Intelの次世代デスクトップCPU「Arrow Lake-S」シリーズの詳細が、正式発表前にリークされたスライドにより明らかになった。今回確認されたラインナップには、最上位のCore Ultra 9-285Kをはじめ、Core Ultra 7-265KやCore Ultra 5-245Kなどが含まれている。これらのCPUは、シングルスレッド性能の大幅な向上が期待されており、特にAMDとの競争が激化するデスクトップ市場において重要な役割を果たすと見られている。

Arrow Lake-Sの全ラインナップが明らかに

Intelの次世代デスクトップCPU「Arrow Lake-S」シリーズの全ラインナップが、正式発表前にリークされたスライドにより確認された。注目すべきは、Core Ultra 9-285K、Core Ultra 7-265K、Core Ultra 5-245Kという3つのメインSKUが存在することだ。このラインナップは、AMDとの熾烈な競争が続くデスクトップ市場でIntelの競争力を維持するために開発されたものである。各モデルは、性能向上と消費電力の最適化を目的とした新しい設計が特徴となっている。

Arrow Lake-Sシリーズは、パフォーマンスコアと効率コアの混在によるハイブリッド構造が採用されている。これにより、高いシングルスレッド性能とマルチタスク処理の効率が両立されている。特に、最上位モデルのCore Ultra 9-285Kは、24コアという強力なスペックを持ち、8つの「Lion Cove」パフォーマンスコアと16の「Skymont」効率コアを備えている。

発表が近づく中で、この新しいラインナップがどのようなパフォーマンスを提供するか、業界全体の注目が集まっている。特にシングルスレッド性能において、従来モデルを超える大幅な向上が期待されている。

Core Ultra 9、Core Ultra 7、Core Ultra 5の詳細スペック

IntelのArrow Lake-Sシリーズには、Core Ultra 9、Core Ultra 7、Core Ultra 5という3つの主要モデルが確認されている。最上位のCore Ultra 9-285Kは、24コア24スレッドで、5.7 GHzまでブースト可能なパフォーマンスコアを搭載している。ただし、Hyperthreadingは非対応であるため、スレッド数が抑えられている。

一方、Core Ultra 7-265KおよびCore Ultra 7-265KFは、20コア20スレッドで、8つのパフォーマンスコアと12の効率コアを組み合わせている。265KFは統合グラフィックスを持たず、インテルのvProやSIPPも非対応であるため、ビジネス用途での一部機能が制限される。

Core Ultra 5-245Kおよび245KFは、14コアで構成され、6つの効率コアと8つのパフォーマンスコアを備えている。これらのモデルも、KバリアントとKFバリアントの違いとして、統合グラフィックスと特定のプロ向け機能の有無が挙げられる。全てのモデルが192GBのDDR5-6400メモリと24のPCIeレーンをサポートする。

シングルスレッド性能の大幅向上が期待される

IntelのArrow Lake-Sシリーズにおける最も注目すべきポイントは、シングルスレッド性能の大幅な向上である。特に、最上位モデルであるCore Ultra 9-285Kのリークされたベンチマーク結果により、この性能向上が裏付けられている。5.7 GHzのブーストクロックを実現することで、単一スレッド処理における処理速度は、従来のAlder LakeやRaptor Lake世代を大きく凌駕する見込みである。

この高いシングルスレッド性能は、ゲーミングや一部のプロフェッショナル向けアプリケーションにおいて特に重要であり、ユーザーにとって大きなメリットとなる。ゲームエンジンやシミュレーションソフトウェアなど、シングルスレッド依存の高い処理は、特に恩恵を受けるだろう。

また、AMDのRyzenシリーズとの競争においても、このシングルスレッド性能の差が重要なファクターとなる。AMDもZen 5アーキテクチャでの対抗を進めているが、IntelがArrow Lake-Sシリーズでどのような位置を築くかが注目されている。

Hyperthreadingが一部モデルで非対応

Intelの新しいArrow Lake-Sシリーズでは、上位モデルであってもHyperthreadingが非対応である点が特徴的である。最上位モデルであるCore Ultra 9-285Kですら、24コア24スレッドにとどまっており、Hyperthreadingによるスレッド数の増加は期待できない。この決定は、性能と電力効率の最適化に基づくものと見られている。

Hyperthreadingの非対応により、特定の用途ではマルチスレッド処理が抑制される可能性があるが、Intelはパフォーマンスコアと効率コアの組み合わせでこれを補完している。実際、効率コアによる負荷分散が効果的に機能すれば、Hyperthreadingの欠如はそれほど大きな問題にはならないと予想されている。

一方で、AMDのRyzenシリーズは依然としてマルチスレッド性能を強調しており、特にプロフェッショナル用途やマルチタスクにおいては、ユーザーの選択が分かれる可能性がある。Intelがこの領域でどのような競争戦略を打ち出すかが今後の焦点となる。