ASUSの新型ゲーミングデバイス「ROG Ally X」は、ハンドヘルドゲーミングの分野で圧倒的な存在感を示している。特にSteam Deckとの競合が注目される中、このデバイスは優れた性能と使い勝手を兼ね備え、ゲーマーに新たな選択肢を提供している。この記事では、そのハードウェア、ディスプレイ性能、バッテリー持続時間、ゲーム互換性など、ROG Ally Xの全容に迫る。

ハードウェアとデザインの進化

ASUS ROG Ally Xは、従来のROG Allyから大幅な進化を遂げたデザインが特徴である。特に注目すべきは、握りやすさを向上させた大きなハンドグリップである。Steam Deckほどのボリュームはないが、前モデルよりも大幅に改善されており、長時間のゲームプレイでも快適さを保つことができる。背面のカーブも滑らかになり、手のひらに食い込む不快感が軽減されている。

また、操作性を高めるために、スティックの位置が若干変更され、ボタンの配置も洗練された。ABXYアクションボタンや左右のトリガーなどは、より直感的な操作を実現している。これにより、複雑な操作を求めるゲームでも、ストレスなくプレイできるようになった。加えて、前面にはデュアルステレオスピーカーを搭載しており、音響体験も一段と向上している。

ROG Ally Xのビルドクオリティは全体的に非常に堅固であり、長期にわたる使用でも耐久性が期待できる。ASUSは細部にまでこだわっており、例えば、底部のコーナーのカーブが強化されているため、前モデルよりも手に優しい設計となっている。これらのデザイン改良により、ROG Ally Xは携帯性だけでなく、操作性と快適さの面でも優れた進化を遂げたといえる。

高性能ディスプレイとリフレッシュレート

ROG Ally Xは、7インチのフルHD(1920×1080)ディスプレイを搭載しており、その最大の特徴は120Hzのリフレッシュレートである。この高速リフレッシュレートにより、特にアクションゲームやFPSゲームでのプレイが非常にスムーズになる。例えば、『エルデンリング』や『ゴースト・オブ・ツシマ』といった動きの激しいゲームでも、フレームレートが安定しており、没入感の高いプレイ体験を提供している。

さらに、ディスプレイはGorilla Glass Victusで保護されており、日常的な摩耗や軽い衝撃にも耐える強度を持っている。しかし、注意すべき点として、直射日光下では視認性がやや低下する場合がある。室内では問題なく使用できるが、屋外での使用には多少の工夫が必要だろう。

加えて、このディスプレイはタッチスクリーン対応であり、Windows 11の操作を直感的に行うことができる。特に、ゲーム以外の用途にも利用することができる点は、Steam DeckにはないROG Ally Xの大きな強みである。全体として、このディスプレイは鮮明で明るく、高速なリフレッシュレートによってゲーム体験をさらに向上させている。

バッテリーライフと充電速度

ROG Ally Xには、80Whの大容量バッテリーが搭載されており、ゲームプレイにおいても持続時間は十分である。例えば、17W TDPモードでプレイする場合、『ブラックミス:ウーコン』などのグラフィック負荷の高いゲームでも、約2時間以上の連続プレイが可能だ。グラフィック設定を低くすることで、さらに長いバッテリー持続時間を得ることもできる。

充電に関しては、ROG Ally Xは最大100Wの急速充電に対応しているが、同梱されているのは65Wの充電器である。この充電器を使用した場合、バッテリーを3%から100%まで充電するには、約2時間以上かかる。ただし、100W対応の充電器を使用すれば、この時間はさらに短縮されるだろう。プレイしながらの充電も可能だが、より快適にゲームを楽しむためには、フル充電してからプレイする方が望ましい。

バッテリー寿命に関しては、ゲームの種類やTDP設定により異なるが、通常のゲームプレイであれば2〜3時間の持続が見込まれる。長時間のゲームセッションや外出先での使用を考慮する場合は、外部バッテリーパックを併用することで、さらなる連続プレイが可能となる。

ゲームパフォーマンスと互換性

ROG Ally Xの最大の強みは、そのゲームパフォーマンスにある。特に25W TDPモードでは、Black Myth: WukongやGhost of Tsushimaといった高負荷のゲームでも安定したフレームレートを維持している。1080pの解像度で60fps近くのパフォーマンスを実現し、グラフィックス設定を低くすれば、さらに快適なプレイが可能である。また、720pに解像度を落とすことで、さらにフレームレートを向上させることもできる。

互換性の面では、ROG Ally XはWindows 11を搭載しているため、Steam以外のゲームプラットフォームにも対応している。これは、Battle.netやUbisoft Connect、Epic Gamesなどのクライアントを使用するプレイヤーにとって大きな利点である。特に、Steam Deckがサポートしていない一部のアンチチートソフトにも対応しており、マルチプレイヤーゲームでの使用においても安心してプレイできる。

さらに、ベンチマークテストでも良好な結果を残しており、3D MarkのテストではTime Spyで3,330ポイントを記録している。これは、ハンドヘルドデバイスとしては非常に優れたスコアであり、PCゲームを携帯しながら楽しむための強力な選択肢となっている。