Intelは、長年主流であった「Family 6」識別を超え、新たに「Family 18」と「Family 19」を採用することでプロセッサ開発に大きな転換を図る。
この変更はLinuxカーネルのアップデートを通じて明らかになり、Diamond RapidsがFamily 19モデルとして登場したことを皮切りに、未来のCPUアーキテクチャが明確化しつつある。9月に公開された15の新パッチでは、arch/x86内のチェックを最適化し、x86_modelからVFMチェックへの移行が進められた。
背景には、Pentium 4以降続いていたFamily番号の慣例を見直し、AMDが世代ごとに柔軟な番号変更を行うアプローチに近づける狙いがあると考えられる。Family 18がEコア用、Family 19がPコア用に分けられる可能性も示唆されており、Intelの次世代CPUの方向性に注目が集まっている。
Family 18と19の導入がもたらす技術的進化とその背景
Intelが新たに採用するFamily 18と19は、単なる識別番号の変更ではなく、アーキテクチャの進化を象徴するものと考えられる。これまでFamily 6が中心であった中、Pentium 4のFamily 15が例外的存在だったことを振り返れば、今回の変更が過去数十年の枠組みを根底から変える試みであることは明白である。特にDiamond RapidsがFamily 19として初めて登場したことは、Linuxカーネルの開発者たちにとっても重要なマイルストーンとなっている。
Linuxカーネルのコードは長年にわたりFamily 6を基準に設計されてきたが、新パッチではx86_modelチェックをVFMチェックへと変換する動きが見られる。この取り組みは、既存のコードを将来的なFamily 18および19プロセッサに対応させるための必然的なステップであると同時に、開発者の労力を最小限に抑えつつ互換性を確保する工夫でもある。こうした技術的進化は、Intelのアーキテクチャ設計が多様化する中で必要不可欠であるといえる。
AMDとの比較から読み解く識別番号変更の狙い
AMDはZenアーキテクチャを世代ごとにFamily番号で明確に区別してきた。ZenとZen 2がFamily 23、Zen 3とZen 4がFamily 25、Zen 5がFamily 26というように、アーキテクチャの進化を番号の変更でわかりやすく示している。この方式は開発者やユーザーにとって新しい世代を理解しやすくする一方で、各世代の最適化が明確になる利点もある。
これに対し、Intelは長年にわたりFamily 6を中心に据え、細かい区分けを避けてきた。しかし、Diamond RapidsをFamily 19として位置づけ、Family 18の採用にも踏み切ることで、AMDの手法に近づいた形となっている。
これはアーキテクチャの差別化が進む中、ユーザーや開発者に次世代プロセッサの特徴をより具体的に伝えるための戦略と見られる。特にPコアとEコアの区別が予想される中で、この識別番号変更がプロセッサの性能や用途を明確に区別する助けとなる可能性がある。
今後のLinuxカーネル開発とIntelの課題
Linuxカーネルは今回の変更に対応するため、arch/x86内のクリーンアップを進めているが、ドライバ内のx86_model使用の対応は未だ課題として残る。一部のドライバは全面的な書き換えが必要になる可能性があり、cpufreqやhwmonの修正も限定的な成功にとどまっている。これらの課題は、Intelが新しいアーキテクチャを展開する上で重要な障壁となるだろう。
さらに、Family 18と19の具体的な区分がPコアとEコアに基づくものなのか、それ以外の指標を用いるのかについては未確定であり、今後の展開次第ではLinuxカーネル側のさらなるリファクタリングが必要になる可能性がある。専門家の間では、これらの課題をクリアすることでIntelが次世代プロセッサ市場での競争力を維持できるかが注目されている。Linuxカーネルメーリングリストや公式発表を通じて、その進捗を追うことが求められる。