AMDの次世代グラフィックカード、RX 9070シリーズが、NvidiaのRTX 5070シリーズを性能面で上回る可能性が浮上している。テクノロジー系YouTuber「Moore’s Law is Dead(MLID)」は、AMDの内部ベンチマークと独自の計算に基づき、RX 9070 XTがRTX 4080 Founders Editionを約3%上回る性能を持つと指摘。さらに、RX 9070 XTはRTX 5080と比較しても10%以内の性能差に収まると予想されている。
一方、RTX 5070はRTX 4070より約20%高速で、RTX 4070 Tiと同等の性能と見られている。これらの予測が正しければ、RX 9070 XTはRTX 5070 Tiより約15%高速となり、RX 9070もRTX 5070を約10%上回る性能を発揮する可能性がある。ただし、最終的な市場での競争力は、AMDの価格設定に大きく依存すると考えられる。
AMDのRX 9070シリーズに期待される技術的進化
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RX 9070シリーズは、AMDの最新アーキテクチャ「RDNA 4」に基づいており、従来のRDNA 3と比較して大幅なパフォーマンス向上が見込まれている。特に、ラスタライズ性能においては、前世代のRX 7900 XTを超えるレベルに到達する可能性が高い。さらに、消費電力効率の改善も期待されており、ワットパフォーマンスの向上によって、より発熱の少ない安定した運用が可能になると考えられる。
加えて、メモリ帯域幅の拡張やキャッシュ構造の最適化が施されると見られており、これにより高解像度環境でのフレームレートの安定性が向上する可能性がある。特に、4K解像度でのパフォーマンス向上が期待されており、これがRTX 5070シリーズとの差を生む要因になるかもしれない。
一方で、RDNA 4世代ではレイトレーシング性能のさらなる強化も焦点となっている。NvidiaのRTX 5000シリーズがDLSS 4やフレーム生成技術で優位性を持つ中、AMDは独自の超解像技術「FSR 4」によって対抗すると見られる。ただし、FSR 4がDLSS 4と同等の品質を提供できるかどうかは未知数であり、レイトレーシング性能の最適化が鍵を握る。
RX 9070の市場での立ち位置と価格設定の影響
RX 9070シリーズがRTX 5070シリーズを上回る性能を持つと仮定した場合、最も重要になるのは価格設定である。過去のAMDのミッドレンジGPUは、競争力のある価格設定でNvidiaと差別化を図ってきたが、今回は異なる戦略を取る可能性もある。
特に、RX 9070 XTの価格がどこに設定されるかが注目されている。MLIDの推測では649ドルが妥当とされているが、NvidiaのRTX 5070 Tiの価格次第では、これよりも低く抑えられる可能性もある。一方で、RX 9070の価格については499ドル程度と見られており、この価格帯であればRTX 5070に対して競争力のある選択肢となる。
しかし、AMDが過去のRX 6000シリーズやRX 7000シリーズと同様に、初期の市場評価を見て価格を引き上げる可能性も考えられる。もしAMDが性能の優位性を前面に出し、高価格戦略を選択した場合、ユーザーの選択肢としての魅力が低下する可能性もある。一方で、価格が競争力のある水準に設定されれば、ミッドレンジGPU市場でのシェア拡大が期待される。
AMDとNvidiaの次世代GPU競争の行方
現在の情報では、NvidiaのRTX 5000シリーズは、特にAI技術やレイトレーシングにおいて優位性を持つとされている。一方、AMDのRX 9000シリーズは、従来のラスタライズ性能での強みを活かしながら、新しいアーキテクチャによって差を縮めようとしている。
特に、次世代VRAM技術の採用が競争のカギを握る。Nvidiaはメモリ圧縮技術を強化し、VRAM不足を補う動きを見せているが、AMDがどのようなアプローチを取るかは不明である。現時点では、RX 9070シリーズがGDDR6メモリを採用すると見られており、これがRTX 5070シリーズのGDDR6Xメモリと比較してどのような影響を及ぼすかが注目される。
最終的に、RX 9070シリーズが成功するかどうかは、性能と価格のバランスに加え、ドライバーの最適化や消費電力、レイトレーシング性能の向上がどこまで進むかにかかっている。今後の正式発表と、それに伴うベンチマーク結果に注目が集まる。
Source:TechRadar