AMDのノートPC向けハイエンドCPU「Ryzen 9000HX」シリーズに新たなモデルが追加された。CPU情報を表示するツール「CPU-Z」の最新アップデート（バージョン2.14）で、9950HX3Dや9950HXなど、未発表のSKUがリストに含まれていることが判明した。特に、9950HX3Dは3D V-Cacheを搭載している可能性があり、ゲーミングノートPC向けの性能向上が期待される。

「Fire Range」として知られるこのシリーズは、デスクトップ向けZen 5をベースにしており、最大16コアのモデルも存在する。これまで発表されていた9955HX3D、9955HX、9855HXに加え、CPU-Zのアップデートでは9850HXや9845HXの記載も確認された。9845HXは名称からZen 4世代の製品と推測されるが、これは9855HXの誤記の可能性も指摘されている。

さらに、今回のCPU-Zアップデートでは、NVIDIAの次世代GPU「RTX 5090」と「RTX 5080」のサポートも追加された。これにより、新世代のハイエンドゲーミングノートPCのスペックが徐々に明らかになってきた。AMDはまだ「Fire Range」シリーズの正式発表を行っていないが、最初のサンプルが3月末までにODMへ提供される予定とされており、市場投入が近づいている可能性が高い。

Fire Rangeシリーズの特徴と3D V-Cacheモデルの可能性

Ryzen 9000HXシリーズは、AMDの「Fire Range」アーキテクチャを採用したハイエンドノートPC向けプロセッサであり、デスクトップ向けZen 5をベースにしている。従来の「Dragon Range」シリーズと比較すると、最大16コア構成を維持しながらも、新たに3D V-Cache搭載モデルが加わった点が注目される。

9950HX3Dは、AMDが以前デスクトップ向けに投入したRyzen 7 7800X3DのノートPC版に相当する可能性がある。3D V-Cache技術は、キャッシュメモリを大幅に増加させることでゲーム性能を向上させる特徴を持つ。過去のデスクトップ版では、標準的なL3キャッシュの倍以上を搭載し、特にフレームレートの安定性や低レイテンシーが求められるタイトルで顕著な効果を発揮していた。

一方、従来のDragon Rangeシリーズと比較すると、Fire Rangeの具体的な違いはまだ明確にされていない。Zen 5アーキテクチャの進化によって、IPC（クロックあたりの命令実行数）の向上が期待されるが、電力効率や熱設計にどのような変化があるかは未発表の情報が多い。

特に、ハイパフォーマンスを求めるゲーミングノートPC市場において、バッテリー駆動時のパフォーマンスや発熱管理がどのように最適化されるかが重要なポイントとなるだろう。

CPU-Zアップデートが示唆する未発表モデルの動向

CPU-Zの最新バージョン（2.14）の更新内容には、9950HX3Dを含む未発表のRyzen 9000HXシリーズの複数のSKUがリストアップされていた。このアップデートによって、AMDがすでに次世代ノートPC向けCPUの準備を進めていることが示唆される。

特に興味深いのは、リストに「9845HX」というモデルが含まれていた点である。Fire RangeシリーズはZen 5ベースであるにもかかわらず、この型番はZen 4世代の製品の命名規則に近いため、誤記の可能性も指摘されている。過去にもCPU-Zの情報には開発段階のプロトタイプや未発表の型番が含まれることがあり、今後の正式発表によって実際のラインナップが明らかになるだろう。

また、CPU-Zのアップデートでは、NVIDIAの次世代GPU「RTX 5090」と「RTX 5080」のサポートも追加されている。これらのGPUは、デスクトップ向けのAda Lovelace RefreshまたはBlackwellアーキテクチャをベースにしている可能性があり、これが示すのは次世代ハイエンドゲーミングノートPCの性能向上である。

CPUとGPUの進化が並行して進むことで、モバイル環境でのゲーミング体験はさらに高品質なものとなることが期待される。

CPU-Zのサポートリストは、未発表製品の情報を知る上で貴重な手がかりとなることが多い。今回の更新内容を踏まえると、AMDのFire Rangeシリーズはこれまで以上にラインナップの幅を広げ、特に3D V-Cache搭載モデルの登場がハイエンドノートPC市場での競争を一層激化させる可能性が高い。

Source：VideoCardz.com