Nvidiaが『STALKER 2』におけるRTX 40シリーズ向けベンチマーク結果を公開し、CPU負荷の可能性とDLSS 3の効果が明らかになった。Unreal Engine 5を使用したこのゲームは、1080pや1440pでは高性能なGPUでのフレームレート平坦化が見られる一方、DLSS 3を有効化した4K解像度で平均フレームレートが劇的に向上することが示されている。
特にRTX 4080 SuperでDLSS 3を利用すれば、4K時の平均フレームレートが47.1fpsから112.7fpsに増加するという結果である。ゲームのグラフィックス技術にはレイトレーシングではなくLumenが採用されており、これがCPU負荷を高める一因と考えられるが、Nvidiaのデータに基づく推測であり、ユーザーが実際に体験するパフォーマンスは今後の検証次第である。
DLSS 3の真価とは何か?4K環境におけるフレームレート改善の実力
Nvidiaの発表によると、DLSS 3は『STALKER 2』において特に4K環境で大幅なフレームレート向上をもたらすことが確認されている。例えば、RTX 4080 SuperでDLSS 3を使用することで、従来の47.1fpsから112.7fpsへと劇的に増加しており、これはおよそ2倍以上の改善となる。
DLSS 3は、AIベースのアップスケーリング技術としてNvidiaが開発を進めてきたものであり、従来の技術と異なり、解像度の向上にともなうパフォーマンス低下を効果的に緩和する。これにより、4K環境でも美しいグラフィックと滑らかなゲーム体験を両立することが可能となっている。
DLSS 3がもたらす利点は単なるフレームレートの向上にとどまらない。4Kの高精細画面において、より繊細なディテールや奥行きのある映像を実現するため、ゲーム内の没入感を格段に高める効果が期待される。特に、Unreal Engine 5で描かれる『STALKER 2』のシーンにおいては、広大でディテールに富んだ廃墟や放射能に汚染された自然環境がよりリアルに描写され、プレイヤーの視覚的な没入感を深めるであろう。
DLSS 3の効果はフレームレートの向上という表面的な数値に留まらず、4K時代におけるゲーム体験全体の質を押し上げる原動力となっている。
CPU依存の傾向とLumen技術の関係
Nvidiaのベンチマークにより明らかになったもう一つの重要な点は、『STALKER 2』が特定の解像度でCPUに依存する傾向が強い点である。1080pや1440pの設定においてRTX 4070 Ti以上の高性能GPUを使用しても、フレームレートの伸びが限定的で、CPUの処理能力に依存する場面が見受けられる。
この背景には、Unreal Engine 5で導入されたLumenというグローバルイルミネーション技術が関係していると考えられている。Lumenはレイトレーシングではなく、主にCPUを使ってリアルタイムの光の反射や陰影をシミュレートするため、GPU性能が向上してもCPUがボトルネックとなり、フレームレートの伸びが制限されやすい。
この点は『STALKER 2』に限らず、Lumenを採用した他のゲームタイトルにも影響を与えている可能性がある。しかし、Lumenはリアルなライティングを表現する技術としての魅力を持つ一方で、CPUに過大な負荷がかかるデメリットも併せ持っている。
PC Gamerが指摘するように、Lumenがレイトレーシングほどの精度や質感を備えていないことから、高解像度での描写においては限界もある。将来的には、より高度なハイブリッドライティング技術が開発され、GPU依存を高めつつCPUの負荷を軽減するような改善が期待されるだろう。
高性能PCの必要性とDLSS 3の恩恵に対する課題
Nvidiaの公表したシステム要件からも明らかであるように、『STALKER 2』は16GBのメモリや160GBものストレージを要求するなど、最新のPCスペックが求められている。
こうした高性能なシステムが必要とされる背景には、ゲームの圧倒的なグラフィック表現と、CPUおよびGPUへの負荷の高さがある。DLSS 3による性能向上は魅力的であるが、これを享受するためには、少なくともRTX 40シリーズのGPUを搭載したシステムが前提条件となるため、ハードルが高いことも事実である。
一般のゲーマーが最新のシステムを揃える負担は小さくなく、こうした高性能PCが必要となるゲームの普及には課題が残る。ただ、DLSS 3の導入により、4K解像度のゲーム体験を身近にする試みは進んでおり、長期的には技術革新と価格の安定により、より多くのユーザーが高画質のゲームを楽しめる環境が整うことが期待される。