Intelの最新CPU「Core Ultra 9 285K」がArrow Lakeアーキテクチャで登場した。多くの期待が寄せられていたが、AMDの人気ゲーム用CPUである「Ryzen 7 7800X3D」との直接対決でどのような結果を残すのか注目されている。
Intelは今回、長年の特徴であったハイパースレッディングを廃止し、より効率性にフォーカスしているが、ゲーム性能では5%劣るとされる。この差はユーザーにとってどれほどの意味を持つのか、詳しく見ていこう。
Intel Core Ultra 285KとAMD Ryzen 7 7800X3Dの基本スペック比較
Intel Core Ultra 285Kは、24コアという強力なハイブリッド設計を特徴とし、8つのPコアと16のEコアを搭載している。この構成により、シングルスレッドのパフォーマンスを保ちながら、マルチコアの作業負荷にも対応することが可能だ。さらに、最大5.5GHzのブースト周波数や6400MT/sのメモリサポートにより、高い処理能力を誇る。
一方で、AMD Ryzen 7 7800X3Dは、8コア16スレッドの設計で、96MBもの大容量L3キャッシュを搭載している。このキャッシュ量は特にゲームにおいて顕著な効果を発揮し、データの高速アクセスを必要とするゲームタイトルで優位性を見せる。また、5nmプロセスを採用し、低い消費電力で動作する点も特徴だ。
こうした基本スペックの違いは、ユーザーが何を優先するかによって選択が左右される。Intelはマルチタスクや生産性重視の用途に適しており、AMDはゲーム用途に特化している。どちらもそれぞれの強みを持つCPUであることは間違いない。
ゲーム性能の違いはどこにあるのか?
Intel Core Ultra 285KとAMD Ryzen 7 7800X3Dのゲーム性能を比較すると、明確な差が現れる。特に、Ryzen 7 7800X3Dの96MBのL3キャッシュは、ゲームタイトルにおけるフレームレート向上に大きく寄与している。例えば、「Doom Eternal」では、Ryzenが526.4FPSを達成したのに対し、Intelは499.8FPSにとどまっている。
また、「Horizon Forbidden West」でもRyzenは219.8FPSを記録し、Intelの202.6FPSを上回っている。これらの差は、ゲームによっては大きな違いを生むことがある。加えて、Ryzenの消費電力がIntelに比べて低いため、長時間のプレイでも温度や消費電力に対して優れた効率性を発揮する。
一方、Intel Core Ultra 285Kはゲーム以外の用途、特にマルチタスクや生産性重視のシナリオで強みを発揮するため、純粋なゲーミングマシンを求めるならRyzen 7 7800X3Dが優勢と言える。
生産性重視か、ゲーム性能重視か?
どちらのCPUを選ぶかは、ユーザーの用途による。Intel Core Ultra 285Kは、マルチコアのパワーを活かして生産性重視のタスクに最適だ。例えば、動画編集や3Dレンダリングといった負荷の高い作業では、24コアの構成が圧倒的な処理能力を発揮する。Cinebench R23では42,399のスコアを記録しており、AMD Ryzen 7 7800X3Dの17,646を大幅に上回る。
しかし、ゲーム用途においてはAMD Ryzen 7 7800X3Dが優勢である。特に、ゲームにおいて高いフレームレートを求める場合、Ryzen 7 7800X3DのL3キャッシュが効率的に働き、スムーズなプレイが可能となる。さらに、低い消費電力と温度管理の優位性もあり、長時間のプレイでも安心だ。
つまり、生産性を重視するならIntel、ゲーム性能を重視するならAMDという選択肢になる。用途に応じて最適なCPUを選ぶことが重要だ。
次世代CPUを待つべきか?
次世代のAMD Ryzen 9800X3Dのリリースが控えており、ゲーム性能を最優先に考えるユーザーにとっては、この待機が賢明かもしれない。Ryzen 7800X3Dが既にゲーム性能でIntelのフラッグシップを凌駕していることを考えると、9800X3Dはさらなる性能向上が期待される。
また、Ryzen 9800X3Dは同じAM5ソケットを採用するため、現在のRyzenシステムをそのまま流用できる点も魅力的である。一方、Intelの次世代CPUが登場するたびに新しいマザーボードが必要になる場合が多い。
しかし、次世代CPUがリリースされるまで待つ必要があるかどうかは、現時点での用途に依存する。もし生産性重視で今すぐに新しいシステムが必要なら、Intel Core Ultra 285Kが最適だが、ゲームに特化したマシンを構築するなら、9800X3Dの登場を待つ価値がある。