マイクロソフトは、Windows 11のシステム要件を満たさないデバイスへのインストールを抑制するため、新たな措置を講じている。具体的には、サードパーティ製ツール「Flyby11」をWindows Defenderで潜在的な脅威として検出し、ユーザーに警告を発している。

さらに、公式サイトからレジストリ編集による回避策の情報を削除し、非対応ハードウェアへのインストールを困難にしている。これらの動きは、Windows 10のサポート終了が近づく中、ユーザーに新しいハードウェアへの移行を促す意図があると考えられる。

Windows Defenderによるツール検出の影響とは

マイクロソフトは、Windows 11のシステム要件を満たさないデバイスへのインストールを妨げるため、「Flyby11」などのサードパーティ製ツールをWindows Defenderで脅威として検出する措置を取った。

この動きは、技術に詳しくないユーザーが非対応ハードウェアにWindows 11を導入するハードルを上げる狙いがあると考えられる。実際、「Flyby11」の開発者は、Microsoft Defenderがツールを「PUA:Win32/Patcher」として識別するようになったことを報告しており、一部のユーザーに混乱を招いている。

この措置がもたらす影響として、まず考えられるのは、ツールの使用を断念するユーザーが増えることだ。特に、システム警告を見て不安を感じるユーザーにとっては、インストールを諦める要因となる。加えて、マイクロソフトがこの分類を変更しない限り、ウイルス対策ソフトがこの種のツールを自動的に削除する可能性もある。

一方で、技術に詳しいユーザーは、検出を回避する手段を講じることができる。たとえば、Defenderのリアルタイム保護を無効にする、特定のフォルダをスキャン対象から除外する、といった対策が考えられる。

しかし、このような回避策はセキュリティリスクを伴うため、一般ユーザーに推奨できるものではない。結果として、Windows 11を非対応ハードにインストールするための障壁が高まることは避けられない状況になっている。

マイクロソフト公式サイトから削除された回避策の意図

Windows 11のシステム要件を満たさないデバイスにインストールする方法は、かつてマイクロソフトの公式サイトにも掲載されていた。しかし、最近になってこれらの情報が削除され、回避策の詳細を知ることが難しくなった。特に、レジストリを編集することでTPM 2.0やCPU要件のチェックを回避する方法は、多くのユーザーが参考にしていたため、その削除は注目を集めている。

これにより、ユーザーは情報を自力で探さなければならなくなり、非対応ハードウェアへのインストールが一層困難になった。以前は、「AllowUpgradesWithUnsupportedTPMOrCPU」というレジストリエントリを作成することで、Windows 11の制限を緩和できたが、公式に案内がなくなったことで、この方法を知らないユーザーが増えることが予想される。

マイクロソフトが回避策の情報を削除した理由は明言されていないが、考えられるのはサポートの一貫性の維持だ。非対応ハードウェア上のWindows 11は、予期せぬ動作やパフォーマンスの問題を引き起こす可能性があり、これに関するサポート要請が増えることを避けたいのかもしれない。また、新しいPCへの買い替えを促す狙いも否定できない。

それでも、完全に回避策を封じることは難しい。技術的な知識があれば、レジストリを手動で編集する方法は今後も利用可能であり、コミュニティ内で情報が共有され続ける限り、一定数のユーザーは非対応ハードウェアでのWindows 11インストールを試みるだろう。

Windows 10サポート終了が迫る中、ユーザーが取るべき選択肢

Windows 10のサポート終了が迫る中、多くのユーザーがWindows 11への移行を検討している。しかし、システム要件を満たさないデバイスを使用しているユーザーにとって、選択肢は限られている。マイクロソフトの方針変更により、非対応ハードウェアへのWindows 11インストールが困難になりつつあるため、次に取るべき行動を慎重に考える必要がある。

第一の選択肢は、新しいPCを購入することだ。これは確実な方法であり、Windows 11の最新機能を問題なく利用できる。しかし、コスト面を考慮すると、必ずしも現実的ではないユーザーも多い。特に、現在のPCのスペックが十分であり、単にOSのアップグレードのために買い替えを迫られることに抵抗を感じる人も少なくないだろう。

次の選択肢として、Windows 10を継続して使うという手もある。マイクロソフトは、Windows 10のサポートを正式に終了するとしているが、過去の例を見ても、完全に更新が停止されるわけではない可能性がある。また、Windows 10をサポートするサードパーティのセキュリティソフトを活用すれば、一定期間は安全に使用できるだろう。

また、Windows 11以外のOSへの移行を考えるユーザーも増えている。Linuxディストリビューションの中には、古いPCでも軽快に動作するものがあり、無料で利用できるというメリットもある。ただし、Windows専用のソフトウェアが使えなくなる可能性があるため、用途によっては慎重に判断する必要がある。

このように、Windows 11のシステム要件が厳しくなり、回避策も制限される中で、ユーザーが取るべき選択肢は限られている。現状を踏まえ、自身のニーズや使用環境に最も適した方法を検討することが求められる。

Source:BetaNews