Microsoftは、Windows Admin Centerバージョン2410のプレビュー版を公開した。今回のアップデートでは、仮想マシン管理ツールが大幅に強化され、新たな操作モードが追加された。また、ネットワーク設定やドメイン構成のカスタマイズが容易になり、管理者にさらなる柔軟性を提供している。その他にも、インストーラーの改善やデータ移行機能の追加により、最新バージョンへの移行が円滑に行えるようになった。

仮想マシンツールの新モード導入

Windows Admin Center 2410では、仮想マシン管理ツールが大幅に強化され、新たに「詳細モード」と「ライトモード」の切り替え機能が追加された。これにより、システム管理者は用途に応じて操作画面を最適化でき、必要な情報を迅速に取得できるようになった。この新機能は、特に複数の仮想マシンを一度に管理する際の利便性を大きく向上させる。

また、仮想マシンのパワー操作が特定のマシンにのみ適用されるようになり、全体的な応答性が向上している。これにより、管理者は必要な操作を迅速に行えるとともに、不要なステータス更新による遅延を防ぐことが可能である。さらに、デフォルトの表示モードでは、実行中の仮想マシンのコンピュータ名やOSバージョンが簡潔に表示され、シンプルかつ直感的な操作が可能となっている。

この新しいツールの導入により、管理者は仮想マシンの管理業務を効率的にこなすことができるようになった。特に、仮想マシンの詳細情報を迅速に取得したい場合には詳細モードを活用し、軽量な監視や操作を行いたい場合にはライトモードが適している。

ネットワーク設定とドメイン構成のカスタマイズ強化

Windows Admin Center 2410では、ネットワーク設定やドメイン構成のカスタマイズ機能が強化されている。これにより、管理者はより高度なネットワーク設定を行い、より厳密なセキュリティ管理を実現することができる。具体的には、信頼できるホストの指定や完全修飾ドメイン名(FQDN)の設定が可能となっており、ネットワークの安全性を確保しつつ、効率的な管理が行える。

さらに、このアップデートでは、Windows Admin Centerのゲートウェイマシンに対するネットワークアクセス設定がより詳細に行えるようになっている。これにより、複数のサーバーやクライアントを一元的に管理する際の煩雑さが軽減され、柔軟なネットワーク運用が可能となる。また、これらの設定は新たに改善されたインストーラーから容易に行えるため、初期設定の負担も大幅に軽減されている。

このカスタマイズ機能の強化は、特に大規模なネットワーク環境を管理する際に役立つだろう。管理者は、それぞれのネットワーク環境に応じた最適な構成を短時間で実現できるようになった。

インストーラーのアップデートとデータ移行機能

Windows Admin Center 2410では、インストーラーが大幅に改良され、新たにデータ移行機能が追加された。この新機能により、既存のシステムから新しいバージョンへの移行がスムーズに行えるようになっている。データ移行機能は、システムのダウンタイムを最小限に抑えつつ、最新のビルドへ効率的に移行することを目的として設計されている。

また、インストーラー自体も使いやすさが向上しており、ネットワーク設定や信頼できるホストの設定が簡単に行えるようになっている。これにより、インストール作業が迅速に完了し、システムの立ち上げ時間が大幅に短縮されることが期待される。さらに、インストールプロセス中にネットワークアクセス設定を構成できる点も大きな改善点である。

このインストーラーの改良により、システム管理者は新バージョンへの移行作業をより効率的に進めることができるようになった。特に、複雑な設定を要するネットワークやセキュリティ管理においても、手間をかけずに設定を引き継ぐことが可能となっている。

拡張機能との互換性に関する注意点

Windows Admin Center 2410では、多くの新機能が追加された一方で、特定の拡張機能が最新ビルドで動作しないことが明らかになっている。特に、Dell OpenManageやDell APEX Cloud Platform、Lenovo XClarity Integrator、HPE OneViewといった主要な拡張機能が新バージョンと互換性を持たない点には注意が必要である。

これらの拡張機能を利用している環境では、バージョン2410へのアップグレードを行う前に慎重な検討が求められる。互換性の問題が解決されるまでの間、これらの拡張機能が必要不可欠なシステムには、旧バージョンのWindows Admin Centerを引き続き使用することが推奨される。

Microsoftは今後のアップデートでこれらの互換性問題に対処するとしているが、当面の間は注意が必要である。システムの安定運用を確保するためにも、拡張機能の依存関係を確認した上で、慎重にアップグレード計画を立てることが望ましい。