AMDの新型GPU「RX 9070 XT」が本日発売される。イギリスの大手小売店OCUKは、Sapphire、PowerColor、ASRock製のモデルを含め、4000枚以上の在庫を確保していることを明かした。特にSapphire Pulseモデルの大量在庫が確認されており、発売直後の品薄状態を避けられる可能性が高い。

一方で、メーカー希望小売価格(MSRP)は最初の数百台のみ適用され、その後は値上がりが予想される。現在の価格はRX 9070 XTが570ポンド、RX 9070が525ポンドからとなっているが、供給状況次第で変動する可能性がある。

NvidiaのRTX 5070が発売直後に完売し、供給不足が続く中で、RX 9070 XTは在庫の面で有利なスタートを切ると見られる。ただし、需要が集中すれば短期間で完売する可能性もあり、早めの購入が求められるかもしれない。

RX 9070 XTの在庫状況は安定か OCUKが確保した4000枚の意味

イギリスの大手小売店Overclockers UK(OCUK)が、AMDのRX 9070 XTおよびRX 9070を合計4000枚以上確保していることが明らかになった。特にSapphire製のモデルが2000枚と多く、PowerColorやASRock製もそれぞれ1000枚ずつ用意されている。この規模の在庫が確保されるのは、過去のAMD GPUのローンチ時と比較しても珍しい。

供給の安定が期待される理由の一つは、Sapphireのマーケティング担当シニアVPであるAdrian Thompson氏が、OCUKの倉庫に積み上げられた大量のRX 9070 XTの写真をX(旧Twitter)で公開したことだ。OCUK自身も「数日間は在庫が持つ」と見込んでおり、NvidiaのRTX 5070のように即完売する心配は少ないと考えられる。

ただし、これはあくまでOCUKの状況であり、世界全体の供給を保証するものではない。イギリス市場における豊富な在庫が、他国でも同じように確保されているのかは未知数だ。特に、日本市場においても同様の供給があるかどうかは現時点では不明であり、店舗ごとに異なる展開になる可能性がある。

MSRPの適用は限定的 価格上昇のタイミングを見極めるべきか

OCUKではRX 9070 XTの価格が570ポンド、RX 9070が525ポンドとされている。これは予想よりも低い価格設定であり、特にエントリークラスのRX 9070は価格面での魅力が高い。ただし、このMSRPは最初の数百台にのみ適用されるとされており、在庫が消化されるにつれて値上がりする可能性がある。

AMDが小売業者に対し一定量のGPUに割引を提供し、MSRPを維持できる仕組みが取られていると考えられる。しかし、AMDの公式リファレンスモデルは存在せず、すべてサードパーティーメーカーの手による製品であるため、価格のコントロールは難しい。結果として、メーカーや販売店の判断次第で価格が大きく変動することになる。

また、供給量が潤沢であっても、一定以上の需要が集中すれば価格は上昇する。RTX 5070のような供給不足に陥る可能性は低いが、初期の低価格で購入したい場合は、できるだけ早く確保するのが賢明だろう。MSRPでの販売が終了した後、どの程度の値上がりが発生するかは不明だが、過去の傾向を踏まえると短期間での上昇は十分考えられる。

RTX 5070との比較 RX 9070 XTは本当に有利なのか

今回のRX 9070 XTの発売は、NvidiaのRTX 5070と対比して語られることが多い。RTX 5070は供給不足により発売直後に完売し、Nvidia自身が販売するFounders Editionも3月5日の発売予定から月末に延期された。OCUKではRTX 5070の在庫をほぼ確保できず、他の小売店でも同様の状況が続いている。

一方、RX 9070 XTは比較的潤沢な在庫があるとされ、即完売のリスクは低いと見られる。しかし、ここで注意すべきなのは、供給量が多いからといって人気が低いわけではないという点だ。RX 9070 XTはすでにレビューサイトで高い評価を得ており、購入希望者が多いことが予想される。

また、RTX 5070が在庫不足で手に入らない状況が続けば、Nvidiaユーザーの一部がRX 9070 XTへと流れる可能性もある。そうなれば、最初は在庫が潤沢でも、急激に需要が集中し、結果的に価格が上昇する事態になるかもしれない。特に、AMD GPUの価格は発売後に変動しやすい傾向があるため、購入のタイミングを慎重に見極めることが求められる。

Source:TechRadar