AppleのM1プロセッサの登場以降、MacBookはポータビリティ、パフォーマンス、電力効率の面で業界の標準となった。しかし、Intelの新しいCore Ultra 200V「Lunar Lake」シリーズ搭載のASUS Zenbook S 14は、このMacBookの独壇場に挑む存在だ。両モデルは超軽量で薄型のデザインを持ち、性能とデザイン美で競り合うことになる。果たして、どちらのノートパソコンが究極の選択肢となるのか。

価格と構成:コストパフォーマンスの違い

ASUS Zenbook S 14とApple MacBook Air 13は、価格と構成において大きな違いがある。MacBook Air 13は、ベースモデルが1,099ドルで、8コアM3プロセッサ、8GBの統合メモリ、256GBのストレージを搭載している。一方、ストレージを512GBにアップグレードすると1,299ドル、10コアGPUと16GBメモリを選ぶと1,499ドルに上昇する。また、カスタム構成で最大2TBのストレージと24GBのメモリを持つモデルは2,299ドルに達する。

一方、Zenbook S 14は1,499ドルの1つの構成のみで販売されており、Intel Core Ultra 7 258Vプロセッサ、Intel Arc統合グラフィックス、32GBのRAM、1TBのSSDを搭載している。つまり、ASUSはメモリやストレージの面でMacBook Airよりも多くのスペックを提供しているが、カスタマイズはできない。

コストパフォーマンスでは、同じ価格帯のMacBook Airよりも高性能なメモリとストレージを提供するZenbook S 14が勝者となる。しかし、MacBook Airはより低価格なベースモデルと多様なカスタマイズオプションが魅力であり、用途に応じた柔軟な選択が可能である。

デザインとディスプレイ:美しさと視覚の競演

両モデルとも、軽量で薄型のデザインを誇り、アルミ合金シャーシが特徴だ。MacBook Air 13は、50%のリサイクル素材を使用し、特に100%再生アルミニウムを採用している。この環境に配慮した設計に加え、シルバー、スターライト、スペースグレー、ミッドナイトの4色展開が魅力だ。

一方、Zenbook S 14は産業グレードの強度と耐スクラッチ性を持つセラルミナムシャーシを採用しており、MIL-STD 810Hの軍事規格に準拠する耐久性を備えている。また、スカンジナビアンホワイトとズマイアグレーの2色展開で、MacBookに比べてややエッジの効いたデザインとなっている。

ディスプレイについては、MacBook Air 13はLEDバックライトのLiquid Retinaディスプレイを搭載しているが、Zenbook S 14はOLEDディスプレイを採用しており、より鮮やかな色彩表現が可能である。MacBookの明るさはZenbookを上回るが、色域の広さと正確性においてはZenbookが優勢だ。

パフォーマンスとグラフィック:ベンチマークで見えた差

パフォーマンス面では、MacBook Air 13とZenbook S 14の双方が8コアプロセッサを搭載しているが、ベンチマークでは明確な違いが見られる。Geekbench 6のシングルコアスコアでは、MacBook Airが3,082、Zenbookが2,751という結果で、マルチコアでもMacBook Airが12,087に対しZenbookは11,157と、AppleのM3チップがやや優勢である。

動画エンコードテストにおいても、MacBook Airは4K動画を7分19秒で1080pに圧縮する一方、Zenbookは8分30秒を要しており、特にビデオ処理での差が顕著である。また、ディスクの読み書き速度では、MacBook Airが読み取り速度3,030 MBps、書き込み速度3,058 MBpsに対し、Zenbookはそれぞれ2,590 MBps、2,513 MBpsとやや劣る。

グラフィック性能においては、MacBookのM3 10コアGPUが若干優位であり、高負荷のゲームベンチマークでZenbookを上回る結果となった。総合的に見れば、パフォーマンスではMacBook Airが一歩リードしている。

バッテリーと全体評価:持続力と使い勝手の勝者は?

バッテリーライフに関しては、両モデルとも優れた持続時間を持っているが、最終的な勝者はApple MacBook Air 13である。Zenbook S 14のバッテリーは13時間51分の持続時間を記録したが、MacBook Airはさらにそれを上回り、15時間13分という長時間駆動を達成している。特に外出先での使用や長時間の作業が求められるユーザーにとっては、MacBook Airの優れたバッテリー持続時間が大きな魅力となるだろう。

総合的な評価では、MacBook Airがパフォーマンスやバッテリー面で優れているが、Zenbook S 14は価格に対して高いスペックを提供しており、特にメモリとストレージの点でコストパフォーマンスに優れている。ディスプレイの鮮やかさやデザインの独自性を重視するユーザーにとっては、Zenbook S 14も十分に魅力的な選択肢となる。最終的な選択は、個々のニーズや使用目的に依存するだろう。