AMDが2025年第1四半期、デスクトップCPU市場においてシェア50.1%を記録し、Intelを上回る結果となった。この急成長を支えたのは、Granite Ridge Zen 5ベースのRyzen 9000シリーズの高性能であり、特にRyzen 9 9950Xの人気が際立つ。一方、ノートPC市場ではIntelの圧倒的な優勢が続き、AMDは20%台に停滞している。

Zenマイクロアーキテクチャにより一定の市場シェアを取り戻したものの、供給不足やOEM契約の制約が足かせとなり、成長に伸び悩む状況が続いている。AMDのモバイル市場攻略のカギは、Ryzen 4000シリーズを超える新たな戦略にあるとみられる。

AMDのデスクトップ市場シェア逆転を支えたRyzen 9000シリーズの強み

AMDがデスクトップCPU市場でIntelを上回る結果を出した背景には、Granite Ridge Zen 5ベースのRyzen 9000シリーズの成功がある。特にRyzen 9 9950Xは、高性能かつ競争力のある価格設定で市場を席巻した。

PassMarkベンチマークによると、同モデルのサンプル数は880に達し、Intel Core Ultra 9 285Kの319を大きく引き離している。この差は、エンスージアスト向け市場でのAMDの評価が極めて高いことを物語っている。

この成功の背景には、Zen 5アーキテクチャの効率性と性能向上がある。多コア性能の進化や電力効率の改善が、ゲーミングからクリエイティブ用途まで幅広いニーズに応えている。さらに、Ryzenシリーズはプラットフォームの長期サポートを提供しており、ユーザーが最新プロセッサを活用できる環境を整備している。一方で、Intelの反撃も予測されるため、このリードを持続するためにはさらなる技術革新が求められる。

AMDが市場で得た支持を維持するためには、OEMや消費者向けに一貫した供給体制を整えることが重要である。これは特に高性能プロセッサ市場において、信頼性のある供給が選択の鍵となるからだ。

ノートPC市場で苦戦するAMDの課題と新たな戦略の必要性

一方、ノートPC市場におけるAMDのシェアは20%台に留まり、Intelの73.6%に大きく水をあけられている。Ryzen 4000シリーズが登場した際には、Acer Swift 3 SF314-42のようなモデルが注目を集め、性能の高さと電力効率が評価された。しかし、OEM契約の制約や供給不足、そしてIntelの市場支配力がAMDの成長を阻んでいる。

特にノートPC市場では、Intelのブランド力と長年の市場地位が影響している。さらに、企業向けや教育市場では、Intelのプロセッサがデファクトスタンダードとなっており、AMD製品の採用を阻む要因となっている。

この状況を打破するには、Ryzenシリーズのさらなる進化だけでなく、OEMとの強固なパートナーシップが欠かせない。Appleシリコンがモバイル市場に変革をもたらしたように、AMDも革新的なプロセッサで市場を揺るがす必要がある。

また、Intelに対抗するためには、性能だけでなくマーケティング戦略の見直しが求められる。消費者の目に触れる広告展開や、実際の性能を体感できる体験型プロモーションが有効だと考えられる。ノートPC市場での成長は、AMDが長年の課題を乗り越えるための試金石となるだろう。

AppleとQualcommの市場進出が与える影響とAMDの立ち位置

CPU市場全体では、AppleとQualcommといった他社の進出も無視できない存在となりつつある。特にAppleのM1チップ以降の独自アーキテクチャは、市場に新しい基準をもたらした。2021年にはAppleがシェア8.5%を記録し、一時はIntelの顧客層を奪う結果を出したものの、2024年にはシェアが低迷。しかし今後、次世代Mシリーズの登場がシェア回復を助ける可能性がある。

一方でQualcommは、新しいSnapdragon Xシリーズチップを引っ提げて市場シェアを拡大する可能性が高い。これまでスマートフォン市場で圧倒的な地位を築いてきた同社が、PC市場においても影響力を強める兆しが見られる。これらの動きは、AMDにとってさらに厳しい競争環境を意味する。

AMDはこの競争を生き抜くために、独自の技術革新と競争力のある価格戦略を推進する必要がある。特に、他社製品との差別化を明確にし、エコシステム全体の強化に努めるべきである。市場は多様化しており、AMDに求められるのは単なる性能向上だけではなく、ブランドとしての魅力をいかに高めるかである。

Source:Notebookcheck