ミニPC市場に新たな風を吹き込むGMKの「EVO-X1」が注目を集めている。このコンパクトなPCは、12コア24スレッドのRyzen AI 9 HX 370プロセッサと統合グラフィックスRadeon 890Mを搭載し、32GBメモリと最大4TBのストレージを備える。また、OCuLinkポートを搭載し、高性能GPUとの接続が可能な点が大きな特徴だ。
外部GPU接続による性能向上を実現する一方、価格は$1,299からと手の届きやすさも魅力。さらに、次世代プロセッサ「Ryzen AI Max+ 395」へのアップグレード計画が明らかになり、AMDの最先端技術を活用した統合GPU性能がエントリーレベルのグラフィックスカードを凌駕する可能性が示唆されている。
コンパクトPC市場に革新をもたらすEVO-X1の特徴とその狙い
GMKのEVO-X1は、ミニPCとして他の製品との差別化を狙った設計が特徴だ。AMDのRyzen AI 9 HX 370プロセッサを搭載し、12コア24スレッドと統合グラフィックスRadeon 890Mを組み合わせることで、性能と効率のバランスを実現している。この構成はゲームやクリエイティブ用途だけでなく、高負荷のタスクにも十分対応可能である。
EVO-X1の注目すべき点は、高速なデータ転送を可能にするOCuLinkポートの搭載だ。このポートを活用すれば、外部GPUエンクロージャを接続し、パフォーマンスをさらに引き上げることができる。一方で、RTX 4090のような高性能GPUでは最大23%の性能低下が報告されており、製品の用途に応じた選択が求められる。
GMKが提供する価格帯を見ると、$1,299から$1,599と競争力のある設定となっている。特にストレージ容量や拡張性を考慮すると、カスタマイズ性の高いPCとしての魅力は大きい。ミニPC市場において、これだけの機能と性能をコンパクトな筐体で実現する点が、他社製品との差別化を生むといえる。
OCuLinkポートがもたらす可能性と課題
EVO-X1に搭載されたOCuLinkポートは、ミニPC市場において新たな接続オプションとして注目されている。このポートはPCIe Gen4 x4接続を利用し、Thunderbolt 3やUSB4を上回る帯域幅を提供する。これにより、外部GPU接続時のボトルネックを軽減し、より滑らかなパフォーマンスを引き出すことが可能だ。
しかし、OCuLinkはホットスワップができない点が課題として挙げられる。また、対応する外部GPUエンクロージャは別途購入が必要で、選択肢が限定されることも利用者にとってのハードルとなる。Aoostar AG01やMinisforum MGA1といった対応製品を使えば解決できるものの、コスト面での負担が増える点には注意が必要だ。
この技術の進化が示唆するのは、コンパクトPCが従来の制約を超え、デスクトップ並みの性能を提供できる可能性である。GMKの取り組みは、他のメーカーにもOCuLink搭載の流れを生む起爆剤となるかもしれない。今後、このポートを活用したさらなる製品展開が期待される。
Ryzen AI Max+ 395の導入が示す未来の方向性
GMKは次世代のRyzen AI Max+ 395「Strix Halo」プロセッサを搭載したモデルの計画を発表し、技術の最前線に立つ姿勢を示している。このプロセッサは、統合GPU性能でエントリーレベルのグラフィックスカードを凌駕する可能性を秘めているとされ、ミニPCの性能をさらに押し上げる鍵となり得る。
EVO-X1評価プラットフォームで行われたVulkanテストでは、統合GPUが67,004ポイントを達成し、RTX 3050やRX 5700を超える性能を記録した。これにより、グラフィックス性能がミニPCにおけるボトルネックから強みへと変わる可能性が見えてきた。ただし、Geekbench 6の結果はあくまで一つの指標であり、実際の使用感や性能を評価するためには独立したレビューが必要である。
GMKが提示する方向性は、ハイエンドPC市場に新たな価値をもたらすものとなるだろう。Ryzen AI Max+ 395を活用することで、ミニPCの可能性はさらに広がり、ゲーム用途やクリエイティブワークだけでなく、AI処理やその他の高度なタスクにも対応できるようになる。これが市場全体に与える影響は計り知れない。