AMDは2024年10月10日、第5世代EPYCプロセッサを発表した。新シリーズは最大192コアを搭載し、AIやクラウド向けに最適化された革新的な性能を提供する。この「Zen 5」コアアーキテクチャにより、前世代から大幅に性能が向上し、競合製品を圧倒する処理速度を誇る。
第5世代EPYCプロセッサの性能と特長
AMDが発表した第5世代EPYCプロセッサは、AIやクラウドなどの高度なコンピューティング環境向けに設計されている。このプロセッサは最大192コアを備え、圧倒的なマルチコア性能を実現する。特に、最新の「Zen 5」コアアーキテクチャを採用しており、1クロックあたりの命令実行数(IPC)が前世代の「Zen 4」から大幅に向上した。
EPYC 9005シリーズは、競合他社の製品に比べて最大2.7倍のパフォーマンスを発揮するとされ、特にAIとクラウドに最適化された設計が強みである。プロセッサは、消費電力効率も改善されており、データセンターにおけるエネルギーコスト削減に貢献する。また、SP5プラットフォームに対応しており、柔軟なアップグレードが可能である点も企業にとって大きな魅力だ。
DDR5メモリとAVX-512に対応し、最新の技術要件に適応するEPYCプロセッサは、データ処理速度と効率の両面で卓越している。これにより、AMDはエンタープライズやクラウド、AI市場において更なる競争力を獲得している。
AIとクラウド向けに最適化された192コアプロセッサ
第5世代EPYCプロセッサの中でも、最大192コアを持つEPYC 9965はAIとクラウド向けの処理において特に優れている。192コアという圧倒的な並列処理能力は、大規模なAIトレーニングや推論処理、クラウドベースの複雑な計算において、他社製品を凌駕するパフォーマンスを発揮する。
また、EPYC 9965は、最大5GHzのブーストクロックを備えた64コアのEPYC 9575Fモデルもラインナップしており、特にAIに特化したCPU性能を発揮する。このプロセッサは、GPUによるAI処理のサポートにおいて28%の高速化を実現し、AIワークロードに必要なデータ処理を迅速に行うことができる。
これにより、企業はクラウドベースのAIサービスを迅速に展開し、AIモデルのトレーニングや推論を効率的に行うことができる。AMDは、この新しいプロセッサで、AIとクラウド市場におけるさらなるリーダーシップを確立している。
他社製品を凌駕する新たなAI対応機能
第5世代EPYCプロセッサは、AIワークロードに特化した性能向上が図られている。EPYC 9965は、最大192コアを持ち、AIトレーニングや推論において最大3.7倍のパフォーマンスを発揮する。特に、AI向けのベンチマークであるTPCx-AI(派生型)では、競合他社の製品を大きく上回る性能を示している。
小規模から中規模の企業向けAIモデル、例えばMetaのLlama 3.1-8Bモデルにおいても、EPYC 9965は最大1.9倍のスループット性能を実現している。これにより、企業はより少ない時間で大量のデータ処理を行うことができるようになる。
加えて、EPYC 9575Fのような特定のAIホストノード向けCPUは、最大5GHzのブーストクロックで動作し、1,000ノードのAIクラスタが1秒間に70万トークン以上の推論を行うことが可能となる。これにより、AIの推論能力が飛躍的に向上し、企業のAIソリューションの展開が加速することが期待される。
データセンターの次世代イノベーションを支えるEPYC
第5世代EPYCプロセッサは、データセンターの次世代イノベーションを推進するために設計されている。新しいEPYCプロセッサを導入することで、データセンターはより少ない電力でより多くの処理を行うことが可能となる。特に、一般的なコンピューティング性能ではSPECrate2017_int_baseで39万1000ユニットを達成し、消費電力は最大71%削減されるという。
これにより、データセンターの管理者は、スペースや電力の節約を図るか、もしくは日常のITタスクのためにさらなるパフォーマンスを追加するかの選択肢を得ることができる。さらに、AI対応の処理能力も強化されており、日々進化するAIワークロードに対しても迅速に対応可能である。
AMDのEPYCプロセッサは、次世代データセンターの標準となるべく、革新を続けている。最新の技術を取り入れたEPYCプロセッサは、今後もIT環境のさらなる価値向上に貢献していくだろう。