AMDの次世代フラッグシップAPU「Strix Halo」がGeekbenchで初めて確認された。この16コアの「Ryzen AI Max+ Pro 395」は、統合GPUやNPUを搭載し、最大5.1GHzで動作する次世代プロセッサである。しかし、Vulkanテストのスコアは67,004と期待を下回り、Nvidiaや既存デスクトップGPUとの比較で性能の課題が浮き彫りとなった。
リークは試作品によるものであり、性能の向上が予想される一方、このモデルがワークステーション専用になる可能性も指摘されている。CES 2025での発表が確実視される中、ゲーミングノートパソコン市場への影響も注目されている。
Strix Haloが示す次世代APUの方向性とその性能的挑戦
AMDのStrix Haloは、Ryzen AI Max+ Pro 395として登場し、16コアのZen 5 CPUとRadeon 8060S統合GPUを搭載する。このハードウェア構成は、CPUとGPUを統合することでモバイル環境における性能の最適化を目指したものである。
特に、最大5.1GHzのブーストクロックとNPUの組み合わせにより、人工知能(AI)関連タスクへの高い適応性を見込んでいる。これにより、軽量ゲーミングノートPCやワークステーション市場での需要を同時に捉えようとしている。
しかし、Vulkanパフォーマンススコアが67,004という結果は、競合であるNvidia RTX 4070ディスクリートGPUやAMD RX 7600と比較すると、期待値を下回る。このスコアの要因として、試作品段階であることや、Geekbenchのテスト環境の制限が挙げられる。VideoCardzの報告が示すように、最終製品では性能の向上が見込まれるものの、これが市場競争力にどう影響するかは未知数である。
ワークステーション向け「Pro」の意図とゲーミング市場への影響
「Ryzen AI Max+ Pro 395」の名称から、AMDがこの製品をワークステーション向けに特化させる意図が読み取れる。ワークステーション市場では、高い計算性能とAI処理能力が求められるため、NPUを統合したStrix Haloは、特に専門職向けアプリケーションにおいて競争力を持つ可能性が高い。
一方で、「Pro」の冠が付かない薄型軽量ゲーミングノートPC向けのモデルが登場するのか否かについては、現時点で明確な情報が不足している。
AMDがStrix Haloのフラッグシップをワークステーション専用とする場合、ゲーミングノートPC市場には性能を抑えたバリエーションが提供される可能性が高い。このアプローチは、市場セグメントを明確に分ける戦略として理解できるが、ゲーミング市場における競争力の低下を招くリスクもある。CES 2025での正式発表に注目が集まる中、AMDの製品ライン全体がどのように構成されるかが重要な焦点となる。
Strix Haloリークが示すCES 2025への期待と市場戦略の行方
今回のStrix Haloに関するリークは、AMDがCES 2025で新たなAPUラインを発表するとの噂を強化している。Geekbenchでのテスト結果が初めて公開されたことで、製品開発が最終段階にある可能性が示唆される。このタイミングでの情報流出は、AMDが製品の存在を市場に示すための意図的な動きと見る向きもある。
CESでの発表は、他社製品との差別化を図るうえで重要な意味を持つ。特に、AI処理能力を強化したRyzen AI Max+シリーズが、消費者の注目を引く要素となることは間違いない。しかし、AMDがどの市場を優先するかによって、これらのプロセッサのポジショニングが異なる可能性がある。今回のリークが、戦略の一環として市場期待を煽る役割を果たしているのか、それとも単なる情報流出に過ぎないのかは今後の展開次第である。