途向けに設計されている。
しかし、実際にどの程度の温度管理が可能なのか、バッテリー持続時間への影響はどうなのかといった点は未だ不透明だ。
加えて、現行のゲーミングノートパソコン市場では、放熱設計や電力供給の制約により、ハイエンドCPUが必ずしも最大限の性能を発揮できるとは限らない。例えば、同じCore Ultra 9 275HXを搭載するASUSのROG Strix G16やAcerのPredator Helios Neo 16 AIが、それぞれどのようなチューニングを施してくるかによって、実際のパフォーマンスには差が出る可能性がある。
また、PassMarkのスコアが高いことはマルチスレッド性能の強さを示すものの、実際のゲームやソフトウェアの最適化状況によっては、その性能をフルに活かせるかは別問題だ。
特に、リアルタイムレンダリングやAI処理を多用するクリエイティブアプリケーションでは、Intel独自のAIアクセラレーション技術がどれほど効果を発揮するのか、具体的な検証結果が求められる。今後の実機テストでは、これらの要素がどのように評価されるかがポイントになるだろう。
Apple M3との性能差が示すものとは
Intel Core Ultra 9 275HXはPassMarkのベンチマークにおいて、総合性能でトップに立ったものの、単一スレッド性能ではAppleのM3シリーズに及ばなかった。この結果は、ノートパソコンの使用シナリオによって適したCPUが異なることを示唆している。
特に、M3 MaxやM3 Proが単一スレッド性能で優位に立つということは、一般的なアプリケーションや軽負荷の作業では、M3搭載MacBookがより快適に動作する可能性がある。
AppleのM3チップはArmアーキテクチャを採用し、電力効率に優れている点も特徴だ。そのため、バッテリー駆動時間や発熱の観点では、M3シリーズが有利な展開となることが予想される。対して、Intel Core Ultra 9 275HXはハイパフォーマンスを追求した結果、消費電力が増加し、ノートパソコン全体の発熱やバッテリー持続時間に影響を与える可能性がある。
とはいえ、ゲーミングやプロフェッショナル向けの用途では、Intelのマルチスレッド性能が大きなメリットをもたらす。例えば、動画編集ソフトや3Dモデリングツールなど、複数のコアを活用するアプリケーションでは、Intel Core Ultra 9 275HXの24コア構成が大きなアドバンテージとなる。逆に、軽量な作業やモバイル環境での使用を重視する場合は、AppleのM3シリーズがより適した選択肢となるだろう。
次世代ノートPCに求められるバランスとは
Intel Core Ultra 9 275HXの登場は、ノートパソコン市場における性能競争をさらに激化させることになりそうだ。一方で、単に高いスコアを記録するだけでなく、実際の使用環境においてどのようなバランスを提供できるかが重要となる。特に、ハイエンドノートパソコンに求められるのは、パフォーマンス、電力効率、発熱管理、互換性の最適なバランスだ。
例えば、AppleのM3シリーズは電力効率の高さを武器にしており、バッテリー持続時間と高性能の両立を実現している。一方、Intel Core Ultra 9 275HXは、圧倒的なマルチスレッド性能を武器に、より重い作業を快適にこなせる環境を提供する。しかし、その反面、高消費電力や発熱管理の課題がついて回るため、ノートパソコンメーカーごとの最適化が不可欠だ。
加えて、GPU性能の進化も無視できない要素となっている。M3シリーズは統合型GPUの強化により、軽量なクリエイティブ作業やゲーム用途にも対応できるようになってきた。
一方、Intel Core Ultra 9 275HXを搭載するノートパソコンの多くは、NVIDIAやAMDの専用GPUを組み合わせることが前提となっており、その結果としてトータルのパフォーマンスは向上するものの、消費電力や重量の増加というデメリットも伴う。
最終的に、どのプロセッサーを選ぶかは、ユーザーが求める用途や優先順位に大きく左右される。長時間駆動を求めるならApple M3シリーズ、ハイエンドなゲーミングやクリエイティブ作業を重視するならIntel Core Ultra 9 275HXが適している。今後のノートパソコン市場では、性能だけでなく、ユーザーごとのニーズに応じた最適なバランスが求められる時代へと移行していくだろう。
Source:Tom’s Guide