2024年第3四半期、サーバー市場の不況が終わりを迎え、インテルとAMDの競争が新たな展開を迎えている。マーキュリー・リサーチによれば、X86サーバーCPU市場は前年比15.1%増の成長を見せ、出荷台数と収益の両面で両社に利益をもたらした。

特にインテルは依然として全体のシェアを維持し、世界のデータセンターに供給されるCPUの3分の2を占めている。一方で、AMDはEpycプロセッサの成功によりサーバーCPUの収益でインテルを上回りつつあり、クラウド事業者やハイパースケーラーからの需要増加がその追い風となっている。

インテルとAMDの競争構造:データセンター市場の覇権争い

2024年第3四半期の統計によれば、インテルとAMDがX86サーバーCPU市場で互いに高い成長を見せる中、その競争構造には歴然とした違いがある。マーキュリー・リサーチの報告によると、インテルは依然として市場の約3分の2のシェアを占め、伝統的なデータセンター向けに強力な供給基盤を築いている。

一方で、AMDは「Milan」や「Genoa」世代のEpycプロセッサの価格性能比により、特にクラウド事業者やハイパースケーラーからの支持を集め、収益面でインテルを上回っている。この競争構造の背景には、両社のターゲットとする市場層の違いがあり、インテルは広範な市場カバレッジを維持する戦略をとっているのに対し、AMDは多コアCPUを武器に高性能ニッチ市場でシェアを拡大していると考えられる。

これにより、サーバー市場において異なるニーズに応じた供給が進んでいる。AMDが収益性の向上を図る中で、クラウドやAIといった需要の多様化にどう応えていくかが今後の焦点となり、インテルもまた強固な市場ポジションを守り続けるためには、新たな技術革新が必要とされているといえよう。

出荷台数と収益の拡大:サーバー市場回復が与える影響

インテルとAMDの2024年第3四半期の成長率は、サーバー市場の回復が現実のものであることを示している。ガートナーのデータによれば、全体のX86サーバーCPU出荷数は前年比15.1%増であり、収益も同時に増加傾向にある。

特にインテルは出荷台数を4.09百万個まで増加させ、直前四半期比でも9.8%の伸びを記録している。一方、AMDも出荷台数で前年比14.4%増、収益で20.7%増と大幅な成長を遂げており、この流れは企業のITインフラ投資の復調を象徴しているといえよう。

しかし、サーバー市場全体が急速に回復した理由としては、パンデミック以降の経済環境の変化がある一方で、クラウド需要のさらなる拡大も見逃せない。AIやビッグデータ解析に代表される新たな技術的需要が、インテルとAMDの両社にとって今後の成長に寄与する可能性が高い。サーバー市場の成長が再び確固たるトレンドとして定着すれば、より多様なプロセッサアーキテクチャの開発も加速するだろう。

サーバーコストの変遷と今後の見通し

サーバーコストにおけるCPUの寄与は過去20年間で大きく変化しており、2024年時点でのサーバー全体のコスト構成にも影響を与えている。マーキュリー・リサーチによると、2000年代初頭のサーバーコストの約10%を占めていたCPUは、性能向上と設計の高度化に伴い、サーバー価格の15%以上を占めるまでに成長した。この変遷により、データセンターはコスト効率の高い選択を迫られている。

一方で、2020年代後半のAMDやArmの参入により、X86 CPUのサーバーコスト比率は2024年には約12%にまで低下している。今後、さらなるアーキテクチャの多様化や設計の改善により、CPUコストはより合理化され、サーバー導入のハードルが下がる可能性も考えられる。技術革新が進む中、CPUメーカーがいかにデータセンター運営の効率向上に貢献できるかが、新たな競争の焦点となっている。