Microsoftは、Windows 11のKB5044380プレビューアップデートをリリースした。このアップデートでは、コパイロットキーをカスタマイズする新機能が追加され、特定のアプリや検索機能に割り当てることが可能となった。加えて、バッテリー使用量の最適化やMicrosoft Teamsの会議参加に関するバグ修正など、合計17の改善点が含まれている。
コパイロットキーの新機能:アプリの切り替えが可能に
Windows 11のKB5044380アップデートでは、コパイロットキーに新たなカスタマイズ機能が追加された。従来、コパイロットキーはその名の通り、Windows Copilotアプリを起動するために設定されていた。しかし、このアップデートによって、ユーザーはキーの挙動を自由に変更できるようになった。具体的には、コパイロットキーを他のアプリに割り当てたり、Windowsの検索機能を呼び出すように設定することが可能だ。
特に注目すべき点は、Microsoft Entra IDでサインインしている場合、コパイロットキーがM365アプリを起動するようになる点である。これは、ビジネスユーザーにとって非常に便利な機能追加となっている。また、アプリの割り当てには、セキュリティとプライバシー保護のためにMSIXパッケージに署名されたアプリである必要がある。これにより、悪意のあるアプリや安全でないアプリの誤使用が防止されている。
さらに、すべてのデバイスでこの設定が適用できるわけではないことも注意が必要だ。物理的にコパイロットキーを搭載していないキーボードでは、この設定変更は無効となる。これらの変更により、ユーザーの作業効率とカスタマイズ性が向上し、より柔軟な操作が可能となった。
その他の注目すべき改善点と修正内容
KB5044380アップデートには、コパイロットキーのカスタマイズ機能以外にも、多くの注目すべき修正と改善が含まれている。その一つが、デバイスがモダンスタンバイモード中に過剰なバッテリー消費を行っていた問題の修正である。これにより、ノートPCなどのモバイルデバイスのバッテリー持続時間が大幅に向上すると期待される。
また、Microsoft Teamsに関連するバグも修正されている。特に、OutlookからTeams会議に参加しようとした際に、リマインダーからの参加ができない問題が解消された。この修正により、ビジネスユーザーはよりスムーズにTeams会議に参加できるようになり、会議の生産性向上が見込まれる。
さらに、複数地域において新しい電話番号がプロダクトアクティベーション用に追加された点も重要である。この変更は、特に電話によるライセンス認証が必要な環境での利便性を高める。一方、特定のマルチファンクションプリンター(MFP)でUSB接続時に不必要なネットワークコマンドテキストが印刷される問題も修正されている。これにより、プリンターの不具合が減少し、より安定した操作が可能となった。
ゲームパッド対応キーボードの導入
今回のアップデートで新たに導入された機能の一つとして、ゲームパッド対応のキーボードレイアウトが挙げられる。この新機能により、Xboxコントローラーを用いて画面上で文字入力が可能になった。これは、ゲームプレイ中やエンターテイメント利用時に特に有用であり、従来のマウスやキーボード操作に代わる新しい操作手段を提供する。
ゲームパッドキーボードでは、加速ボタンとしてXボタンがバックスペース、Yボタンがスペースバーとして機能するように設計されている。また、キー配列も縦に並ぶ形で配置されており、従来の横並びのキーボードとは異なる視覚的なインターフェースを提供している。このレイアウトは、特に片手操作やスムーズな移動を必要とする場面で有利に働く。
この機能はすぐに全ユーザーに提供されるわけではなく、段階的にロールアウトされる予定である。しかし、この新しい操作方式は、ゲーマーやエンターテイメント重視のユーザーにとって大きなメリットをもたらすことが期待されている。新しいインターフェースにより、Windows 11はゲームやエンターテイメントのプラットフォームとしてさらに進化を遂げることになるだろう。
今回のアップデートに含まれない問題点
KB5044380アップデートには多くの修正と新機能が含まれているが、いくつかの問題は解決されていないままである。Microsoftの発表によれば、このアップデートには既知の問題は含まれていないとされているが、次期アップデートに向けたプレビュー版であることを考慮する必要がある。
特に、Windows 11の最新バージョンである24H2を利用しているユーザーは、このアップデートの適用がまだできない点が重要である。24H2に対応するプレビューアップデートはまだリリースされていないため、現時点では22H2および23H2を利用しているユーザーのみが対象となる。このため、24H2のユーザーはアップデート内容に関して引き続き注意を払う必要がある。
また、このアップデートはセキュリティパッチを含まないため、セキュリティ面での強化を期待しているユーザーにとっては少し物足りないかもしれない。セキュリティ修正は毎月の「パッチチューズデー」で行われるため、今回のアップデートは機能改善とバグ修正に主眼が置かれている。