NVIDIAの次世代フラッグシップGPU「GeForce RTX 5090」が、インドネシアの新設工場で初期試験を受けている映像が確認された。

この新しいGPUは、RTX 4090から大幅に性能が向上したブラックウェルアーキテクチャを採用しており、特に4Kゲーミングとレイトレーシングにおいて飛躍的なパフォーマンスを発揮する見込みだ。

また、次世代メモリであるGDDR7を搭載し、驚異的なメモリ帯域幅を実現することで、今後のゲーミング体験を一新することが期待されている。

RTX 5090の初期テストがインドネシアで実施

NVIDIAの次世代GPUである「GeForce RTX 5090」が、インドネシアの新設工場で初期テストにかけられていることが確認された。映像には、組み立てラインから出荷されたばかりのRTX 5090がテスト機器に接続され、各種の自動化された検証を受けている様子が映し出されている。これらの検証では、GPUの熱管理やアーティファクトなど、動作に問題がないか徹底的にチェックされている。

特筆すべきは、この工場が中国への輸出制限を回避するためにインドネシアに急遽設立された点である。RTX 5090は、米国の規制により、RTX 4090以上の性能を持つチップの中国への輸出が禁止されているため、その影響を受けない形で生産体制が整えられたようだ。この工場での生産活動は、RTX 5090の早期リリースを目指したNVIDIAの戦略の一環と見られる。

今回の工場試験は、GeForce RTX 5090が予定通りのパフォーマンスを発揮できるかどうかを確認する重要な段階である。製品リリースに向け、今後もさらに詳細なテストが実施されることが予想される。

50-70%の性能向上、次世代メモリ技術を搭載

RTX 5090は、前世代のRTX 4090に比べて、性能が50-70%向上するとされている。特に注目されるのは、32GBの次世代GDDR7メモリの搭載である。これにより、RTX 5090は最大2.0TB/secの驚異的なメモリ帯域幅を実現する。このメモリ技術は、現行のGDDR6Xメモリを使用したRTX 4090の1.0TB/secを大幅に上回るものであり、より高速で効率的なデータ処理を可能にする。

また、21,760基のCUDAコアが採用され、従来の16,384基のRTX 4090に比べて圧倒的な計算能力を持つ。これにより、4Kゲーミングやレイトレーシングといった高負荷の処理でも、より高いフレームレートを維持することができる。特に、次世代ゲームや映像処理において、この大幅な性能向上が顕著に現れるだろう。

メモリとコアの進化は、RTX 5090が単なるゲーミングGPUにとどまらず、プロフェッショナルな映像制作やAI処理など、より多岐にわたる分野で活躍する可能性を示唆している。

600Wの消費電力と新たな冷却要件

RTX 5090のもう一つの大きな特徴は、その消費電力の高さである。公表されている情報によると、このGPUは最大600Wの電力を消費する。これはRTX 4090の450Wから150W増加しており、カスタムモデルやオーバークロック仕様の一部ではさらに600Wを超える可能性がある。この電力増加に伴い、冷却性能の重要性が一段と高まる。

RTX 5090が搭載するブラックウェルアーキテクチャは、高性能化に伴い、発熱量も増加する。従って、従来の空冷式では対応が難しく、水冷や液体金属冷却といった新たな冷却技術の導入が必要になるだろう。特に、長時間の高負荷作業を行うユーザーや、オーバークロックを試みるエンスージアストにとって、冷却システムの選定はGPUの性能を最大限に引き出す鍵となる。

消費電力と冷却要件の増加は、PCの全体的な電力管理にも影響を与える。電源ユニットの強化や冷却システムのアップグレードが必須となり、今後のPCビルドにおいては、より総合的なシステム設計が求められる。

レイトレーシングとDLSS 4による大幅な性能改善

RTX 5090は、レイトレーシング性能においても従来を凌駕する進化を遂げると予測されている。新たなブラックウェルアーキテクチャの導入により、レイトレーシングの処理能力が2倍から3倍、場合によっては4倍近く向上するとされている。これにより、よりリアルな光の反射や影、反射効果をリアルタイムで再現できるようになる。

また、NVIDIAのAI技術を活用したDLSS(Deep Learning Super Sampling)の次世代バージョンであるDLSS 4も、RTX 5090の強みとなる。DLSS 4は、従来のバージョンに比べて、さらに高精度なアップスケーリング技術を提供し、画質の向上と同時にフレームレートの大幅な増加を実現する。これにより、4K 240FPSのゲーム体験が一層現実味を帯びるだろう。

DLSS 4とレイトレーシングの組み合わせは、これまでにないほどリアルでスムーズなゲーミング体験を提供するだけでなく、映像制作やシミュレーションなどの専門分野にも応用が期待されている。