ASUSが新たに発表したROG Ally Xは、その80Whの大容量バッテリーに注目が集まっている。従来モデルのROG Allyと比較して、約2倍のバッテリー容量を持つこの新型ハンドヘルドPCは、実際の使用においてどれほどの差を見せるのか。

この記事では、ROG Ally XとROG Allyのバッテリー性能を徹底比較し、実際のゲームプレイやベンチマークテストでの結果を元にその優位性を探る。

ASUS ROG Ally Xの登場:強化された80Whバッテリー

ASUSが2023年夏に発表したROG Ally Xは、ゲーミングハンドヘルド市場において注目すべき進化を遂げた。特に、80Whという従来モデルのROG Allyと比べて2倍のバッテリー容量は、この新型機の大きなアピールポイントとなっている。ROG Allyはその高性能ながら、40Whのバッテリーによる短い駆動時間が一つの弱点だった。その点、ROG Ally Xではこの問題を解消し、より長時間のゲーミングが可能になった。

バッテリーの強化に伴い、ROG Ally Xは筐体がやや厚くなったが、その分高いパフォーマンスを維持できる点が評価されている。バッテリー容量の増加は、単なる駆動時間の延長だけでなく、パフォーマンス維持にも重要な役割を果たしている。新たに搭載された24GBのRAMと強力なRyzen Z1 Extremeプロセッサーが、ゲーム体験をさらに向上させている。

しかし、ROG Ally Xの特徴はバッテリー容量だけではない。新しいシャーシデザインや120Hzの高リフレッシュレートディスプレイなど、さまざまな点で改良が施されている。これにより、よりスムーズな操作感と快適なゲーミング体験が提供されている。ROG Ally Xは、バッテリー性能とパフォーマンスのバランスを取った最先端のデバイスとして、注目されている。

実際のゲームプレイでのバッテリー性能比較

ROG Ally XとROG Allyのバッテリー性能を比較するため、Grand Theft Auto V Onlineを用いた実際のゲームプレイテストが行われた。このテストでは、両モデルをフル充電状態からゲームプレイが可能な限り行い、その持続時間を計測した。ROG Ally Xは約2時間のプレイが可能で、一方ROG Allyはわずか約1時間でバッテリーが尽きた。バッテリー容量の差が、そのままゲームプレイ時間に反映される結果となった。

この結果からも明らかなように、ROG Ally Xはバッテリーの持ちが非常に優れていることが証明された。80Whという大容量バッテリーは、ハイエンドゲームを長時間楽しむユーザーにとって、大きなメリットである。また、Wi-Fi通信によるデータ送受信や、高グラフィックス設定でのプレイもバッテリーに影響を与えるが、それでもROG Ally Xはその性能をしっかりと発揮した。

テスト時の設定は、両モデルともに「Turbo」モードで行われ、同一条件下での公平な比較がなされた。この結果、バッテリー容量の2倍は、実際の使用環境でも約2倍の持続時間という形で実感できることが確認された。ROG Ally Xのバッテリー性能は、まさにゲーム体験を変える要素の一つである。

シンセティックテストが示すバッテリー持続時間の違い

ROG Ally XとROG Allyのバッテリー性能をさらに詳しく分析するため、3DMark Time Spyを用いたシンセティックテストも実施された。このテストでは、ゲーム機のグラフィック能力を極限まで引き出すベンチマークを繰り返し実行し、バッテリーが切れるまでの時間を計測した。その結果、ROG Ally Xは約2時間23分、ROG Allyは約1時間5分で動作が停止した。

この結果は、リアルワールドのゲームプレイテストと一致する部分が多く、ROG Ally Xのバッテリー性能が大幅に優れていることを裏付けた。特に注目すべき点は、バッテリー残量が30%以下に低下した際のパフォーマンス低下である。どちらのモデルも、バッテリーが30%を切るとフレームレートやグラフィックパフォーマンスが著しく低下する現象が確認された。

ただし、ROG Ally Xの場合、その大容量バッテリーのおかげで、30%以下に達するまでに約2時間のゲームプレイが可能であり、この点でも優位性が見られた。ROG Ally Xのバッテリー性能は、ゲームの継続性とパフォーマンスを両立させるために重要な要素であることが証明された。

高性能だが高価格:ROG Ally Xは買いか?

ROG Ally Xのバッテリー性能は、確かに目を見張るものがあるが、その高価格も無視できない要素である。ROG Ally Xは800ドルという価格帯で、従来のROG Allyよりも約200ドル高い。ユーザーがこの価格差を正当化できるかどうかが、購入の判断材料となるだろう。特にバッテリー寿命以外の改善点が少ないことを考慮すると、価格に見合った価値を見出すのは難しいと感じるかもしれない。

実際、従来のROG Allyでもパワーバンクを使用すればバッテリー問題はある程度解決できるため、必ずしもROG Ally Xにアップグレードする必要はないという意見もある。価格を重視するゲーマーにとっては、ROG Allyの方がコストパフォーマンスが良いと感じるだろう。一方、バッテリー性能やスペックに妥協したくないゲーマーには、ROG Ally Xが最適な選択肢となる。

バッテリー以外にも、24GB RAMや新型のジョイスティックなど、ROG Ally Xは確かに魅力的なアップグレードを提供している。しかし、最終的にはユーザーの使用スタイルや予算次第で、ROG Ally Xの価値をどう評価するかが決まるだろう。