ASUSのROGシリーズから最新の外部GPUドック「XG Mobile」が登場する。搭載されるのは、NVIDIAの最速モバイルGPU「GeForce RTX 5090 モバイル版」。このハイエンドGPUに加え、Thunderbolt 5の採用や8K出力対応といった特徴も備えており、ゲーミングやクリエイティブ用途の環境を大きく進化させるモデルとなる。
発売日は2月25日で、価格は2,199.99ドルとされている。RTX 50シリーズの供給不足が懸念される中、購入の難易度にも注目が集まる。
Thunderbolt 5の進化がもたらすROG XG Mobileの新たな可能性
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今回のROG XG Mobileで最も注目されるのが、外部GPUドックとしては初めてThunderbolt 5を採用した点だ。これにより、従来のThunderbolt 4と比較して帯域幅が2倍となる最大80Gbpsのデータ転送が可能になり、外付けGPUのボトルネックが大幅に解消される。
これまで、Thunderbolt 4を利用した外部GPUソリューションでは、PCIeレーンの制約によって性能がフルに発揮されにくい問題が指摘されていたが、Thunderbolt 5による高速通信がこれを大きく改善すると期待される。
加えて、ダイナミック帯域幅の割り当ても特徴のひとつだ。Thunderbolt 5では、データ転送の際に必要に応じて片方向の帯域を拡張できる「バンドウィズ・ブースト」が導入されている。例えば、ゲームプレイ中に大容量のグラフィックデータを転送する場合、GPU側の送信データに優先的に帯域を割り当てることで、よりスムーズな描画が実現可能となる。
また、最新の映像出力規格との互換性にも注目したい。DisplayPort 2.1をサポートすることで、8K映像出力が可能になり、複数の4Kディスプレイを高リフレッシュレートで接続することもできる。これまで外付けGPUの課題だった映像の遅延やフレーム落ちのリスクが低減される点は、ゲーミングだけでなく映像編集などの用途にも大きなメリットをもたらすだろう。
330Wの電源供給と高効率冷却で安定したパフォーマンスを実現
ROG XG Mobile 2025は、従来モデルと同じくコンパクトな筐体ながら、330Wの電源供給を実現している。高性能なRTX 5090モバイルGPUを安定して動作させるためには大容量の電力供給が必須であり、この点でASUSは設計の最適化を図っている。
通常、外部GPUはACアダプターを別途接続する必要があるが、ROG XG Mobileは本体に電源を内蔵しており、持ち運びの利便性を維持しながら高性能を確保している点が特徴だ。
冷却機能にも大きな進化が見られる。ASUSはこのモデルにベイパーチャンバー冷却技術を採用し、従来のヒートパイプ方式に比べて冷却効率を向上させている。ベイパーチャンバーは、気化した冷却液が均一に熱を拡散する構造を持つため、特定の部位に熱が集中することなく、全体的な温度管理が可能となる。
特に高負荷時においては、従来のGPUクーリングシステムよりも安定したパフォーマンスを維持できる点が強みだ。
また、静音設計にも力が入れられており、ASUSは前モデルと比較してノイズレベルを3dBA低減したと発表している。さらに、本体背面には新たに通気口を追加し、エアフローを改善することで冷却効率を向上させている。これにより、静音性と冷却性能のバランスを取ることに成功しており、長時間の高負荷作業でも快適に使用できる環境が整えられている。
RTX 50シリーズの供給不足と価格の影響、購入の難易度は?
ROG XG Mobile 2025の魅力的なスペックを前にして、多くの人が気にするのは入手のしやすさだろう。RTX 50シリーズはデスクトップ版でも供給不足が問題視されており、今回のRTX 5090モバイル搭載モデルも需要が高まることが予想される。特に、RTX 4090モバイル版が市場で品薄だったことを考えると、RTX 5090モバイル搭載のXG Mobileも同様の状況になる可能性がある。
価格面についても注目されるポイントだ。RTX 5090モバイル版を搭載したXG Mobileは2,199.99ドルとされており、ノートPC向けの外付けGPUソリューションとしては高価な部類に入る。しかし、性能を重視するユーザーにとっては、その価格に見合うだけの価値があると判断されるかもしれない。
一方で、より手頃な選択肢としてRTX 5070 Tiモバイル版搭載モデル(1,199.99ドル)が用意されている。この価格帯なら、外部GPUの導入を検討するユーザーにとって手が届きやすい範囲になる可能性がある。しかし、性能差を考えると、より長期的に快適な環境を求める場合は、RTX 5090搭載モデルの方が有利であることは間違いない。
また、発売日が2月25日に設定されていることから、事前予約の有無や流通状況にも注目が集まる。RTX 50シリーズの供給不足が続く中で、発売後すぐに完売する可能性もあるため、購入を検討している場合は早めの決断が必要になりそうだ。
Source:Wccftech