Microsoftは2025年10月にWindows 10のサポートを終了する予定だ。しかし、最新の調査によると、一部の分野ではWindows 10のシェアが逆に増加している。その代表例がゲーミング分野だ。

2025年2月のSteam調査によると、Windows 10の使用率は前月から10.4%増加し、Windows 11は9.3%減少した。この変化の背景には、Windows 10の安定性の高さやDirectX 12 Ultimateの対応、そして急増する中国のSteamユーザーが関係している可能性がある。

Windows 11の市場シェアは全体的に伸びているが、ゲーマーの動向はそれとは異なる。サポート終了が迫る中、Windows 10の復活は一時的な現象なのか、それともMicrosoftの戦略に影響を与えるのか、今後の動向が注目される。

Windows 10の復活 ゲーマーが選ぶ理由とは

Windows 11は、ゲーマー向けの新機能を多数備えている。DirectX 12 UltimateやAuto HDR、DirectStorageなど、最新のゲーム技術に対応する要素が組み込まれており、性能面でもWindows 10より優れた環境を提供するはずだった。しかし、Steamの最新調査では、2025年2月にWindows 10の使用率が53.3%に達し、Windows 11を逆転した。

この傾向の背景には、Windows 10の安定性があると考えられる。新OSは最適化が進んでいない場合、ゲームの互換性やパフォーマンスに影響を与えることがある。特に、Windows 11では一部のタイトルでフレームレートの低下や入力遅延が報告されている。加えて、ゲーマーにとってはOSの安定動作が最優先されるため、新しい機能よりも実績のある環境を選ぶ傾向が強い。

また、DirectX 12 UltimateやDirectStorageはWindows 10でも利用可能なため、Windows 11に移行する決定的な理由がないことも影響している。さらに、Windows 10はシステムリソースの消費が少なく、古いPCでも快適に動作するため、ハードウェアの更新を避けたいユーザーが選び続けているのかもしれない。

Windows 11の普及を阻む中国市場の影響

Windows 10の使用率上昇には、地域的な要因も関係している。特に、中国市場における影響が大きい。2025年2月のSteam調査では、簡体字中国語を使用するゲーマーの割合が50%に達し、大幅に増加したことが確認された。この中国ユーザーの増加が、結果的にWindows 10のシェアを押し上げたと考えられる。

Statcounterのデータによれば、中国でのWindows 11の普及率は26.4%にとどまり、北米やヨーロッパの40%台と比べると明らかに低い。中国では古いOSが長く使用される傾向があり、Windows 7ですら2024年時点で16.5%のシェアを維持している。この文化的な違いが、Windows 10の利用率が下がりにくい理由の一つといえる。

また、中国のゲーマーは価格面を重視することが多く、新しいハードウェアやOSへの移行に慎重な姿勢を見せる。Windows 11は最新のCPUやTPM 2.0を要求するため、PCの買い替えが必要なユーザーも多い。その結果、Steamユーザーの増加に伴い、中国市場で広く使われているWindows 10の比率も相対的に上昇した可能性がある。

サポート終了後も続くWindows 10の影響

Microsoftは2025年10月14日でWindows 10の公式サポートを終了するが、それが即座にOSの消滅を意味するわけではない。過去の事例を見ると、Windows 7はサポート終了後も長期間使用されており、特に中国市場ではいまだに一定のシェアを持つ。この流れを考えると、Windows 10も2025年以降しばらくは影響を持ち続ける可能性がある。

また、Windows 11が必ずしもすべてのユーザーにとって最適な選択肢とは限らない。特に、既存のPCでゲームを快適にプレイできる環境を持つユーザーにとって、OSのアップグレードは慎重に検討される。仮にMicrosoftが強制的な移行を促したとしても、過去のWindows 7からWindows 10への移行時と同様、一定数のユーザーが旧OSを使い続ける可能性が高い。

しかし、長期的に見れば、Windows 11のシェアが拡大していくのは避けられない。Microsoftが今後のアップデートで安定性や互換性を向上させれば、ゲーマーの移行も進むだろう。それでも、Windows 10がゲーミング市場において最後の瞬間まで影響を与え続けることは間違いない。

Source:Laptop Mag