Intelが新たに発表したArrow Lake-Sシリーズの最上位モデル「Core Ultra 9 285K」は、CPU-Zベンチマークで前世代のi9-14900Kに対して11%の性能向上を見せた。しかし、BlenderのテストではAMD Ryzen 9 9950Xに7%の差をつけられ、競争は依然として熾烈だ。特に注目されるのは、このプロセッサが100℃を超える高温に達し、サーマルスロットリングが疑われる点である。
Arrow Lake-Sの新CPU、効率重視でパフォーマンス向上
Intelの最新CPU「Core Ultra 9 285K」は、Arrow Lake-Sシリーズの一環として登場し、従来のRaptor Lake-Rシリーズと比較して効率性に重点を置いている。この新モデルは、前世代の性能に匹敵するパフォーマンスを、より低い消費電力で実現することを目指している。特に、消費電力の削減に成功している点が評価されており、ゲーミングやクリエイティブ作業においても高い評価を得ている。
しかし、この効率性重視のアプローチには欠点も存在する。Arrow Lake-Sシリーズは、従来のハイパースレッディング機能を省略しており、特にマルチスレッド処理においては競合のAMDと比べて苦戦する可能性がある。これは、複数のスレッドを効率的に処理する能力が求められる作業において、不利になることを意味している。
それでも、このCPUは高クロック性能とパワー効率を両立させ、特定のタスクにおいては従来のIntel製品を上回る結果を示している。特に、ハイパフォーマンスを要求する作業環境において、この低消費電力設計がユーザーにとって大きなメリットとなるだろう。
CPU-Zベンチマークで11%の向上を達成
Core Ultra 9 285Kは、CPU-Zベンチマークにおいて、前世代のi9-14900Kと比較して11%のマルチスレッド性能向上を見せた。この結果は、Intelが効率重視の設計を採用しつつも、依然として高いパフォーマンスを維持していることを示している。特に、ゲーミングや一般的なコンピューティングタスクにおいて、この性能向上は大きなアドバンテージとなる。
一方で、シングルスレッド性能においては、同シリーズのi9-14900KSやi9-14900Kにわずかに劣る結果が見られた。この点は、特定の用途、特に単一タスクの処理においては若干の遅れを取る可能性があることを示唆している。それでも、マルチスレッド性能が強化されている点は、多くのユーザーにとって魅力的な要素となっている。
特筆すべきは、このベンチマークテストにおいて、CPUが最大5.5GHzのPコアクロックと4.6GHzのEコアクロックに達した点である。ただし、CPUが100℃を超える高温に達したことから、サーマルスロットリングによるパフォーマンス低下の可能性が指摘されている。
BlenderテストでAMD Ryzen 9に敗北
Blenderのベンチマークにおいて、Core Ultra 9 285Kはi9-14900Kに対して14%以上の優位性を示したものの、AMD Ryzen 9 9950Xには7%の差をつけられて敗北した。この結果は、特に複数のコアを利用するレンダリング作業において、AMDが依然として優位に立っていることを示している。
この差が生まれた要因として、Core Ultra 9 285Kにはハイパースレッディングがない点が挙げられる。AMDのRyzen 9 9950Xはハイパースレッディングに対応しており、特にBlenderのようなマルチスレッドを多用するソフトウェアにおいて、強力なパフォーマンスを発揮している。また、テストに使用されたハードウェアの詳細が明らかにされていないため、今回のベンチマーク結果が実際の使用状況を完全に反映しているかどうかは不明である。
それでも、Core Ultra 9 285Kは特定の条件下で優れた結果を示しており、Intelが依然として競争力のあるCPUを提供していることを証明している。特に効率性とパフォーマンスのバランスを重視するユーザーにとって、このモデルは魅力的な選択肢となるだろう。
高温によるパフォーマンスの限界か?
Core Ultra 9 285Kが100℃を超える高温に達したことは、パフォーマンスに影響を与えた可能性が高い。この温度上昇は、サーマルスロットリングと呼ばれる現象を引き起こし、CPUが自動的にクロック速度を下げて熱を制御することにつながる。これにより、ピーク性能を発揮できなかった可能性がある。
ベンチマークテストにおいて、このCPUは最大クロックで動作したが、高温の影響で十分なパフォーマンスを発揮できなかったという指摘もある。また、ASRock Z890マザーボードとDDR5-5600メモリ、RTX 4080 Superという高性能なサポートハードウェアが使用されているが、これがパフォーマンスにどう影響したかは不明である。
高温は特に長時間の負荷がかかる作業において問題となるため、冷却性能の強化が必要であることが示唆されている。今後のリリースやアップデートで、この課題がどのように解決されるかが注目される。