HPE(ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)が、Nvidia、AMD、IntelのGPUを搭載した新型スーパーコンピューティングサーバーを発表し、AIワークロードのさらなる最適化に注力している。今回のポートフォリオには、冷却効率を高めるファンレス直接液冷システムを採用し、従来の冷却技術に比べてサーバーブレードごとに37%の電力削減を実現する。
また、Cray EX4252やEX154nなど最新のCray EXシリーズを含むラインナップが、AIトレーニングから推論まで、複雑な計算負荷に対応可能な柔軟性を提供。新技術「Slingshotインターコネクト400」を搭載し、データ転送速度の高速化や輻輳管理機能によって低遅延を確保する。2024年12月にはXD680が、さらに2025年には、Nvidia H200やBlackwell GPU、AMD Instinct MI325Xを備えたモデルも順次市場投入される予定だ。
冷却効率を大幅に高めるファンレス直接液冷システムの威力
HPEが導入した新しいファンレス直接液冷システムは、従来の冷却方法と比較して37%の電力削減を実現している。この直接液冷技術は、冷却ファンを排除することで、音の発生を抑えながらも冷却性能を向上させ、データセンター内でのエネルギー効率を高めている
。HPEの新システムは、サーバーブレードごとに適用することが可能であり、従来のハイブリッド直接液冷に比べて大幅な省エネ効果を発揮する。これは、高密度のデータセンター環境において冷却電力の削減が重要な課題であるため、エネルギー効率とコスト削減を重視する企業にとって大きな利点となる。
冷却効率の向上により、AIやビッグデータ解析といった膨大なワークロードにも安定した稼働が可能となり、データセンターの維持管理コストの削減や持続可能なインフラ構築に貢献する。こうしたHPEの新技術は、より多くの企業がデータセンターの運用を省エネかつ持続可能な方法へとシフトするための一助となるだろう。
Nvidia、AMD、Intelを組み合わせたスーパーコンピュータの柔軟な運用性
HPEのCray EXシリーズは、Nvidia、AMD、Intelの最新GPUを採用し、多様な計算資源を柔軟に利用できる点が大きな特長である。EX4252はAMDの第5世代EPYCプロセッサを備え、単一キャビネットで98,304コアを提供できるため、ビッグデータ解析やシミュレーションといった負荷の高いワークロードに適している。
一方、EX154nはNvidiaのBlackwell GPUを最大224個搭載し、AIモデルのトレーニングや推論を高速化する設計となっている。この柔軟な運用性は、ユーザーが使用する用途に応じて計算リソースを最適化し、最大限のパフォーマンスを引き出すことを可能にする。
また、企業にとって異なるチップセット間での互換性はコスト効率を高め、既存のシステム環境に柔軟に対応できる点で、運用の選択肢が広がる。これにより、AI技術の進化に応じてスケーラブルな環境を構築し、技術競争における優位性を確保できるといえよう。
超高速インターコネクトとストレージの刷新で実現する大規模データ処理
HPEが発表した「Slingshotインターコネクト400」は、前世代比で2倍のライン速度を誇り、低遅延で大規模なデータ転送を可能にする。このインターコネクトには、自動輻輳管理や適応ルーティング機能が備わり、大規模ワークロードの効率的な処理が実現する。
また、ストレージには「Storage Systems E2000」を新たに採用し、従来のストレージソリューションに比べてI/O性能を2倍以上向上させ、アイドル時間を短縮することで計算ノードの効率的な利用を実現している。
これにより、AIやビッグデータの分析時に必要な大量データの処理速度が飛躍的に向上し、複雑な演算も短時間で実行可能となる。特に、膨大なデータを扱う研究機関や企業にとって、これらの新技術は運用コスト削減と効率向上に貢献し、迅速なデータ解析やリアルタイム処理のためのインフラとして有望であると考えられる。