Nvidiaが開発中とされる「RTX 5090D」が注目を集めている。この中国専用モデルは、米国の輸出規制を回避するため、通常版よりも機能を制限したカスタム設計が特徴だ。

最新のリークでは、このGPUのパッケージアートが公開され、2025年1月の発売が予想されている。RTX 5090Dは「GB202ダイ」を使用し、SM数やCUDAコア数がグローバル版より削減される可能性があるが、性能面でどこまで競争力を維持するかが鍵となる。

昨年のRTX 4090Dに続くこのモデルは、設計面や用途で中国市場の需要に応える形となる。特に、AIワークロードでの利用が視野に入れられている点も興味深い。今回のリークにより、新たな規制対応GPUの詳細に注目が集まる中、Nvidiaが次世代モデルでどのような戦略を打ち出すか、期待と懸念が交錯している。

中国専用GPUの背景にある米国輸出規制と技術戦略

Nvidiaが中国市場向けに特別設計されたGPUを提供する背景には、米国の輸出規制がある。この規制は、先端半導体技術が軍事利用される可能性を懸念し、高性能GPUの輸出を制限する政策だ。これに対し、NvidiaはRTX 4090Dで採用された「カットダウン」設計を進化させたRTX 5090Dを開発している。

通常版よりも機能を削減しながらも、競争力を確保するためのバランス設計が求められている。具体的には、SM数やCUDAコアの削減により、性能と規制の妥協点を模索する動きだ。

これにより、RTX 5090Dは単なる妥協製品ではなく、中国市場のエンスージアストやクラウドプロバイダー向けのニッチ市場をターゲットとした商品としての地位を確立している。特に、AIワークロードを想定した設計が進む中、RTX 4090Dの事例で示されたVRAM容量の増加が次世代モデルにも適用される可能性がある。技術的な調整を通じて、中国向け製品の独自性を打ち出す戦略が注目される。

RTX 5090Dの設計進化が示すNvidiaの市場戦略

RTX 5090Dは、Nvidiaの次世代GPUアーキテクチャ「Blackwell」のGB202ダイを採用する可能性が高い。このダイは744平方ミリメートルの大きさを持ち、RTX 4090Dの前世代ダイと比較して、製造プロセスの進化が示唆される。

この進化により、性能向上を維持しつつも規制を回避するという二重の課題に応えている。RTX 4090Dが12%の性能削減で規制を回避した実績を踏まえ、RTX 5090Dの設計も同様の路線を取る可能性がある。

一方、GPU市場の競争環境を考えると、RTX 5090Dの設計が単に規制対応に留まらず、中国市場の成長分野であるAIやデータ処理にも対応することが求められる。特に、中国のクラウドプロバイダーがRTX 4090Dを改造し、AIワークロード向けに活用した事例は、Nvidiaが今後の設計に影響を与える要因となるだろう。こうした背景から、Nvidiaが規制を超えた革新的な戦略を描いていると考えられる。

Nvidiaが示す次世代GPU市場への挑戦

RTX 5090Dの存在は、Nvidiaが次世代GPU市場で抱える課題と挑戦を象徴している。CES 2025で発表が予定されているRTX 50シリーズは、フラッグシップモデルとしてのRTX 5090を中心に構成されるが、中国専用モデルの位置付けはこれまで以上に重要になる可能性がある。特に、クラウドやAI分野への展開が市場拡大のカギを握る中、RTX 5090Dがどのようなスペックで市場に登場するかが注目されている。

さらに、Founders Editionが存在しない可能性が指摘されるRTX 5090Dは、カスタマイズ性の高いAIBメーカーによる製品展開が主流となると考えられる。こうした状況は、Nvidiaが市場のニーズに応じた柔軟な供給戦略を採用していることを示している。また、中国市場向けの特化モデルという位置付けが、他地域との競争にどう影響を及ぼすかも、今後の注目点となる。